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2019.03.15

空飛ぶクルマ〜実証実験を経産と国交省で年内にも4都府県でスタート

皆さんこんにちは、井之上喬です。

「あれから8年」をテーマに東日本大震災について様々なメディアで特集やニュースが流れました。いまだに不明者2539人、避難生活7万3千人という数字が重くのしかかります。一日も早い復興を祈念致します。

 

空飛ぶクルマ普及策立案のため「副業官僚」を公募

先週の日経電子版(3/7)は、経済産業省は自動で垂直に離着陸して移動する「空飛ぶクルマ」の普及策を立案する人材を民間から公募すると報道しています。普段は民間で働きながら、週1日、経産省で副業ができる人材を採用する方針です。民間で得られた知識や発想を生かしてもらい、省内の議論の活性化につなげる意図があるようです。

公募期間は、人材サービス会社のビズリーチと連携し、3月7日から4月3日まで。都市政策や地方創生に関連した業務経験を持つ人材と、PR(パブリック・リレーションズ:筆者注)業務などの経験者の計2人を募るとしています。日給約1万5千円を支払い、月4日程度の勤務を想定しているとのこと。

経産省は空飛ぶクルマについて、本格的な実証試験を年内にも始め、早期の実用化をめざしているといいます。当面、東京、大阪、福島、三重の4都府県と連携して都市や地方の課題を分析し、空飛ぶクルマが社会の課題解決に貢献するビジネスモデルをつくっていくことが狙いのようです。

実証試験場としては東京都が羽田空港周辺や西多摩地域で検討するほか、大阪府は大阪湾の人工島、舞洲の活用を想定。三重県は志摩市などにある人が住む離島を、福島県は大規模ロボット実証研究拠点「福島ロボットテストフィールド」に企業を招致して、産業振興を狙う方針のようです。

政府は安全性が確保された試験に限り、飛行を許可。他の自治体にも参加を促し、支援策も検討する計画とか。

ボーイング、エアバスが日本の実証試験参加に意欲

ボーイング、エアバスが日本での実証試験への参加に意欲を示しており、4都府県のいずれかの試験施設を使うことも検討しているとのこと。経産省には海外での開発競争に乗り遅れたくないとの危機感もあり、経産、国交の両省は安全性の基準づくりなど制度面の検討を加速していくとしています。

「空飛ぶクルマ」は、ドローン(小型無人機)やEV(電気自動車)の技術を応用し、複数のプロペラを電動で回転させた飛行を想定しているようです。経産省は離島や山間部を中心に空飛ぶクルマの事業を始め、20年代に都市部へと飛行を拡大する計画。30年代ごろからは都市で高い頻度での活用を見込むとのことです。

技術戦略を主導する米ボーイングのグレッグ・ハイスロップ最高技術責任者(CTO)は同社の航空機の未来や戦略について次のように語っています。

「この産業は常に変化の歴史を経験してきた。飛行機が空を飛んだ60年後、人類は月面を歩けるようになりました。例えば今、世界では都市の交通過密が問題になっている。都市への人口流入のスピードにインフラ整備が追いついていない。空にモノを上げて動かせば、地上の問題を緩和できる。この業界は世界を変える力を持つ」

そして、空の移動革命に向け、最も重要な技術について「電動化だ。将来、個人用の航空機が登場する時代になると、環境性能と静粛性が求められる。人工知能(AI)やセンサーも必要になる。航空管制を整え、空の交通を支えるシステムを作らないといけない」と語っています。

今回の日経電子版の報道で拍手を送りたいのは経産省が「都市政策や地方創生に関連した業務経験を持つ人材と、PR業務などの経験者の計2人を募る」としている点です。日給約1万5千円はどうかと思いますが、パブリック・リレーションズの重要性を十分認識しての公募であれば、私たちPR関係者として大変嬉しいことです。

また、「空飛ぶクルマ」の普及は東日本大震災をはじめ世界で頻発する地震や津波、洪水などの大規模災害時においても極めて有用なシステムとなることは言うまでもありません。

経産省の公募に志ある有能なパブリック・リレーションズ専門家が応募してくれることを期待しています。

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【お知らせ】
読売新聞「論点」(3/13朝刊)に寄稿しました。
企業の製品検査不正や省庁の障害者雇用水増しなど、組織が引き起こす不祥事があとを絶たない中でどうしたらなくせるか、パブリック・リレーションズ(PR)の役割を紹介しています。

この記事の全文は下記リンクからご覧になれます。
http://www.inoue-pr.com/news/831/

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