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2017.11.01

東京モーターショーに何を見るか〜EV、自動化で産業構造が一変する可能性も!

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

2020年の東京オリンピック開幕まで10月28日で1000日となりましたね。56年ぶりの東京オリンピック開催に向け、官民挙げて開催機運を盛り上げるさまざまなイベントが今後展開されることになります。

その前日、10月27日の日経平均株価が続伸し、終値で2万2008円45銭と1996年7月5日以来、21年3カ月ぶりに2万2000円台に乗せ、世界的な景気拡大にともなう企業業績の改善期待が株価を押し上げたようで、2020年に向け景気拡大に弾みがつきそうな話題でした。

キーワードはEV、自動化、共有化

そんななか2年に1度の「東京モーターショー2017」が10月25日の報道内覧会に始まり、11月5日まで東京ビッグサイトで一般公開されています。報道合戦も華々しく、クルマ関連の記事が相次いでいます。

私もトヨタの燃料電池車MIRAIを運転する大のクルマ好きで、テレビや新聞報道に注目しています。

20世紀とりわけ後半の大衆社会は、機械文明を象徴する自動車とともにあったといえます。街にはエンジンで動くクルマがあふれ日米欧を中心に巨大な自動車産業を生みだしました。

しかし温暖化対策や人工知能(AI)などの先端技術の発展が、クルマの世紀を大きく変え、新時代をつくりつつあるようです。朝日新聞の報道によれば「自動車産業には三つの波が押し寄せる。「電動化」「自動化」「共有化」だとし、新しい自動車産業の到来を予感させています。

自動車がインターネットに接続するとともに、センサーやAI技術を搭載した自動運転が可能になり、私たちに身近なモバイル端末やコミュニケーション・ロボットのような存在に近づく日も遠い未来の話しではなさそうです。

事実、インターネットにつながることで、海外で普及しているスマホアプリを使った配車サービスの米国ウーバー・テクノロジーズや中国の滴滴出行(ディディチューシン)などに見られる、ライドシェア(相乗り)のような新しい自動車関連ビジネスも急速に普及しています。

日本の自動車産業も危機感を

トラディショナルな自動車産業の構造変化は、異業種も含めた新規参入の嵐を予感させます。最近も家電量販最大手のヤマダ電機、掃除機で有名な英国ダイソンの電気自動車(EV)への参入など、これまで考えられなかった業種の参入報道がありました。

EVといえば2010年秋、米ベンチャー企業のテスラモーターズCEOのイーロン・マスクが来日した際、日本に持ち込まれた「テスラ・ロードスター」に試乗したことがあります。ドライバーの胸を締め付けるほどの圧倒的な加速パワーには圧倒されましたが、テスラは今やEVメーカーとしての地位を不動のものとしています。

ここで注目したいのはEVで主導権を握ろうとしている中国とこれまでは自動車とは関係が薄かったIT企業を中心とした異業種組の台頭です。年間の自動車販売台数が2800万台を超える世界一の自動車大国の中国はまた、EV製造に必要なレアメタルの世界一の生産国。将来のEV・自動車産業は中国の影響を大きく受けるのは必定といえます。

異業種参入の可能性の一例として、私たちに身近なスマートフォン(スマホ)を見てみましょう。

出荷台数は、調査会社IDCの調べでは2017年に15億3480万台、それが2021年には17億7410万台に達するとしています。

このスマホ向け半導体で世界トップを快走するのが米国クアルコム。スマホメーカーが必要とする技術やソフトウエアを提供し、スマホを製品化しやすいプラットフォームをお膳立てすることで急成長しています。

スマホのクアルコムのようなプラットフォーマーがEV市場にも登場する可能性は大いに考えられます。

「日本の自動車産業はこれまで蓄積してきたノウハウもあるし、完成車メーカーを頂点とするすそ野の広いケイレツピラミッド構造はちょっとやそっとでは崩れない」と思っている業界関係者も多いのではないのでしょうか。

このような考えがいとも簡単に崩れ去ったいくつかの日本の産業を過去私たちは目の当たりにしています。

これまで考えられなかったようなスピードでAI、IoT、クラウドなど最先端技術は進化していますが、新しいビジネスモデル、パートナーシップの可能性を模索しながら、まずは実行してみる、そんな英断が日本企業に不可欠になっていると感じます。

それにしても日産自動車やSUBARUの長年にわたる完成車検査に関連する不祥事には驚かせられますが、監督官庁が時代遅れの規則でメーカーを不必要に縛ることのないように、また官民同じく規則や慣習、制度の見直しを怠ることのないよう注意を払わなければなりません。

パブリック・リレーションズ(PR)の主柱となるリレーションシップ・マネジメントで様々な関わりを通して大きな構造変化や潮目を見る力を養わなければなりません。その活用を誤ると日本を支える産業が崩壊する危険性すら排除できなくなると深刻に危惧しています。

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