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2020.06.03

「新しい生活様式」時代の生き方とは
~テクノロジーの進化、理想と現実を直視しよう

皆さんこんにちは井之上喬です。

5月25日に安倍総理から、北海道、埼玉県、千葉県、東京都および神奈川県に対する新型コロナウイルス感染拡大による「緊急事態宣言」を解除すると発表がありました。4月7日の宣言から2カ月を待たず、全国で解除となりました。

緊急事態宣言が出た4月上旬は、新しい感染者が日々増えている時期で、国内は緊張に包まれていました。まずは一山を越え、ほっとされている方も多いと思います。

再開する経済活動

私が住んでいる東京都では6月1日から休業要請する業種の緩和を拡大する「ステップ2」に移行し、スポーツジム、商業施設や映画館、学習塾などが順次営業を再開しています。経済活動は、自粛一辺倒から徐々に動きを取り戻している感があります。

しかし、これですべてが元通りになるわけではありません。新型コロナウイルスの感染拡大を予防する「新しい生活様式」のなかにも、密閉、密集、密接のいわゆる「三密」の回避が含まれています。経済活動の再開は明るい話題ですが、三密を避けながらの経済活動には様々な制約がつきものです。すべての業種で元に戻るというよりは、新しい生活様式のなかでの新しい収益モデルの創出が不可欠になっています。

そのためには、新しい発想とともに、情報セキュリティが担保された新しいテクノロジーの活用が必要になってくると考えます。皆さんの中にも、テレワーク(在宅勤務)中にさまざまなオンラインの会議ツールを使い、仕事に関する打ち合わせに加え、オンライン飲み会、オンラインパーティなどを体験された方は多いのではないでしょうか。

個人的には多少の違和感もありますが、新しい生活様式の中ではオンライン同窓会、オンラインコンサート、オンライン展示会なども広がるでしょう。今後普及が予想される5G通信インフラの上では、最先端のVR(Virtual Reality:仮想現実)、AR(Augmented Reality:拡張現実)、MR(Mixed Reality:複合現実)技術などを融合した世界が展開するのも間近ではないでしょうか。

外出自粛が続くなか、一歩も外に出なくても、誰もが圧倒的な量の情報を入手し、楽しむことができるのももうすぐです。

SNS時代の光と影

1990年代後半からのインターネットの普及とともに、メディア事情は激変しました。新聞や雑誌などの紙媒体から、オンラインメディアへ。そして現在は、通信基盤やスマートフォンに代表される電子機器の進化により、フェイスブックやツイッターなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が広く普及し、私たち誰もが、情報を受けるだけでなく発信者になれる時代が到来しています。

今回の新型コロナウイルスの感染拡大に関しても、最新のニュースが一瞬にして世界中を駆け巡る、便利な時代になったことを実感させてくれます。

その一方で最近気になることがありました。一つは日本で起きた出来事で、22歳の若い女子プロレスラーが、テレビ番組での言動に対するSNS上の誹謗中傷の書き込みに悩み、自らの命を絶つというショッキングな事件です。もう一つは、ご存知のトランプ大統領が、SNSの規制強化に向けた大統領令に署名したことです。

オープンで自由なはずのインターネット、SNSの情報が逆に社会を息苦しくしている現実。民主主義をさらに推し進めると期待されていたネットが反対に社会の混乱を招いている現実。コロナ禍で、インターネット社会の理想と現実が浮き彫りになった気がします。

自由であるからこそ、互いに相手の意見を尊重し、必要な時には自己修正を加えながら、よりよい関係を構築し、望ましい状態をともに目指していく。その作業は、パブリック・リレーションズ(PR)そのものと言えます。せっかくの高度な情報通信技術も、これなくして十分に活かせない、といっても過言ではないでしょう。

パブリック・リレーションズ(PR)は、民主主義のなかでこそ機能し、同時に、民主主義を健全に保つためも欠かせないものでもあります。

その普及と実践を推し進める井之上パブリックリレーションズを設立して、今年で50年を迎えます。会社の理念である「倫理観」に基づいた「双方向性コミュニケーション」と「自己修正」の3つの概念をベースにした、マルチステークホルダーとの良好な関係構築活動(リレーションシップ・マネージメント)であるパブリック・リレーションズ(PR)は、今こそ必要であると痛感しています。

混迷する新しい生活様式時代のなかで、倫理観に基づいたパブリック・リレーションズ(PR)活動は、よりよい生き方、社会を目指すための指針となる、一つの解だと思っています。

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