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2015.02.05
受験シーズン真っ只中!〜将来の日本を担う人材育成が可能な教育システムに
皆さんこんにちは井之上 喬です。
大雪情報が出るなどまだまだ寒い日が続いていますが、2月3日は節分、4日は立春と1日1日、暦の上では春が近づいてきました。
この季節は受験シーズンの真っただ中、受験生の皆さん、風邪などひかずに日ごろの成果を精いっぱい出して”サクラサク”を手に入れてください。
日本の近隣各国は高学力ぞろい
2月2日の日本経済新聞朝刊のGlobal Data Mapに「教育は国を作る 日本の隣人は高学力ぞろい」の見出しで経済協力開発機構(OECD)が実施している学習到達度調査(PISA:(Programme for International Student Assessment))の結果が紹介されていました。
このPISAは、OECDが進めている国際的な学習到達度に関する調査で日本では国立教育政策研究所が調査を担当、15歳児を対象に読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野について、3年ごとに本調査を実施しています。
最新の2012年調査は、OECD加盟34カ国、非加盟国・地域31カ国の65カ国・地域の約51万人の生徒を対象に実施されました。
詳しい結果は以下をご参照ください。
http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/
記事では数学的応用力、読解力、科学的応用力の3項目について、問題と国別の平均得点ランキングを掲載するとともに、日本の将来を担う子供たちの学力が世界の中でどの位置にあるのかについてコメントしています。
それによると「日本の高校生の学力を見ると、OECDのPISAによる『平均像』も世界のトップクラス」で数学的応用力、読解力、科学的応用力はそれぞれ、7位(前回9位)、4位(同8位)、4位(同5位)と順位を上げています。
面白いことに前回調査で上位に入っていたフィンランド、スイス、カナダなどが脱落したことです。「PISAの上位で目立つのは中国、シンガポール、香港、台湾、韓国などの儒教文化圏の国や地域。『学びて時にこれを習う』(論語)と言う教育熱心さは学習塾通いの多さからもうかがえる」と結果の背景にも触れています。
2000年の初回調査への参加国は32カ国で以降、参加国・地域は増加傾向にあります。その中で、日本の成績は2003年、2006年と続落し、文科省の「ゆとり教育」の問題点が指摘され、2008年に学習指導要領を全面改訂、「脱ゆとり教育」に転換しその後の2009年は3分野とも順位が上昇したという流れもありました。
2015年の大学入試センター試験から、脱ゆとり教育に即したセンター試験に変更されたのは記憶に新しいところです。
「暗記世代」「ゆとり世代」「脱ゆとり世代」つぎは「グローバル世代」?
そういえば、大卒で入社5年目までの若手社員が「ゆとり世代」に当たりますが、これまでの常識が通じなくて困る、など「つめこみ教育世代」「暗記教育世代」の上司たちが悩んでいる話しを耳にすることもあります。
大学入試では、1979年の共通1次試験の導入以来約40年ぶりの大学入試改革が2020年度導入を目途に動き始めています。中央教育審議会が昨年末にまとめた答申は、知識を使いこなす力など多面的な評価を重んじる方針を打ち出しており、教育改革を重視する安倍首相や下村文科大臣の意向が大きく反映された形になっているようです。
少子高齢化、厳しい経済環境などさまざまな課題先進国である日本にとって、グローバル化は不可欠ですが、グローバル人材の育成に日本のこれまでの教育は十分に対応できていないとの強い危機感があるのも事実です。
先月都内外国人特派員クラブ(FCCJ)で講演したノーベル賞受賞者の中村修二さんが、日本人は誠実で、モノ作りをさせても一生懸命素晴らしいものを作るが「英語が全くできない、世界でうまくやっていけない」と自らの経験を交えて日本の抜本的な教育改革の必要性を訴えていました。
グローバル社会では異文化や多様性を受け入れ、さまざまな人たちと良好な関係性の構築が求められます。つまり、パブリック・リレーション(PR)力が基盤となり、相互理解を通して互いが繁栄する環境が必要とされていることだと考えています。
教育は国を作る基盤です。これからの日本を支える若者の未来を考え、一部の人たちの思惑だけで実施されてきた教育改革にはピリオドを打って欲しいものです。