時事問題

2011.05.02

オールジャパンで「サプライチェーン」の維持を 〜如何に国内に工場をキープするか

こんにちは井之上 喬です。
ゴールデンウイーク、いかがお過ごしですか。

東日本大震災で大きな被害を受けた東北地方にも桜前線が北上、満開の桜は1年に1回の素晴らしい季節を私たちにもたらしてくれます。
想像を絶する自然災害の一方で季節の移り変わりは、私たちに日本の自然の素晴らしさを印象づけてくれます。大変な状況ですが、大いに素晴らしい日本の四季をそれぞれの立場で満喫したいものです。

4月29日、大震災以来、一部で運転を見合わせていた東北新幹線が49日ぶりに、東京から新青森までの全線で運転を再開したようです。

震災で浮き彫りにされたニッポンの存在感

大都市との交流をスピーディに担保する新幹線再開は、被災地復興の大きな力になるとともに、観光を中心とする地域振興にも拍車をかけています。
大震災の影響は産業界でも色濃く出ていますが、経済産業省が4月28日に発表した3月の鉱工業生産指数速報値(2005年を100とする、季節調整済み)は82.9。前月比で15.3%低下し、過去最大の落ち込みとなりました。

与謝野経済財政大臣はこの発表数値に対し、「衝撃的な数字」とし「部品などの生産拠点が震災の直撃を受け、全体の生産活動に大きな影響を与えた」と分析。

また、サプライチェーン(供給網)については「日本経済の死活問題」としたうえで、早期の回復に期待していると復旧に向け全力で取り組んでいる関係者にエールを送っています。

震災発生当初、ニュースでは被災地の経済規模は全体の7%程度と日本経済への影響はあまりないと予測されていましたが、全容が明るみになるにつれて深刻さが際立ってきました。

今回の大震災で日本企業のサプライチェーンが深刻なダメージを受けていることが浮き彫りにされたのです。しかも震災を受けた東北地方の部品・部材がないと世界の生産がストップしてしまう現実が露呈したのです。

サプライチェーンという言葉がこれほどマスコミに登場したことはなく、電機、自動車業界では部品供給の停止により世界的な減産に追い込まれています。

例えば急成長しているスマートフォン分野では、スマートフォンに使われているポリシリコン液晶に使われるITO膜で圧倒的な世界シェアを持っている宮城県栗原市の倉元製作所が被災し、需要が旺盛なスマートフォンの生産計画に支障が出ているようです。

また、半導体、ICの材料であるシリコンウエハーでも世界の25%を供給している福島県白河市の信越化学の白河工場が被害を受け、今後の半導体生産への影響が懸念されています。

地震の少ない地域への工場移転

日本にある多くの工場は、雇用の維持と技術の海外流出を避けるために国内で付加価値性の高い製品をつくっています。

それだけに今回の大震災が引き金となった、これら工場の海外移転だけは何としても避けなければなりません。しかし自動車業界などでは、部品の安定供給を確保するために、工場の海外移転を促す動きもあり予断の許さない状況にあります。

企業や自治体はこのまま手をこまねいていることはできません。産業空洞化で疲弊している地方経済の再興と地震立国日本における工場設置を今後どのように考えるべきか、いま私たちに大きな課題が突き付けられています。

これらの問題解決のために国内の地震地図をプロットし、地震発生の少ない国内地域への移転も視野に入れる必要があるように思います。

地震が比較的少ない地域は、北海道や山陰、津波被害が少ないとされる中国地方や瀬戸内などが考えられるのではないでしょうか?

4月28日の日本経済新聞に「アジア経済圏に震災の試練」とする記事がありました。
日本の部品供給が止まればアジアの生産機能が低下し、アジアの成長に陰りが出れば日本の復旧も遅れる、「オールジャパン」でサプライチェーンの健全な維持のため休日返上で基幹部品の生産に取り組んでいる企業も多いとする同紙の報道は力強い限りです。

そんななかで応用物理学会や日本機械学会、日本化学会など34学会は4月27日、大震災に対する学会としての提言を取りまとめ、「日本は科学の歩みを止めない―学会は学生・若手とともに希望ある日本の未来を築く―」とする会長声明を発表しました。
被災した施設の復興だけでなく、研究者や学生のメンタルケアに力を注ぎ、科学技術立国日本のために最大限力を注ぐとし、国内外に可能な限り正確な情報を発信し、また各国の学会と協力していくとアピールしたのでした。

いま日本のものづくりの底力が全世界から注目されています。
世界に対する力強いメッセージの発信。パブリック・リレーションズ(PR)の果たす役割の重要性がいままさに問われています。

 

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