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2017.11.11

『広辞苑』第七版が新年に刊行〜総項目数は新たに1万を加え約25万項目へ

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

今回は、私も利用している岩波書店の国語辞典『広辞苑』の改訂版(第7版)についてのお話です。

既にご存知の方も多いかと思いますが、岩波書店が『広辞苑』第7版を来年1月12日に刊行すると発表しました。

2008年に刊行された第6版から10年ぶりの全面改訂で、総項目数は新たに1万を加えた約25万項目になるようです(朝日新聞10/25朝刊)。

人名では「トランプ」大統領が追記

報道によると今回の改訂では、基礎的な動詞や形容詞の説明刷新に力を入れたほか、「東日本大震災」「ブラック企業」「LGBT」「婚活」「スマホ」「ツイート」「炎上」「安全神話」「クールビズ」「コスプレ」「ドクターヘリ」「ブルーレイ」など、第6版刊行後の社会や技術の変化を受けた言葉が多数収録されたとのこと。

人名については、新たに米大統領に就任した「トランプ」をはじめ、「高倉健」「赤塚不二夫」「ジョブズ」「スピルバーグ」などが追加されています。

俗語では「がっつり」「ごち」「ちゃらい」など、社会に定着したと判断された言葉が採用されたようです。

時代と共に広がった語義も収録。「盛る」の説明に「おおげさにする」、「やばい」の説明に「のめり込みそうである」を加えたとのこと。

一方、「豊洲市場」については、候補に挙がったものの、都政の混乱で移転が不透明になったため掲載が見送られ、「給水ポンプ」「スーパー特急」など時代の変化で説明が不要になった言葉は削除されたといいます。

岩波書店によると来年6月30日までの完成記念特別価格(普通版9180円)での販売期間中に20万部の売り上げを目指すとしています。

発行部数は第3版の260万部を頂点に右肩下がりとなっていますが、岩波書店辞典編集部では、「何でも無料で検索できる時代だが、簡潔な言葉で正確に説明して欲しいという需要は減っていない」とコメントしています。

欠如するPR関連用語

第7版のページ数は140ページ増の3216ページ。裏写りしないように用紙を工夫、改良することにより何と厚さは第6版と同一にしているとのこと。

『広辞苑』は1955年に初版が刊行され、すでに60年余を経ています。

この間、改訂版を送り出すたびに収録する言葉を精査するだけでなく、本の装丁などについても真摯に取り組んできており、こうした努力の積み重ねが読者から愛され、信頼を厚くし、いまや「国民的辞典」と言われるまでに成長した要因となっているようです。

東京新聞10/25朝刊には:

今年の5月に亡くなられた作家の杉本苑子さんは、随想『春風秋雨』で、「葬式も墓も無用、骨は海にでも撒いてしまってほしい」と書き、続けて、文学者の墓の自分の名の下に、「使い古した『広辞苑』を一冊、埋めてくれ」と遺言した、と記しておられます。

としています。

『広辞苑』(第6版)で「パブリック・リレーションズ」を引いてみると、「ピーアール(PR)」としか表記されていません。

今度は「ピーアール(PR)」を引くと「企業体または官庁などが、その活動や商品などを広く知らせ、多くの人の理解を高めるために行なう宣伝広告活動」と定義しています。

「『メディア』は媒体。手段。特にマスコミュニケーションの媒体」とありますが、「メディア・リレーションズ」の記載はありません。当然のことながら「リレーションシップ・マネジメント」の記載もありません。

残念ながらパブリック・リレーションズ(PR)は、これまでの『広辞苑』の世界では、いまだに宣伝広告活動と混同されているようで、この分野での日本の後進性を見事に現しています。

さて第7版ではパブリック・リレーションズについて、またPR関連用語について、どこまで収録され、どのように紹介されているのでしょうか。

いずれにしても『広辞苑』が時代の、また社会のセンサー機能をもつのであれば、パブリック・リレーションズ(PR)がまだまだ日本社会に定着していないことの証左ともなります。

日本社会へパブリック・リレーションズ(PR)を普及、定着させていく努力が、私たち実務家にさらに求められています。

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