時事問題

2012.03.19

春闘ってなに?激変する雇用環境 〜グローバル化がもたらすもの

こんにちは井之上 喬です。

明日、3月20日は国民の休日「春分の日」ですね。彼岸の中日に当たり、陰と陽つまり昼と夜の気が入れ換わり、この日を境に昼間が徐々に長くなり、春の到来も間近です。

この時期、恒例となっているものの一つにその年の賃金を決定する“春闘”があります。今年は3月14日に大手製造業の集中回答があり、連合の1次集計では組合員1人当たり平均6416円(定期昇給含む)の賃上げ要求に対し、回答は平均5429円で東日本大震災の前の2010年春闘の同時期に比べると、ほぼ同水準だったようです。

しかし、東日本大震災やタイの大洪水、欧州の経済危機に超円高と厳しい経営環境下の電機や自動車を中心に、前年割れの回答が相次いだ、とメディアは分析しています。

「春闘」がなくなる?

その中でも大手の赤字決算が相次ぐ電機産業では、シャープが定昇を凍結、NECは賃金カットを春闘とは別に協議することになるなど、雇用をめぐる厳しい経営環境が浮き彫りになっています。

新聞報道でちょっと気になったことがありました。春闘という表記を使わない新聞もあるのにお気づきだったでしょうか。日本経済新聞を見ると「春季労使交渉」という表記になっています。

その理由を知り合いの記者に尋ねてみると「春闘は、もともとストライキを伴うような文字通り闘争色が強かった時代の表現だったが、この10年くらいで労使協調路線が強まり、組合の連合も労使交渉という表現をしており、いまはそれを基本にしています」とのこと。

右肩上がりが懐かしく感じられる昨今ですが、「労使の闘い」の時代はすでに終焉したということなのでしょうか。

10年前の2002年の春闘はどんな状況だったのか少し見てみましょう。

2002年春闘と言えば、2001年のアメリカの9.11同時多発テロ、ITバブルの崩壊などの影響を受け、この年も今年のように未曽有の厳しい経済環境を背景に、大手企業の賃上げは平均で5265円、1.66%(230社)と春闘史上初の1%台にとどまりました。

その中で注目は、トヨタ(当時はトヨタ自動車)が連結ベースで1兆円の経常利益を上げましたが「国際競争力の再生と雇用の安定が最優先」とし、前年要求の半分に当たる組合側の1000円のベア要求を全面拒否、ベアゼロ回答を押し通したことでこの流れが決まったようです(電機連合50年のあゆみを参照)。

つまり世界と戦うためには、経営側も組合側も運命共同体としての歩みを進めなければ生き残れないことを確認しあった結果だと思います。

グローバル化は個人ひとり一人の上に

この当時から国際競争の激化と雇用環境の変化が日本の経営に与える影響が大きくクローズアップされることになります。

その後の日本企業を取り巻く厳しい経営環境は、皆さんもご承知の通りです。

国際競争の激化と日本市場が縮小する中で、多くの日本企業がグローバル化の動きを加速させています。特に昨年の3・11以降その流れは大手企業だけでなくいまや中小の企業、そして町工場や山間の農家にまで及んでいます。

グローバル化は日本企業にとって待ったなしの大きな課題になっており、その中で雇用に対する企業の取り組みも今後大きく変化していくことになるのではないでしょうか。

新卒採用もグローバル化の影響を受け、日本人学生は外国人留学生と就活でしのぎを削る状況に追い込まれつつあります。既卒者も加え、新卒者は厳しい状況に置かれることになるでしょう。

またアジアからの留学生の人件費コストは相対的に抑えやすいこともあり、日本人学生にとって将来経営に大きく影響を与える人件費との競争を強いられることも考えられます。

先週のブログで、グローバル人材の育成について触れましたが、日本の若者のこれからの活躍の場は国内から海外に広がっていくことが予想されます。

こうしてみると、ひとり一人が自らの力を蓄え、「人間力」を身に付けなければやっていけない社会が日本に到来するのはもはや時間の問題といえます。

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