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2026.08.12
パブリックリレーションズ(PR)は平和の武器
〜8月を平和と民主主義について改めて考える機会に
皆さんこんにちは、井之上喬です。
今年も暑い8月が続きますが、毎年8月は皆さんとともに、「平和と民主主義」を考える大切な月にしたいと思います。
日本の8月を世界に伝える
今年は戦後81年、8月には平和を祈念する日が次々と巡っています。8月6日の広島原爆の日、9日の長崎原爆の日、そして15日の終戦記念日です。これらの日は、戦争の悲惨さと平和の尊さを改めて深く心に刻む時であり、日本各地で追悼や祈念の行事が行われます。
8月6日の平和記念式典で広島市の松井一實市長は、平和宣言として次のように読み上げました。まずはロシアのウクライナ侵攻や米イスラエルのイラン攻撃を念頭に、「国際法をないがしろにする大国の横暴な振る舞いが繰り返されて」いると現状を示し、「このままでは世界で不信の連鎖が進み」「第二次世界大戦の時代に回帰して」しまうと指摘。その上で「核兵器の非人道性を軽視し、自国の繁栄のための武力行使を認めることは…第三のヒロシマ・ナガサキを生み出しかねない」と警鐘を鳴らしました。

広島・原爆ドーム
また、今春の核不拡散条約(NPT)再検討会議で成果文書が不採択となったことについては、「他国に責任を転嫁し自国の行動を正当化する為政者の言動」に原因があると失望を表しました。一方、日本政府に対しては「日本国憲法が掲げる理想を自覚し」、国際社会での「歩みを止めないでいただきたい」と訴えました。松井市長が政府に求めてきた非核三原則の堅持は言うまでもなく、核兵器禁止条約の「一刻も早く締約国となっていただきたい」と、さらに歩を進めるよう強く呼びかけました。
一方、長崎市の鈴木史朗市長は9日、長崎平和宣言で、原爆投下直後の長崎の惨状を当時13歳だった被爆者の証言を借りて紹介。たった一発でこれほどの被害をもたらしたにもかかわらず、「今、地球上に存在する核弾頭は、1万2千発以上」と具体的な数字を上げ、「なぜ、これほど残酷な兵器に固執する国があるのでしょうか」と、問いの形で人々の悲痛な願いを代弁しました。

長崎・平和祈念像
現在の「国際社会に蔓延する相互不信と対立・分断」が悪循環を続けているとの指摘は広島市の松井市長と同じですが、鈴木市長は核抑止論の危うさを指摘した上で、「核兵器は『必要悪』ではなく『絶対悪』であり、人類と核兵器は決して共存できない」と「確信をもって訴え」ました。
これら2都市への原爆投下に加え、8月15日の日本の終戦記念日に関わるさまざまな事柄を広く世界の人々とどう共有していくか、今後の世界の平和を考え実現するためには極めて重要だと考えています。
戦争はあらゆる人を巻き込み、破壊の道を突き進んでいきます。それを避けるためには、平時から高い倫理観を保ち、多様な関係者の声を聞きながら互いに修正を重ねる不断の努力が求められます。まさに官民あげて、パブリックリレーションズ技術を駆使し行動することが求められているのではないでしょうか。
「終末時計」は残り85秒
米国の科学誌「Bulletin of the Atomic Scientists(原子力科学者会報)」は今年1月に、世界が破滅の危機にどれだけ近づいているかを示す「終末時計」の2026年版を発表しました。2025年には残り89秒だった針はさらに4秒進み、人類滅亡まで「残り85秒」と過去最短を更新しました。
終末時計は、同誌が1947年から公表している、世界がどれほど滅亡に近づいているかを象徴的に示す指標です。核戦争や気候変動、破壊的技術など、人類の危機が高まれば針を進め、遠のけば針を戻す仕組みです。
時計を進めた理由として同誌は「リーダーシップの失敗」を挙げています。ロシア、中国、米国など主要国がより攻撃的で対立的になり、ナショナリズムを強めていると指摘。国際協力が弱まった結果、核戦争や気候変動、バイオテクノロジーの悪用、AI(人工知能)がもたらす脅威などの危機を抑える条件が損なわれていると説明しています。
ちなみに今年の発表後の2月に米国・イスラエルのイラン攻撃が開始されました。一刻も早い解決を願っていますが、これも来年の終末時計の針の位置に影響を与えるのかも知れません。
このような状況下で、平和と民主主義を守り、さらに広げ維持していくことは、私たちの世代の大きな責務であると強く感じています。なぜならばこの2つがあってこそ、人々の豊かな生活Well-Beingが実現出来るからです。そのための有効な道具が、私の仕事でありライフワークでもあるパブリックリレーションズ(PR)です。パブリックリレーションズは民主主義社会の中でしか生きていけませんが、同時に「平和を実現し、守るための武器」でもあると思うのです。
人を殺さず、傷つけない。これは何よりも人類共通の「倫理観」です。しかし、意見や考え、姿形や文化が異なる人たちに対する不信と敵対心を募らせた結果、その倫理観さえ失われてしまう状況は、残念ながら今の世界でも頻繁に起こっています。
そうならないため、あるいはそうなってしまった場合でもよい方向に舵を切るためには、当事者や関係する人たち(ステークホルダー)が「双方向性コミュニケーション」を行い、率直な議論や討論を重ねることが大切です。そして、意見や利害の対立を乗り越えるよう互いに「自己修正」を機能させ、良好な「関係構築活動」(リレーションシップ・マネジメント)を続けることが欠かせません。
これらの要素を包含し、高度に結実させて目標を実現する活動が「パブリックリレーションズ」なのです。
広島市の松井市長は、若い世代への提案として、「価値観の異なる人々との国境を越えた交流を深めてください」と呼びかけました。そして「お互いを認め合う平和文化を世界中に根付かせ」ることが重要と訴えました。
また、長崎市の鈴木市長も「相手の立場や苦しみに心を寄せ、分かり合おうと努力することは、対立や衝突を避けるための大事な一歩となります」と話しました。どちらも私が上で述べたパブリックリレーションズと共通しています。
井之上パブリックリレーションズのミッションは、『パブリックリレーションズを通し、平和で希望のある社会づくりをめざす』ことです。
猛暑が続きますが、この8月に改めて平和の尊さについて、みなさんと共に考えてまいりたいと思います。