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2019.02.01

人類に警鐘を鳴らす「2つの時計」その2〜「世界終末時計」残り2分、過去最短に

皆さんこんにちは、井之上喬です。

周知の通り先日のテニス・全豪オープ女子シングルス決勝では、大坂なおみさんがペトラ・クビトバ(チェコ)と対戦、フルセットで優勝し世界ランクを1位としました。

アラブ首長国連邦(UAE)で催されている「サッカーAFCアジアカップ2019」でも森保ジャパンは決勝に進み2月1日、カタールと優勝を争います。

スポーツに熱中する私たちにとって、平和のありがたさを意識することはほとんどありませんが、世界が不安定な方向へ進みつつあるいまこそ、平和の意味についてしっかり考えていきたいと思います。

今回は、そんな平和を脅かす2つの時計について紹介します。タイトルは、私の2012年11月5日のブログと同じタイトル(人類に警鐘を鳴らす「2つの時計」)ですが、本号は「その2」として紹介します。このテーマは人類存続にかかわる重大な指標でもあり、今後も機会をみて紹介していきます。

要因は朝鮮半島での核戦争の危機増大

アメリカの科学雑誌『Bulletin of the Atomic Scientists』は先月25日、地球最後の日までの残り時間を概念的に示す「世界終末時計」(Doomsday clock)を前年から30秒進め、残り2分としたと発表。

北朝鮮の核・ミサイル開発により朝鮮半島での核戦争の危機が増したためとしています。冷戦期で核戦争の脅威が高まった1953年の残り2分と並び、過去最短となったとのこと。

時計の時刻の設定は、過去1年の出来事を踏まえて「ノーベル賞受賞者を含めた科学者」の協議に委ねられているそうです。前回発表の17年1月には気候変動問題や核兵器の不拡散に後ろ向きなトランプ氏の大統領就任で時計は30秒進み、残り2分半となっていました。

「世界終末時計」は、人類の滅亡(終末)を午前零時に設定し、その終末までの残り時間を「零時まであと何分」という形で象徴的に示す時計です。核戦争の危機を訴え1947年に初めて登場。米ソ冷戦の終結を迎えて、90年4月には針を4分戻し、終末 (午前零時)の10分前とされました。

時計の針が動かされたのは、初回から数えて今回で13回目。このうち針を戻したのは6回あるそうですが、米ソの対立が激化した84年には破滅3分前に迫ったとのこと。しかし、87年の米ソ首脳会談で6分前に戻されています。

なお、89年 10月号からは、環境問題も時刻の基準に加えられるようになりました。続いてもう一つの時計、「環境危機時計」の近況をお伝えします。

環境危機時計、14分進み過去最悪の9時47分

「環境危機時計」(the Environmental Doomsday Clock)は、地球環境の悪化による人類存続への危機感を時計の針で示すものです。

現在は、過去最悪の9時47分。09年から3年連続で戻っていた「環境危機時計」)の時刻が、再び進み始め、昨年の9時33分から14分進んだことになります。

これはトランプ米大統領が一昨年就任し、地球温暖化対策の「パリ協定」からの離脱を表明するなど、米国の環境政策の大幅な後退が鮮明になっていることが要因とみられています。

「2つの時計」を進めた要因にトランプ米大統領の名前が挙げられていますが、このように個人が名指しされたのはおそらく初めてのことではないかと思います。

私たちパブリック・リレーションズ(PR)の実務家は、人類存続の危機にかかわるこれら「2つの時計」が世界に伝えようとしているメッセージについて、各国政府機関やNPO、企業などの認識をもっともっと高めていく努力が必要だと、いまさらながらに強く感じています。

スポーツ鑑賞の合間に、平和の尊さと人類が平和を如何に維持していくべきかそんな考えが一瞬頭をよぎりました。

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