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2014.10.09
青色発光ダイオード(LED)発明でノーベル賞、おめでとうございます!〜「独創性」で思い浮かぶ、ある日本の研究者
皆さんこんにちは井之上 喬です。
10月7日、うれしいニュースが飛び込んできました。スウェーデン王立科学アカデミーが、2014年のノーベル物理学賞を赤崎 勇名城大学教授(85歳)、天野 浩名古屋大学教授(54歳)、中村 修二米国カリフォルニア大学教授(60歳)に授与すると発表しました。
LEDの世界を広げた高輝度青色LED
電気を通すと発光する半導体素子である発光ダイオード(LED)は、少ない電力で長寿命なことから照明やディスプレーなどの用途に採用されてきました。
赤、緑、青の三原色を組み合わせればほぼすべての色をLEDで表現できるとされてきましたが、高輝度の青色LEDの開発は難しく、20世紀中の実現は困難ではとも言われてきました。
しかし、1989年に赤池氏と天野氏が窒化ガリウム(GaN)による品質の良い青色LED材料を発見、その技術をもとに1993年に当時、日亜化学工業に在籍していた中村氏が青色LEDの製品化に成功しLED用途の新しい世界を拓きました。
今回の三氏のノーベル賞受賞は、少ない電力で明るく青色に光る青色LEDの発明と実用化に貢献した業績が認められたものです。
青色LEDの実用化により、照明やディスプレー、信号機、フラットパネルディスプレイや携帯電話のバックライト、自動車用ランプ、ブルーレイディスクの読み取り装置などに広く使われており、世界の人々の生活を変えるとともに、新しい産業創出につながったことが高く評価されたものです。
本当に受賞おめでとうございます。
「ミスター半導体」「光通信の父」「闘う研究者」西澤潤一氏
半導体関連での日本人のノーベル賞受賞は、1973年のトンネルダイオード「半導体におけるトンネル現象の発見」による江崎 玲於奈氏がいますが、私には今回の受賞発表に際し、ある人物の名前が浮かびます。
その方は東北大学の総長も務めた西澤 潤一氏です。
西澤氏は「ミスター半導体」、「光通信の父」とも呼ばれ、「独創の東北大学」を代表する研究者です。
東北大学萩友会のホームページに西澤氏のことが詳しくが紹介されていますが、「独創」と「闘う研究者」という興味深い側面が紹介されていますのでご覧ください。
http://www.bureau.tohoku.ac.jp/alumni/hitogoroku/vol_022/index.html
西澤氏は20代の大学院時代からPINダイオード、静電誘導型トランジスタ(SIT)、半導体材料の完全結晶育成法、高輝度LED(赤・黄・緑)、光ファイバーなどを次々に発明、開発、27歳の時に先輩助手10人を追い抜く、驚くべき昇進の速さと若さで助教授に抜擢されました。
しかし、独創的すぎるがゆえに論文や発表が当時の定説を否定するものも多く、若さも相まって世間の無理解と反発に遭い、闘う研究者とのレッテルを張られましたが、常に貪欲に科学技術分野における日本の独創性をリードしてきた人物の一人だと思います。
これまでもノーベル賞候補に挙げられていましたが、功績が評価され2000年に世界最大の学会である米国電気電子学会(IEEE)のエジソンメダル受賞、さらに2003年にはIEEEが20世紀の天才としてエジソンとグラハムベルから始まる世界で13人目の、その名を冠した賞である「西澤潤一メダル」を永久に創設するなど、海外での高い評価を受けて逆に日本でも評価をされる典型的な人物でもあります。
西澤さんはかって、日本の半導体産業が世界を席巻していた1980年代に、「1つの大きな発明で、その国を食べさせていくことができる」と、科学技術に力を入れることの重要性を説いておられました。
私は西澤さんに、今は亡き通信の専門家であった高崎望さんの紹介で1度だけお目にかかったことがあります。お人柄と共に頭の柔らかい、相手を包み込む研究者の印象を受けましたが、話すときにはまるで少年のような純真さ、素直さを持ち、多くの革新的な発明や開発をいくつも成し遂げてきた驕りなど、ひとかけらもない方でした。
今回受賞した赤崎氏、天野氏、中村氏もそうですが、実現不可能と多くの研究者が投げ出すような研究の困難さに立ち向かい、長い年月をかけ多くの壁を乗り越えるにはやはり純真さ、素直さ、そして忍耐が必要なのではないでしょうか。
東北のあるホテルのフロント横の掛軸には、西澤氏の書と思われる「愚直一徹」と書かれた4文字の毛筆があるようですが、東北人の誇を感じさせてくれます。
私が経営する井之上パブリックリレーションズは、1980年代のインテル、アップル・コンピュータに始まり多くの国内外の半導体関連およびIT企業のパブリック・リレーションズ(PR)をサポートしています。IoT(モノのインターネット)時代が到来し、一昔前のスパコンが私たちの手のひらに入る時代になり私たちは多くの恩恵を受けています。
世界の人の役に立つ困難な研究開発に日々取り組んでいる世界中の研究者、特に日本の研究者に改めてエールを送ります!