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2021.10.25

投票所に行こう!
~エネルギー政策など自分事として考える

皆さんこんにちは井之上喬です。

北の国から初雪の便りが届くほど急に寒さが増してきました。
新型コロナの新規感染者数は減少傾向にありますが、寒い冬に向かってインフルエンザの流行も懸念されます。
体調管理には引き続け留意してまいりましょう。

原子力の日、ご存知でしたか

10月26日は「原子力の日」です。

1963年(昭和38年)のこの日、茨城県東海村の日本原子力研究所(現在の日本原子力研究開発機構)の動力試験炉(JPDR)で、日本が初めて原子力による発電に成功しました。また、これに先立つ1956年(昭和31年)に、日本が国際原子力機関(IAEA)への加盟を決めた日でもあることから、10月26日が原子力の日に制定されたそうです。

日本国内で運転中の原子力発電所は、10月19日現在、関西電力の大飯原子力発電所3、4号機、九州電力・玄海原子力発電所の3、4号機など合計8基。最大出力の合計は817万6,000kw(2基は定期点検および特別定期点検中)になっています。

ちなみに日本の全発電電力量に占める原子力発電の割合は、2017年が2.8%、2018年4.7%、2019年6.5%、2020年は4.3%で推移しています。
電力は、いうまでもなく日本の暮らしや経済を支える重要なエネルギー源です。その需給や発電方法などの構成について、政府はおよそ3年ごとに、「エネルギー基本計画」を作り、将来の見通しを示しています。10月22日には、第6次のエネルギー基本計画が閣議決定されました。今回の主要な変更点を見ると、脱炭素に向けて再生可能エネルギーの割合を「36~38%」と、現在の計画から10ポイント以上引き上げています。

世界各地でますます進行する気候変動を少しでも緩和するために、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)排出量の大幅削減は待ったなしです。政府は、2030年に温室効果ガスを2013年度に比べて46%削減するとの目標を掲げています。6年前に示した26%削減を大きく引き上げました。実現に向け、石油、石炭など燃焼によりCO2を出す化石燃料から、太陽光や風力などCO2を出さない再生可能エネルギーへとどう移行するか。実現に向けての電源構成を大きく見直したことが、今回のエネルギー基本計画の注目点です。

2030年度の再生可能エネルギーの割合は、36~38%と、3年前に定められた現行の第5次計画(22~24%)と比べ、10ポイント以上引き上げる高い目標を設定しました。その結果、再生可能エネルギーはこれまでのわき役から、欠くべからざる「主力電源」の一つとすることを目指しています。一方、CO2を排出する火力は、現計画での目標56%から41%へと大幅に減らし、脱炭素を加速します。

そして原子力発電です。「必要な規模を持続的に活用していく」と、現行計画を引き継いで20~22%の同水準を維持しています。脱炭素の主要電源として今後も一定水準を維持し、二酸化炭素排出の削減につなげる狙いであることが明白ですが、大きな課題は、いまだに核燃料廃棄物の処理場が決まっていないことです。10年前、東日本大震災で重大な事故を起こした福島第1原発では、今も地下水が原発建屋内に流れ込んで放射性物質により汚染され、その水を処理した水を溜めたタンクは敷地内にとめどなく増え続けています。政府は思い余って海洋投棄を打ち出すものの、地元漁協や世界各国が反対を唱えるなど、場当たり的な状況を呈しています。

以前、小泉純一郎元総理がフィンランドの世界唯一の核廃棄最終処理場(当時建設中でわずか2基分)があるオンカロを訪問しました。その際、核廃棄物から出る放射線による生物への安全性影響が少なくとも10万年続くことを知り、以来原発反対を主張しています。世界400基を超える原発の核廃棄場もない状況を理解し、反対に転じたのです。2011年に福島第1原発事故が発生すると、ドイツや韓国などは原発廃止を宣言しました。外国で起きた事故を他の国のことと看過せず、自分事としてとらえる素早い行動だったと思いますが、事故発生国の日本はいまだに、脱炭素の切り札としてクリーンエネルギーとされる原発に固執する、あいまいな姿勢のままです。さまざまなステークホルダー(利害関係者)との対話や関係構築(リレーションシップ・マネジメント)を重ね、よりよい状態を目指して自己修正も柔軟に行うパブリック・リレーションズ(PR)の視点で見ると、考えられないことです。

水素エネルギーに注目

このブログでも紹介してきましたが、私は以前からクリーンな次世代のエネルギー源として水素エネルギーに注目し、経営する井之上パブリックリレーションズのCSR活動の一環として2009年4月から「水素研究会」を定期的に開催しています。

これまで、水素開発の専門家や事業会社、メディア関係者などの方々と共に、一日も早い水素社会の実現を目指して定期的な勉強会を行ってきました。前述の小泉元総理を始め、各分野の一線で活躍している方々をゲスト講師にお呼びし、講演後のビールやワインの入った懇親会での談論風発が12年間続いています。

この水素研究会を起点にして、2019年11月には、水素エンジン開発に取り組むiLabo(アイラボ、東京・中央区)が誕生、私はファンディングメンバーの1人として、パブリック・リレーションズ(PR)の大きな柱であるリレーションシップ・マネジメントの手法を生かして事業展開を応援しています。

10月31日投開票の衆議院議員選挙では、各党、各候補者は新型コロナ対策、経済政策、ジェンダーなどについて論戦を繰り広げています。しかし今一度、気候変動、地球温暖化にいかに対応するかという視点から、エネルギー政策がもっとクローズアップされてもよいのではと感じています。

ミレニアル世代、Z世代、そして次の世代に大きな負の遺産を押し付けず、持続可能(サステナブル)な社会実現のためにも、政治・政策を自分の事としてとらえる必要があります。今はその好機です。投票所に足を運び、一人ひとりが意思表示をすることから始めましょう。一人ひとりは小さな1票でも、1万、10万、100万人が意識を合わせれば、大きな塊になります。戦後最大の民主主義の危機と言われている今こそ、小さな1票をみんなで行使しようではありませんか。

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