時事問題

2010.12.20

今こそ、思い切った教育改革を 〜アジア勢との比較で下位に沈む日本

こんにちは、井之上 喬です。
寒さが一段と厳しくなってきましたが、皆さんいかがお過ごしですか。

経済協力開発機構(OECD)が12月上旬に世界65の国・地域の15歳男女約47万人を対象に実施した国際学力調査(略称:PISA)の結果を世界同時発表しています。

この学力テストは文章を理解し、利用する力をみる「読解力」、「数学的応用力」、「科学的応用力」の3科目で構成されています。知識の有無よりも、知識をいかに活用するかという能力を調査するのが目的。初めて実施されたのが2000年で、それ以降、3年ごとに実施され今回が4回目となりました。

なんと初参加の上海が「三冠王」に

今回の調査は、日本では無作為に抽出された約6000人がテストに回答しています。上海のほかシンガポール、ドバイなど8カ国・地域が新たに参加しましたが、中国、インドは「言語が多様なことなどから全国一斉テストの実施は難しい」との理由でOECDの参加要請を断っています。

日本は2003年、そして前回2006年といずれも順位を下げ、学力低下が社会的な問題としてメディアに取り上げられたことを憶えている方も多いのではないかと思います。今回「読解力」が前回(2006年)15位から8位に上がりましたが、「数学的応用力」は9位(前回10位)、「科学的応用力」は5位(前回6位)とほぼ横ばい。

この発表を受け、高木文部科学相は「読解力を中心に我が国の生徒の学力は改善傾向にある」(2010年12月8日読売新聞)とコメントしています。今回の結果をみると日本の順位が回復し、教育界の努力が実った感じもしますが、日本はアジア勢との比較で下位に沈み、学力格差は解消しておらず、引き続き真摯な対策が求められます。

韓国の国際教育都市、チェジュに英国名門校が開校

「白熱教室で話題のハーバード大学でも、昨年の留学生666人のうち日本人はたったの5人だった。韓国42人、中国36人、シンガポール22人、インド20人に比べると大きく水をあけられている。米国への留学生自体、昨年の日本は3万人足らずで、約10万人のインド・中国、約7万人の韓国の後塵を拝している。」と報じているのは週刊ポスト(2010年11月5日号)。

日本からの海外留学生は、2001年の13万人をピークに年々減少傾向にあり、昨年は10万人を割り込んでいます。特に同年に起きた9/11の影響でしょうか、米国への留学生の減少が顕著のようです。

このように日本人の海外留学生の減少傾向や国際学力調査での低迷振りが報道されるなか、韓国ではグローバル化に対応した革新的な取り組みがなされています。

その切り札が、済州(チェジュ)国際教育都市プロジェクト。韓国政府の中核プロジェクトの一つとして位置づけられ、国土海洋部傘下の済州国際自由都市開発センターにより開発が進められています。

韓国政府は、済州島(チェジュ島)を「英語特区」にし、欧米の有名校の誘致を積極的に働き掛けています。ここでの授業は英語で行われ、都市内の公用語も英語。

人口約55万人のチェジュ。韓国の「済州特別自治道」として経済特区にもなっていますが、政府はこの教育プロジェクトに巨額の投資を行うだけでなく、新しい法律の制定や規制の緩和・撤廃により、進出する学校が最高レベルの国際教育を実施できるようさまざまな支援を行っていると聞きます。

そんな中で先日、2011年秋にチェジュに初めて海外キャンパスを開校する、英国の名門私立学校North London Collegiate School(NLCS)の一行が、日本での学校説明会のために来日しました。

NLCS UKは、英国で160年にわたり卓越した教育を提供している名門校として知られており、オックスフォードとケンブリッジへの進学率は40%前後で、英国内の名門国際バカロレア(IB)スクールの中でもたびたび首位を獲得しています。

たまたま、NLCSチェジュの来日プログラムを支援したのが私の経営する会社(株式会社井之上パブリックリレーションズ)でした。その戦略性と実行力における彼我の差の違いを間近に見て大きなショックを受けました。

このプロジェクトに限らず、FTA(自由貿易協定)における米国、EUを始めとするさまざまな国や地域との締結やサムソン、現代自動車など韓国企業のグローバルな展開をみていると、その戦略性とパワーには目を見張るものがあります。このエネルギーは一体どこから来るのでしょうか?

私は、韓国の徴兵制にその秘密があるのではないかと最近考えるようになりました。兵役に服する間、すべての若者が戦略的思考とスピード感を養う教育を受けているのではないでしょうか。ちょうど、NHKで「坂の上の雲」が放送されていますが、明治時代、ひとつの目的に向かって進む日本の姿を見る思いすらします。

ちなみに、この9月に経済協力開発機構(OECD)から「教育機関への公的支出の国内総生産費(GDP)比」に関する調査結果が発表されています。2007年の幼稚園から大学までの調査では、日本はわずか3.3%。比較可能な主要28カ国中で最下位です。

いま国際教育への抜本的対策が日本に迫られていますが、政府の強い指導力とスピードを伴った実行力こそが求められています。

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