時事問題

2012.03.12

日本社会で求められる人材像 その2 〜グローバル人材の育成について

皆さんこんにちは井之上喬です。

2011年3月11日の東日本大震災から一年、災害で甚大な被害を受けた方々には、心よりお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復興を願っております。

また、被災地域から遠く離れた多くの方々も、被災者に心を寄せこの災害を自らのこととして心をいためたことと思います。

3・11は世界が単に地理的につながっているだけでなく、金融経済やモノ作りに必要な物流・サプライチェーンなど、企業のあらゆる活動がネットワーク状に連鎖していることを明らかにしました。

同時に、「グローバル」であることが、「世界はつながっている」ことを見事に証明してくれました。今回は、世界とのつながりが良い結果をもたらすものであることとし、そのために必要な人材育成についてお話したいと思います。

海外を重視した人材の確保を

地球規模で変化が進みグローバル化が加速する中、経済大国日本への世界の期待と関心は相変わらず高いものがあるものの、大震災をはじめとしさまざまな要因でその求心力は急速に衰えつつあります。

東日本大震災と福島原発事故で甚大な被害を受けた日本は、超円高が同時進行する逆風の中で企業活動を国内重視から海外重視へと、その舵を大きく切ろうとしています。

1990年代は大企業による海外進出が中心だったものが、震災後にいたっては、国内市場が収縮する中で中小企業にとどまらず町工場まで生産拠点を海外に求めるなど、グローバル化の波が末端レベルにまで押し寄せています。

混迷が続く社会情勢下にあって、日本はそれぞれの分野において、新しい変化に対応できる人材育成が喫緊の課題となっています。

先週のこのブログでもご紹介したように、国家公務員試験に新たに教養区分が付加されたのも、国際化に対応できる人材確保の必要性を感じているからにほかなりません。

同じく1月23日号のブログでも紹介したように、東京大学が提唱する秋学期入学制度の検討は、世界の大きな流れの変化を捉えた結果と見ることができますが、多くの場合、大学の教育現場でこうした新たな社会的要請をどの程度把握しているのでしょうか?

急がれるグローバル人材育成

皆さんの中には、欧米や他の地域社会の人々と交わす日々の会話を通して、文化・歴史を抱合した教養や哲学的な意味合いを持たせた教育の必要性を痛感している方も多いと思います。
これは、ビジネスの交渉ごとの中にも見られることです。

今日本人には、教養や哲学はもとより、個の持つ人間力をバックとした幅広い視野や柔軟な発想力、双方向性を持った交渉力や発信力など複数の視点をもった、国際人としての能力が求められています。

残念なことに、このところの日本人の海外留学者数の減少や若者の内向志向などで、世界を雄飛する人材が枯渇しているのが現状。

こうした、末端に至るまで身近となったグローバル・ビジネス環境下で、大切なことは、単に全世界的な事業展開を行うことにとどまらず、組織体や個人が、経営資源を用いて目的達成のためにさまざまな地域のステークホルダーと状況の変化を見ながら、良好な関係構築を行い業務遂行することにあります。

また多様な価値観が混在するグローバル社会にあっては、共通の土台が求められており、倫理観に支えられたコミュニケーション能力に加え、必要なときに自らを修正できる能力は不可欠。

そして柔軟な発想に加え、論理的に物事を考える能力が、これからの求められる人材ということになります。
グローバルな人材育成には、個人や組織体が最短距離で目的を達成する、「倫理観」に支えられた「自己修正」と「双方向性コミュニケーション」をベースとしたリレーションズ(関係構築)活動である、パブリック・リレーションズ(PR)が欠かせないものとなるはずです。

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