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2011.12.06

平安時代に遡る日本最古の年賀状 〜携帯年賀メール増加の中、やはりうれしい年賀状

こんにちは、井之上 喬です。
師走に入り皆さんもそろそろ年賀状の準備をはじめる頃かと思います。私の会社(井之上PR,日本PR研究所)でも年賀状のデザインが決まり、印刷を進めるようなタイミングです。

年賀状の起源についてははっきりしないものの、以前北海道新聞がその起源について、「年始のあいさつは奈良時代までさかのぼる。平安時代には公家社会にその風習が広まって、書状でもあいさつが交わされた。平安期の学者、藤原明衡が著した手紙の模範文集『雲州消息(うんしゅうしょうそく)』には年始あいさつ状の文例があり、これが現存する最古の年賀状といわれている。」(2000年12月2日付)としています。

今回のブログでは日本の年末年始に彩りをそえる、伝統的な生活習慣ともいうべき年賀状の「むかし」と「いま」を紹介します。

第1回年賀はがき賞品、特等は「ミシン 」

「日本の郵便制度は1871年(明治4年)に前島密によって確立された」と学んだのは、たしか中学校の歴史の授業だったかと思います。前島は、ヨーロッパとイギリスの郵便制度を視察した後、これを基に日本の郵便制度を考案しました。

1873年(明治6年)には郵便制度は国有化され、政府の独占事業となりました。同じ年に「郵便はがき」が登場し、年賀状の普及に多大な影響を与えることになります。

現在同様に、12月に投函された年賀状が元日に配達されるようになったのは1899年(明治32年)の「年賀特別取り扱い」が始まってからでした。明治の終わりから昭和初期にかけ、年賀状の取扱量は増え続けます。

今では、年賀はがきといえば当たり前になっている「お年玉くじ」。この制度が始まったのは、1949年(昭和24年)のことです。このアイデアは、官が考えたのではなく、京都在住の民間人によるもの。

「年賀状が戦前のように復活すれば、お互いの消息もわかり、うちひしがれた気分から立ち直るきっかけともなる」と考えたようです(年賀状博物館Web)。

ちなみに第1回のお年玉付き年賀はがきの賞品は、特等がミシンで1等は純毛洋服地、2等は学童用グローブ、3等は学童用こうもり傘だったとのこと。
その後、年賀状の取扱量は日本経済の拡大とともに増加し、特に1980年代の後半からの年間取扱量は35億通を超え、最盛期を迎えました。

年賀状は1月7日までに

日本郵政は、今年2011年の元旦に全国で配達された年賀状は約20億8千万通で、昨年より0.4%減少したと発表しています。電子メールで新年のあいさつを済ます人が増えていることも要因となっているようです。

2009年にモバイルマーケティングデータ研究所が主体となって実施した「年賀状メールに関する利用実態調査」で年賀状には何を使って送ったかについて質問したところ、男女とも「年賀ハガキ」が最も多く(男性48.1%、女性57.3%)、次いで「携帯メール」という回答でした。
「携帯メール」では男性が文字と絵文字の携帯メールが31.2%、女性ではデコメが55.0%、文字と絵文字の携帯メールが35.8%という結果でした(いずれも複数回答)。

因みにこの調査の有効回答は1,717人で、男女比は44:56、そして年齢的には19歳以下が約23%、20代が約31%、30代が約25%で40代以上が約21%という構成。

受け取った年賀状については、男性では「年賀状ハガキ」が57.8%と最も多く、次いで「携帯メール」が39.7%、「パソコンメール」が2.5%。女性では「携帯メール」が54.4%と最も多く、次いで「年賀状ハガキ」が45.1%、「パソコンメール」が0.5%という結果でした。

携帯年賀メールが増加する中、日経MJ(11月23日)に、「もらってうれしい年賀状―はがきが85%」という見出しの記事が紹介されていました。これは、メディアインタラクティブが全国15?59歳の男女500人を対象とした調査です。

はがきがうれしいが85%に対し、「メール」がうれしいと回答したのはわずか4.8%。
また、もらってうれしかった年賀状は「手書き」が58.6%で最多。つづいて「近況報告が入っているもの」が47.4%で「どの年賀状も(もらえば)うれしい」が44.4%で年賀状が届くのを楽しみにしている様子が窺えました。

これら2つの調査を通して携帯からの年賀メールが増加していく傾向がみられるものの、まだまだ年賀はがきの人気は高いようです。

年賀状は発送時期で投函日の表現が変わります。1日以降の投函になる場合は、「元旦」という文字を入れずに投函日を書きます。また、年賀は通常1月7日までのことを指しますので、それ以降に出す場合は「寒中見舞い」、立春を過ぎたら「余寒見舞い」として出します。

文面には、新年明けて晴れ晴れした相手のことを考え、不祝儀ごとは書かないのが決まりごとのようです。

こうした年賀状の決まりごとを知るにつけ、いまさらながらに年賀状と日本文化との深い関わりを感じます。年賀状を送る中心的な手段がたとえ「はがき」から携帯メールやスマホメールに替わったとしても、こうした年賀状文化は引き継がれていくべきことだと思います。

一般的に年賀状を出す相手は、親族や友人・知人、そしてさまざまなビジネス関係者など。これは年賀状というコミュニケーション・ツールを使い個人が行う、年1回のパブリック・リレーションズ(PR)活動とみることもできます。

私も年末には会社と個人の年賀状書きに忙殺されます。ひとことでも書き添えることにしていますが、なにせ数が多く省いてしまうことも多々あります。もらってうれしかった年賀状に「手書き」という調査結果がありました。今年はせめてできるだけ添え書きを増やしたいと思いました。

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