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2014.10.23

5年後のあなたへ「ロボットとうまく付き合っていますか?」〜サービスロボット急成長の予感、ロボット産業革命に乗り遅れるな

皆さんこんにちは井之上 喬です。
突然ですが皆さんは「ロボット」と言うと何を連想しますか?

ある年代の方は夢の世界だった鉄腕アトム、鉄人28号。ある人は自動車工場などで稼働する溶接や塗装のための産業用ロボット。

またある人は愛くるしい犬型ロボットAIBO(アイボ:SONY)、2足歩行のASIMO(アシモ:ホンダ)でしょうか。

それとも現実に使っている、最近流行の自動お掃除ロボットでしょうか? さらには今年ソフトバンクが発表し来年市販することでも注目を集めたヒト型ロボットのPepper(ペッパー)でしょうか。

それほどロボットは多様性を持つとともに、私たちにとって身近な存在になっていると言えます。

とりわけ日本のロボット専門家の多くは幼少時代、『鉄腕アトム』にあこがれロボット技術者を志すきっかけとなっている人も多く、日本がロボット技術力で世界最先端を走っているのも頷けます。

産業用ロボットで日本がリード

ロボットとはなんなのか?経済産業省のロボット政策研究会報告書(2006年)による考え方を紹介すると「センサー、駆動系、知能・制御系の3つの技術要素を持つ機械システム」をロボットと広く捉えています。

そのようなロボット市場、ロボット技術をこれまでけん引してきたのは、やはり工場で活躍する産業用ロボットだと思います。経済産業省の統計によると、2011年のロボット本体の市場規模は85億ドル(システム全体としては300億ドル)で、そのうちの半分以上が日本企業によるもので、日本企業がロボット市場をリードしてきたのがわかります。

ロボット大国ニッポン! 日本がこれからもこの立場を維持するためのポイントは、産業用ロボットで培ってきたノウハウを活かし、工場を出て生活の場で人間に身近なサービスロボット分野でも世界をリードしていく必要があります。

10月16日の日経産業新聞にも「サービス用ロボ急成長 世界需要2021年に工業用逆転」との見出しの記事がありました。

それによると2021年には、世界のサービスロボット市場が2011年の5倍の178億ドルに急成長し、産業用を追い抜くと予測しています。
このような市場の大きな変化のなか産業用ロボットで世界をリードしている日本で新たな動きが出ています。

「ロボット革命実現会議」に期待

政府は9月11日に「ロボット革命実現会議」(座長:野間口 有 三菱電機相談役)を開催し、東京オリンピックが開催される2020年を目標にした5カ年計画の策定に着手しました。

この動きはアベノミクスの第三の矢「成長戦略」の柱の1つに位置付けられており、趣旨は「ロボットを少子高齢化の中での人手不足やサービス部門の生産性の向上という日本が抱える課題の解決の切り札にすると同時に、世界市場を切り開いていく成長産業に育成していくための戦略を策定する」としています。

2020年に目指すべき事例としては、医療・介護現場での介護者の身体的負担を軽減する介護ロボット、ベッドが車椅子に早変わりするロボット、生産現場では食品を詰め替えるなど繰り返しの単純作業を自動で行うロボット、農業・建設・防災などでは農作業自動ロボットなどさまざまな場面でロボットを効果的に活用するとしています。

一方では使いやすさ、価格、ロボット活用のノウハウ不足、ロボット活用のための制度整備、機械技術に偏った技術開発などロボット革命実現に向けたさまざまな課題も指摘されています。

今月初旬に幕張メッセで開催されたCEATEC JAPAN 2014会場でも、さまざまなロボットが主役の座を占め、来場者の注目を集めていました。

オムロンの卓球ロボット、村田製作所の玉乗りロボット「チアリーディング部」、東芝の女性の姿をした手話ロボットなど、各社のセンサー技術、制御技術、無線通信技術、計測技術などを結集したロボットでした。

日本企業のロボット関連の要素技術は世界のトップを走っていると思います。今後はそのような技術=日本の英知を結集するとともに、さらなる技術開発、規制緩和、標準化そしてグローバル戦略が不可欠になります。

ロボット革命実現会議に大いに期待するとともに、ガラパゴス・ロボットにならないためにも、世界のニーズを把握し、タイミングを見極めた世界への情報発信のためにパブリック・リレーションズ(PR)の果たす役割が重要になってくると思います。

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