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2023.05.23
G7サミット、株高に感じる潮目の変化
〜世界の結節点としての日本の役割を考える
皆さんこんにちは井之上喬です。
東京でも気温が30度を超し、5月としては記録的な異常な暑さの日が続きましたが、今日(23日)は一変して雨模様。激しい温度差への体の適応は大変ですが、皆さん体調管理にはくれぐれも留意してください。
ヒロシマG7サミットの意義は
5月19日から21日、主要7カ国首脳会議(G7サミット)が被爆地広島で開催されました。
主要7カ国の首脳のほか、グローバルサウスと呼ばれる新興国・途上国の首脳も招待され、さらにはウクライナのゼレンスキー大統領も当初のオンライン参加予定から急遽来日し、会場に姿を見せました。各国首脳との対面での会談に加え、原爆資料館見学や講演、記者会見など実に精力的な動きを見せ、ヒロシマG7サミットでの様子は、広島に集まった各国のメディアから世界中へ報道されました。ゼレンスキー大統領は、来日前にはヨーロッパ各国を訪問するなど、まさに「マルチステークホルダー・リレーションシップマネジメント」を実践しています。
終息の糸口が見えず長期化するウクライナ戦争。核の脅威が叫ばれる世界情勢の中、核兵器のない世界の実現を目指す取り組みを、被爆地広島から各国首脳らがアピールする形となりました。
ヒロシマG7サミットでの首脳宣言により、明日から核兵器のない世界が実現する、というわけではありません。それでも、7か国の首脳が揃って原爆資料館を見学し、被災地ヒロシマにタイムスリップしたことの意味は、計り知れなく意義深いものとなった、と感じます。
今後、広島発のメッセージに基づく核問題への取り組みが世界中で継続されるならば、今回のヒロシマG7サミット開催の意味は真に大きなものであったといえるでしょう。
新型コロナの世界規模での感染拡大、ウクライナ戦争の勃発、米中の政治・貿易摩擦の激化、地球環境問題、人口問題など、世界には地球規模の課題が山積しています。そして対立と分断はますます進み、混迷の度合いは深まる一方です。
そのような中でG7サミットが広島で開催された。これは、先鋭化する意見や考え、混沌とする経済状況が渦巻く国際情勢の中で、平和憲法を掲げる日本が、多様な国家間の結節点として果たすべき役割を示しているように思うのです。
日本株への高い注目度
G7サミットが開幕した19日、東京株式市場での日経平均株価が一時、3万9,000円台を突破しました。1990年8月以来、なんと約33年ぶりの高値となったことは、皆さんもご存じのことかと思います。
2023年3月期の決算が出そろったタイミングでしたが、コロナ後の好調な企業業績とともに、日米の金利差が意識されて円安傾向が続くとの観測の中での出来事でした。輸出企業を中心に業績が押し上げられるとの期待感などから、国内外の投資家に好感されたことが、バブル経済崩壊以降の最高値を記録した。そう分析するエコノミストが多いようです。
失われた30年、といわれ、あまり明るい材料がなかった日本ですが、ここにきて、政治、経済面で何か潮目が変わって来ている、と感じるのは私だけでしょうか。
経済面での象徴的な動きとして私が注目しているのは、伝説の投資家ともいわれるウォーレン・バフェット氏の動きです。
彼が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイの株主総会でも、バフェット氏は「台湾より日本のほうが良い投資先だ」と語りました。4月の来日時に強調した、地政学リスクが相対的に低い日本株への投資拡大の考えが、より鮮明になっています。バフェット効果と円安、そして脱コロナに伴う経済活動の活発化などの要因が、日本の株高を誘導しているとも言えます。
外部環境の変化は、先日の首相官邸での岸田首相と海外の半導体関連企業幹部との会合でもみられます。具体的には、米マイクロン・テクノロジー社が広島工場に5000億円の投資を表明するなど、海外企業からの対日投資が勢いを見せています。
これからが正念場、とも言えますが、日本を取り巻く環境も大きく変わり、潮目の変化を迎えたように思えます。
このような状況においてこそ、『倫理観』に支えられた『双方向性コミュニケーション』と『自己修正』をベースとした、マルチステークホルダーとの良好な関係構築活動(リレーションシップマネージメント活動)である、パブリック・リレーションズ(PR)の考え方と実践が必要だと強く思います。
潮目を読み、パブリック・リレーションズ(PR)を通じて一気呵成に攻める、今の日本はまさにこのタイミングにきているのではないでしょうか。