時事問題

2011.05.23

今年の夏休みは「東北」へ。 〜「日本は安全」をもっとPRしよう

こんにちは井之上喬です。

東日本大震災発生から約2ヵ月が過ぎた5月12日、東京電力は福島第一原発1号機で、地震発生の翌日にメルトダウンの状態にあったことを初めて認めました。また復興の足音が少しずつ大きくなる一方で、事故収束のための工程表を改定するなど、先行きの見通しがはっきりしない状況に不安感が広がっています。

そんななか21日から2日間の日程で開かれた日中韓3か国の首脳会議を前に、中国の温家宝首相と韓国のイ・ミョンバク大統領が東日本大震災の被災地、宮城県を訪れ被災者を見舞うとともに震災からの復興に向け協力していく考えを示しました。

温家宝首相は、原発事故に伴い中国が実施している日本の農産物輸入制限を緩和することを表明。こうした被災地訪問のニュースが世界に流れ、「放射能で日本は怖い」といった風評被害が薄れ、経済交流や観光ツアー客の増大といったことが期待できそうです。

縮小する消費

震災の影響はさまざまな分野に及んでいますが、こうした中で日本経済新聞社は4月時点の消費予測指数(CFI:2004年12月=100)を発表しています。

それによると4月は、前月8.5ポイント低下の75.8で、3ヵ月連続のマイナスとなりました。下げ幅も大幅で、東日本大震災を受けて先行きの経済環境に悲観的な見方をする消費者の考え方が反映されています。

特に悪化したのは(1)「勤め先の今後1年の利益見通し」では[これまで以下]という悲観的見方が13.6ポイント増え48.5%、(2)「旅行・レジャーへの支出意欲」は[控える]が6.3ポイント増の52.1%となり顕著な結果となっています。

日本政府観光局(JINTO)は5月19日に4月の訪日外国人数は前年同月比の62.5%減の29万5,800人であったと発表。
ここでも減少幅は、過去最大だった今年3月の50.3%減を更新しています。「東日本大震災や福島第一原子力発電所の事故の影響で、全国で外国人観光客の予約キャンセルが相次いだことが背景にある」としています。

訪日外国人数が月間30万人を割り込むのはイラク戦争の発生やアジアで流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の影響を受けた2003年5月以来となるそうです。4月の実績を国・地域別にみると香港からが前年同月比の87%減少、韓国からが66%減少、台湾からが67%、そして中国からが49%減少と軒並み実績を大きく下回る結果となっています。

例年と一味違う「仙台七夕まつり」

5月恒例の東京・浅草の三社祭は行事の一部を中止することで開催されましたが、震災の自粛ムードもあって全国で祭りやイベントの中止が相次いでいます。

こうした停滞ムードを吹き飛ばしたのが8月上旬に予定される東北三大祭りの開催。

この夏は電力不足対策、企業の夏休みの長期化を予測して、滞在型やボランティア活動を絡めるなどさまざまな旅行商品が紹介されています。
航空会社も8月のお盆シーズンにはこれまでにないような大幅割引を実施するようです。この夏休みに国内旅行を計画しているのなら、「東北」へ行ってみてはどうでしょうか。

オンライン・メディアの毎日jp(5/18)でこんな記事が紹介されています。「東日本大震災で避難所生活を続ける子どもたちを励ますため、宮城県名取市の携帯小説家、斉藤亜紀子さん(35)が、子ども用の浴衣を集めている」ことを紹介しています。

そして、「今年も例年通り8月6日から3日間、仙台市内である『仙台七夕まつり』に浴衣を着て参加してもらう取り組み。斉藤さんは『子どもたちに、浴衣を着てお祭りに行った思い出を残してあげたい』と話している」としています。

こうしたことも含め、今年の「仙台七夕まつり」は、例年とは一味違うお祭りになりそうです。

日本経済を活性化させるための成長戦略のひとつに観光立国が挙げられていますが、このまま自粛・停滞ムードが続くと、2020年までに2500万人の外国人観光客の目標達成が掛け声倒れになってしまう懸念があります。

22日に行われた日中韓首脳会談では首脳宣言として、3カ国が連携して日本への風評被害を軽減するための取り組みを行うことや日本への観光旅行促進などについて協力することなどが謳われました。

これからは政府と民間とが力をあわせて「日本の安全性」や「日本の復興」をもっとPRしていくことが不可欠となります。
日本が東日本大震災から立ち上がりつつある中で、こうした強いメッセージを世界へ効果的に発信していくのは、パブリック・リレーションズ(PR)が果たすべき役割。私たちPRパーソンの役割が今まさに問われています。

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