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2020.09.07

パブリック・リレーションズ(PR)の「実践と理論」
~よりよい社会の実現に向けてPR教育を

皆さんこんにちは井之上喬です。

残暑は厳しいものの、9月に入って心もち朝晩は涼しくなってきたような気がするのは私だけでしょうか。
これから台風の季節。早速、大型で非常に強い台風10号が、これまで経験したことの無いような強い勢力を保って、6日夜から7日にかけて九州に接近しました。九州全域ほか、四国、中国地方でも避難情報が発表され、停電やけが人などが出ています。台風が過ぎても、今後土砂崩れなどの恐れがあり、みなさんの安全と、これ以上の被害が出ないよう祈るばかりです。
こんな時に私はいま、父の郷里の鹿児島にいます。日置市の伊作にある父の生地を訪ねると共に、鹿児島県の教育関係者や学校の先生たちともお会いし、パブリック・リレーションズ(PR)教育についての意見交換を通して今後の教材開発に生かしていこうと考えているのです。
しかし、東京に戻るために予約した6日の夕方便は欠航となって帰路は8日へと延期。宿泊も、多くの地元の人が台風の避難のためにホテルを予約していて空きは全くありません。ようやく、コロナ禍で母親看護のために鹿児島にきている知人の家に、お世話になることができました。
台風10号がこれだけの規模になった原因は、過去最高を記録するほど高い海水温になった海を台風が進み、エネルギーを蓄えたからとのこと。思わぬところで、地球温暖化問題がいかに深刻度を増しているかを、肌で感じることになりました。

次世代リーダー育成のためのPR教育

さて、毎年この時期は、大学院やビジネス・スクールでのパブリック・リレーションズ(PR)に関する講義を、各地で展開しています。今年は新型コロナウイルスのため、講義はオンラインで行っています。これまでとは違う準備や機器の操作など、大変さを味わいながら授業を展開していますが、PCモニターを通じて受講者の皆さんの熱い想いに触れたときには、その苦労も吹き飛んでしまいます。

まずは、8月25日(月)から9月4日(金)までの、九州大学ビジネス・スクールの夏季集中講義「パブリック・リレーションズ論 (株式会社サンブリッジ コーポレーション提供講義)」が終了しました。

全15回の講義は、私のパブリック・リレーションズの基本的な概念と定義に始まり、パブリック・リレーションズの理論主体の講義、さらにケース・スタディとディスカッション、グループワークへ進み、より実践的な中身の濃い内容になりました。

講師陣は、弊社井之上パブリックリレーションズの社長、執行役員、日本パブリックリレーションズ研究所研究員などパブリック・リレーションズ(PR)の実務家や専門家に加え、ジャーナリスト、国内外企業でトップマネージメント経験を持つ実業家、シンクタンクのトップなど多彩な面々が登壇。理論と実践の両面から、パブリック・リレーションズ(PR)について講義を行いました。

受講者は、自治体や企業で実務に携わる方々だけでなく、公認会計士、そして国立大の副学長や大学医学部に勤務する医師など次世代を育てる立場の教育関係者も加わり、パブリック・リレーションズに対する意識の広がりを実感したのでした。

10月以降も、京都大学経営管理大学院で「2020年度後期 パブリック・リレーションズ論」、そして11月には早稲田大学ビジネススクールで新たに始まる、「パブリック・リレーションズの理論と実践(株式会社井之上パブリックリレーションズ提携講義)」の講義を予定しています。

一貫したパブリック・リレーションズ(PR)の実践に基づく理論

このブログでも以前触れましたが、弊社井之上パブリックリレーションズは、今年7月に設立50周年を迎えました。設立以来、国内外のさまざまな分野のトップ企業や政府機関などに、パブリック・リレーションズ(PR)の実践を通じた目標達成の支援を行い、さらに、社会課題の解決にもパブリック・リレーションズの視点を入れて取り組んできました。

長年にわたる数多くの実践に揉まれて、私が考えるパブリック・リレーションズ(PR)のセオリーである、「企業や組織体が最短距離で目的達成のための、『倫理観』をベースにした『双方向性コミュニケーション』と『自己修正機能』によるマルチ・ステークホルダーとの良好な関係構築活動(リレーションシップ・マネージメント)」の理論は鍛えられ、確立されたのです。

国際社会で知的かつ行動的に活躍する人材に、このパブリック・リレーションズ(PR)の手法は、必要不可欠なものであると確信しています。地球規模での大きな変化やハイパー化するグローバリゼーション新型コロナ禍でさらに混迷の続く社会情勢の中で、日本はいま、各分野で「真のリーダー」を必要としています。民主主義が崩壊の危機にある今こそ、倫理・双方向・自己修正の3要素を抱合するパブリック・リレーションズが求められていると思うのです。

50年に及ぶパブリック・リレーションズ(PR)の実践、大学院、ビジネス・スクールなどの講義を通じて思いを強くしているのは、多極化する世界や社会の要請に応える次世代を担うグローバル人材の育成です。しかも、高等教育に留まらず、幼児、初等、中等期からのパブリック・リレーションズ教育を一貫して行うことは、少子化に向かう日本社会にとって、強靭な国造りの土台ともなるはずです。

実践と理論の両輪を併せ持つパブリック・リレーションズ(PR)が、日本社会に浸透していく。そのことは、さまざまな社会課題の解決につながるとともに、ひいてはコロナ禍の新しい時代における世界のなかで、日本の存在価値を高めるものと確信しています。

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