トレンド

2020.09.18

SDGs採択から5年
~難局を乗り越えるためにパブリック・リレーションズ(PR)の実践を

皆さんこんにちは井之上喬です。

井之上パブリックリレーションズ在宅勤務(テレワーク)が始まって半年になろうとしています。多くの皆さんも、在宅勤務が主流になっていることと思います。体調管理に心がけ、生活にメリハリをつけて心身ともに健康な状況を維持しながら、新しい生活様式に順応していきたいものです。

今週は、菅義偉内閣の発足、そして旧立憲民主党と旧国民民主党などが合流した新生立憲民主党が結党されるなど、ポスト安倍の政局が新たな体制で動き出しました。国内、そして世界は、新型コロナウイルスによる未曽有の難局の真っただ中です。これを乗り越えるために、政治家にはまず、与党野党の立場に関係なく、国民目線で国民のための政治が望まれます。

2030年に向けSDGsを行動の10年に

ニューヨークの国連本部で「国連持続可能な開発サミット」が開かれ、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」つまりSDGsが採択されてから今月で5年になります。

2015年9月に採択されたアジェンダでは、人間、地球および繁栄のための行動計画として、17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」を定めました。2015年までの取り組みは、新興国の成長、進展を中心に据えたミレニアム開発目標(MDGs)でしたが、後継となったSDGsは、世界すべての国が参加、行動することへと視野を広げ、2030年を新たな目標達成年としていることは皆さんもご存じかと思います。

折悪く、新型コロナウイルス感染拡大に重なってしまいましたが、今年2020年からはSDGs達成に向けた「行動の10年(Decade of Action) 」がスタートしています。

SDGsが謳うのは「地球上の誰一人として取り残さない」こと。この共通の目標に向かい、国家、企業、組織体そして一人一人が着実に歩を進めることが、今ここにある危機である「コロナ禍」を乗り切ることにもつながるのではないか、と強く感じています。

SDGsは文字通り「持続可能」な開発目標です。私たちの子供や孫の世代、環境や地球の未来を意識した行動が求められています。

そんな中、ユニセフ(国際児童基金)の気になる発表がありました。

心配な日本の子供の「幸福度」

ユニセフが9月3日に発表した「子どもの幸福度」調査で、日本は先進国や新興国など38カ国中で、総合順位が20位となりました。注目されるのは、体の健康の分野では1位となる一方、精神的な幸福度はなんと37位でワースト2位となったことです。極めてショッキングな数字と言わざるを得ません。

全体ランキングを見ると、1位がオランダで2位デンマーク、3位ノルウェー、4位スイス、5位フィンランドと上位をヨーロッパ勢が占めます。日本はイタリアに次ぐ20位。21位は韓国でした。

調査は、体の健康と精神的な幸福度、学問などの能力の3分野で評価を行いました。身体的健康は、子どもの肥満の割合や死亡率などから算出したもので、ここでは日本は首位でした。

一方、学問などの能力をはかる「スキル」では、学習面の習熟度は高いものの、すぐに友達を作るのが得意ではないなど、社会的な適応力では上位の国に劣り27位でした。そして「精神的幸福度」では、15歳時点での生活の満足度や若者の自殺率などを総合した結果、37位となっています。

現在の世界の中で比べれば、社会的、経済的に恵まれているにも関わらず、日本の子供たちの精神的幸福度が低いのはなぜか。原因として考えられるのは、画一的で競争原理に支えられた、従来の学校教育システムの弊害の大きさではないでしょうか。調査の元となったデータは新型コロナ感染拡大以前のものですが、今回の感染拡大によって学校が休校になったり、慣れないオンラインでの授業が多くなったりして学習、生活の様式が変わり、他の子供や大人と触れ合う機会も減っています。これらが今後、子どもの成長に与える長期的なマイナス影響も懸念されます。

このような傾向は、見方を変えると、日本の重要な人的資源を大きく棄損していることにもなります。将来の日本を背負う子どもたちが、成人する前にすでにネガティブ思考に陥っている。だとすれば、そうしてしまった責任は全て、私たち大人にあるのではないでしょうか?

まず新政権には、未来を築く子どものメンタルヘルス対策に積極的に取り組むことを期待します。それと共に、抜本的な教育改革の実行も求められています。

回りの人々との良好な関係構築に役立つパブリック・リレーションズ(PR)

SDGsの4番目の目標はまさに「質の高い教育をみんなに」を掲げています。新型コロナ禍を乗り越え、心身ともに健全な子どもをはぐくむ新しい教育システムの構築は、喫緊の課題といえます。それには、教育界だけでなく、さまざまな分野からの英知を取り込み、実施することが欠かせません。日本の将来はまさに教育にかかっている、といっても過言ではないと思います。

SDGsの17番目の目標は「パートナーシップで目標を達成しよう」です。この精神こそ、私が考えるパブリック・リレーションズ(PR)の本質に通じるものです。

私が考えるパブリック・リレーションズ(PR)は、「個人や組織体が最短距離で目標や目的に達する、『倫理観』に支えられた『双方向性コミュニケーション』と『自己修正』をベースとした、マルチステークホルダーとの良好な関係構築活動つまりリレーションシップ・マネージメント活動である」と考えています。

この考え方は、個人、組織、規模の大小を問わず幅広い応用が可能です。皆さんも、身の回りで問題にぶつかった時は、この視点を持ち行動してみてください。そこには必ず何らかの解が生まれるはずです。

書籍

注目のキーワード
                 
カテゴリ
最新記事
アーカイブ
Links

ページ上部へ