パブリック・リレーションズ

2005.05.09

パブリック・リレーションズ(PR)を成功に導くキーワード3.自己修正(Self-Correction)機能

大型連休も終わり今日から仕事が始まりますが、皆さん休暇をどのように過されましたか?

4月25日の回で、パブリック・リレーションズ(PR)の定義を支えるキーワードは、「倫理観」 「双方向性コミュニケーション」「自己修正」とし、「倫理観」「双方向性コミュニケーション」を紹介しました。今回は「自己修正」についてです。
ここでいう「自己修正」とは、表面的に相手に合わせる変更・調整ではなく、客観的に自らを見つめ、深いところで自らを変えることを意味します。

自己修正は、大きく2つに分けることができます。
一つ目は、すでに自分の中にあるもの(内在するもの)を軌道修正すること。例えば、ある目標に対しての方向性(政策や方針)が、正しくあるべき方向とずれている場合に、その方向性を自ら修正し、最適な方向へと転換することです。二つ目は、自分に内在しないものを外から取り入れることによって、目標に対してのあるべき方向性に自らを修正することです。いずれの場合も、戦略や、プログラム内容の変更は勿論のこと、修正によりプライオリティや目標が変わることがあります。

自己修正を機能させるには、相手の状況をよく知っておくことが必要です。そのために双方向性コミュニケーションを確立し、ターゲットからの反響・反応をフィードバックし、自己修正の材料にすることが求められます。

また、パブリック・リレーションズに求められている自己修正は、倫理観に支えられていなければなりません。例えば組織体の場合、法律に触れないからといってむやみに市場や社会環境を混乱させることは、仮にそれによる目的達成が可能であったとしても、企業自らがその社会的責任や長期的な繁栄を考えた場合、よい結果をもたらすことにはなりません。組織体として倫理観を持ち、必要なときに自己修正が機能することにより、企業としてのレピュテーション(品格)や高いコーポレート・ブランドの確立が可能となります。

まだ具体的に検証したわけではありませんが、日本の超一流企業が世界の企業ブランドのベスト10に一社も入っていないのは、他のさまざまなファクターがあるにせよ、自己修正機能が欠落しているといってもあながち否定できないことなのかもしれません。

日本社会で繰り返される不祥事の根本的な原因は、あらゆる問題について互いが自由に論じ合い、間違いがあればそれを素直に認め、修正する社会的機能が備わっていないと考えています。従来のシステムを踏襲していたのでは、修正のチャンスを失い、やみくもに同じ失敗を繰り返すだけです。
21世紀には、パブリック・リレーションズの本来の姿である高い倫理観に支えられた、双方向性コミュニケーションと自己修正をベースに行動する柔軟性が必要だと考えます。
自己修正という概念が私の中でおぼろげに浮かんできたのは15年位前で、ちょうどバブル経済がはじけた頃です。この概念に関しては現在勉強中で、今後実践をとおして検証を重ね確立していきたいと思っています。

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