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2019.03.04

「改正入管法」施行に思う〜外国人労働者受入れとパブリック・リレーションズ(PR)が果たす役割

皆さんこんにちは井之上喬です。

弥生3月を迎え春も目の前まできました。
東日本大震災から8年、被災された地域にも本当の春が訪れるのをお祈りいたします。

「改正入管法」が施行に、急増する外国人労働者

4月からさまざまな制度や法律が施行されますが、その中の1つに日本国内の少子高齢化による深刻な人手不足に対応するために外国人労働者の受け入れを拡大する「改正出入国管理法(入管法)」があります。

21世紀は日本にとって人口減少の世紀となっているのは皆さんご存知の通りですが、国立社会保障人口問題研究所の調べではこのまま人口減少が続くと2100年には5072万人になるとしています。

皆さんはこの数字をどうご覧になりますか。

人口減少の歯止め策として政府は東京、大阪など都市部への人口集中を抑止し、地方の活性化を主眼とした地方創生を掲げてきましたが残念ながら具体的な効果には乏しい現状です。

人口減少の中で労働力の確保が産業界にとって大きな課題になっています。

最近もコンビニの24時間営業体制の見直しや物流業界での人手不足に対応した料金改定、そしてさまざまな製品の値上げにと、人手不足は我々の経済に大きな影響を及ぼしています。

その人手不足対策として期待されているのが「改正入管法」と言えます。ポイントは?在留期間の上限を5年とする就労を目的とした新たな在留資格を創出する、?滞在中に行う試験の合格者には家族帯同と定住を認める、?定住している外国人に対して生活者としての総合的な対応策をとる、の3点です。

政府は介護や建設など14業種を検討の対象とし、5年間で最大約34万5000人の受け入れを見込んでいますが、詳細は今後の省令などで定めることになっており、2019年を「移民受け入れ元年」に位置付けした、つけ焼き刃に終わらない長期的な外国人労働者の受け入れ態勢を整備すべきだと思います。

パブリック・リレーションズ(PR)の視点を社会にインプットしょう

現状を見てみると法律の改正がない中でも在留外国人の増加が続いているのは皆さんも実感されていると思います。

2015年には人口の自然減が約28万人なのに対し在留外国人人口の増加は約11万人、2016年は自然人口減約33万人に対し在留外国人は約15万人増、そして2017年は自然人口減39万人に対し在留外国人は約18万人の増加となっています。国籍で多い順は中国、韓国、ベトナム、フィリピン、ブラジルなどとなっています。

その結果、在留外国人の人口は平成の30年間で平成元年の約100万人から平成29年(2017年)には約250万人と2.5倍に急増しています。(厚生労働省、法務省などの統計をもとに)

増加の理由は出稼ぎ留学生や技能実習生の急増があると専門家は指摘、労働者として受け入れ体制がないため不法労働や低賃金での外国人労働者をめぐる問題が顕在化しているのも現実です。

この人口減少による労働力不足の大きな潮流が今後も続くのは明確で、人口減少が継続する22世紀の日本が活力を維持するにはAI(人工知能)、ロボティクス、IoT(モノのインターネット)などの最先端テクノロジーの活用と海外からの労働力受け入れを融合する必要があると思います。

その中で重要になるのがコミュニケーションの問題です。
外国人労働者にとって日本語の習得は地域とのコミュニケーションを深める意味でも極めて重要です。すべての受け入れ者にはしっかりしたカリキュラムの下での日本語教育が必要です。

これらの日本語を習得した外国人が将来母国に戻り、現地の日本企業で活躍してもらえれば、二重の意味で素晴らしい人材となり、日本市場とアジアの市場がより一体化してくるはずです。

またこれまで日本は、阿吽(あうん)の呼吸に象徴されるハイコンテクストのコミュニケーション環境にありました。今後は多民族、多言語、多文化を受け入れる文字通りダイバーシティのローコンテクストのコミュニケーション環境への対応も不可欠になります。

その中で重要な役割を果たすのが、マルチステークホルダーとの良好な関係構築を行うパブリック・リレーションズ(PR)であることは言うまでもありません。

個人、組織、企業、そして政府を取り巻く様々なステークホルダーと良好な関係を構築維持するために、戦略的なリレーションシップ・マネージメント=パブリック・リレーションズ(PR)を社会へ組み込むことが早急に求められます。

さまざまな立場でパブリック・リレーションズ(PR)の視点を持った人材が一人でも増え、平和でよりよい社会が継続できるようこれからも取り組んでいきたいと思っています。

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