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2016.05.20
就活学生へのアドバイス〜面接で大事なのは「言葉のキャッチボール」
皆さんこんにちは井之上 喬です。
2017年春の入社に向け、本年3月1日からの就活解禁(企業エントリースタート)に続いて、6月1日からは経団連加盟の大手企業を中心に面接選考が本格化します。
志望する企業の内定を取るために、就活学生が面接で気をつけるべきことについて、先日の日本経済新聞(5/16朝刊)で紹介されていました。就活されている人たちに少しでも役立つ情報を提供できればと思っています。
文章を丸暗記して話すのはよくない
就職情報サイト「マイナビ」の吉本隆男編集長によれば、企業が面接を通じて知りたいことは、(1)入社後に成果を出してくれそうか、(2)組織の中で周囲とうまくやっていけそうか――の2点に絞られるそうです。様々な質問を投げかけてきますが、(1)、(2)に適した人物像かどうかを見定めようとしてとのことだとか。
またマイナビが昨夏、面接で何を聞かれたか就活生に調査したところ(複数回答)、回答の多い順に「自己PR」「学生時代に打ち込んだこと」「志望動機」がベスト3に挙がったとのこと。
これら3点については、よく求められる質問でほとんどの学生は準備しているようですが、失敗を恐れて文章を丸暗記して話すような対応は棒読みや早口、一方的な会話に陥りやすくマイナス。面接で大切なのは面接官との「言葉のキャッチボール」だといいます。
この「言葉のキャッチボール」は、パブリック・リレーションズ(PR)の定義を支えるキーワードである「倫理観」「双方向性コミュニケーション」と「自己修正」。まさに「言葉のキャッチボール」は、「双方向性コミュニケーション」と同じ意味を持つものです。
学業や研究・サークル活動、アルバイトなどの経験を話す時に気をつけたいのは「自分が成長した点」だけでなく「周囲の人とどう関わったか」にも言及すること。仕事が1人で完結することはほぼないので、面接官に「協調して業務をこなせる人材」と印象づけることが大切。
また、吉本編集長によれば「一番差がつくのは志望動機」。企業や業界、市場トレンドなどは即興で話すのが難しい。テレビや新聞、ネットのビジネスニュースと、各企業のホームページなどで事前にしっかり情報収集しておくとよいとのこと。
面接が1次、2次と進むにつれ面接官の役職が上がりますが、面接官の役職が上がると「企業の価値観に共感してもらえるか」をより重視する傾向にあるといいます。相手企業のホームページや報道記事などから経営トップのメッセージを把握しておきたいものです。
ノックの仕方などビジネスマナーを気にし過ぎる学生もいるようですが、まずは笑顔や元気なあいさつを心がければ相手にいい印象を与えられるといいます。
留意する必要がありますね。
就活ファッションの心得
面接のマナーや身だしなみで気を付けることは何か?ビジネスマナー講座などを手掛けるYDサポートの美土路雅子さんは「なぜそうした方がいいのか理由を理解することが大切」と指摘しています。
例えば髪形。前髪は眉にかからないように、髪の長い女性は後ろで束ねて、などと言われますが、これらは「表情が明るく見える」という理由があるといいます。縁の太い眼鏡を避けた方がいいのは、眼鏡で相手が表情を読み取りづらくなるためだとか。
女性のスカートの長さは膝下数センチといわれますが、これは品があるというだけでなく人前で立ったり座ったりする際に自分のスカートの裾に気を取られずに済むという実用性もあるようです。面接官に好感を持ってもらうだけでなく、就活生自身にもメリットがあるようです。
6月になればますます暑さが増します。面接会場に汗だくで現れるのも見苦しいので、移動で汗をかきそうな場合は、あらかじめ汗が引く時間も考えて早めに行動したいものです。
米国の心理学者アルバート・メラビアンは、彼の著書『 Silent messages(邦題:非言語コミュニケーション)』の中で、非言語コミュニケーション(「言葉」以外の要素、すなわち、声のトーンや大きさ、ボディランゲージや 見た目の印象)の重要性を説いています。
同氏が「好意や反感などの感情を伝えるコミュニケーション」という特定の状況下において「相手が重視するのは何か」という実験の結果を下記のように発表しています。
- 言語情報:メッセージの内容が7%
- 聴覚情報:声のトーンや口調が38%
- 視覚情報:ボディランゲージや見た目が55%
面接選考においては、面接する側も面接を受ける側にとっても言語情報が、より重要性をもつことはいうまでもないことですが、併せてビヘイビアについても気を使うべきことをメラビアンは示唆しています。
私もたびたび大学の教え子に就活のアドバイスをしたり、彼らから頼まれ志望企業の紹介をすることがあります。
その際必ず助言することは、単に企業に雇ってもらうのではなく、自分が仕事を通してその企業や社会に如何に貢献できるかをしつかり伝えることが重要であるということです。
そして、パブリック・リレーションズ(PR)の手法を使い、リレーションシップ・マネジメントを実践することの必要性を伝えるようにしています。
これから面接選考が本格化する時期を迎えますが、就活生の皆さんが体調管理に留意して、一日も早く志望する企業から内定を得られるよう願っています。