パブリック・リレーションズ

2006.06.16

実務家に求められる10の能力9.理解力と幅広い知識

こんにちは。井之上喬です。

雨模様が続いていた関東地方も入梅し、梅雨空に咲くアジサイが美しい季節となりました。皆さん、いかがお過ごしですか。

広報担当者やパブリック・リレーションズの実務家の役割は、経営トップやクライアントに対して、問題に対するソリューションを提供することです。特に実務家にとって、グローバル化が進むインターネット社会では複雑多様化する問題を解決するには、常にスピーティな対応が要求されます。今回はパブリック・リレーションズの実務家に求められる能力の第9回として「理解力と幅広い知識」を取り上げます。

広辞苑によれば理解とは、物事の道理を悟り知り、人の気持ちや立場が良くわかること、また知識とは、ある事項について知っていることとあります。

理解は知識を獲得する上で欠かせない行為であり、知識は物事に対する理解を促進します。したがって幅広い知識は理解力の質を向上させ、高い理解力によって知識の幅や奥行きが深まるといったように、互いが相乗効果を生み出す関係にあるといえます。

危機管理をカバーするパブリック・リレーションズにおける理解力とは、物事を客観的かつ論理的に洞察して、その本質をすばやく的確に捉えることです。短い時間で物事の本質まで理解するには直観力も必要ですが、そのベースとなるは幅広い知識と経験です。

PR実務家は「偉大なる常識人」

経済学、社会学、経営学、心理学や政治学など20を超える学問領域をカバーするパブリック・リレーションズでは、世の中の多種多様な事象に関する問題が扱われます。したがって社会の成り立ちや世の中に起こっているさまざまな事象をバランスよく知ることが極めて大切です。

しかし単に知識があるだけでは十分とはいえず、人間としての常識「世の中の道理」を知り、その基準に照らし合わせて物事を理解し吸収することも重要です。ある意味においてPRパーソンは、幅広い分野における深い造詣と常識を兼ね備えた「偉大なる常識人」でなければなりません。

また、時として所属する組織のトップやクライアントが適切でない考え方や態度を示した場合には、正しい方向に導くために説得を試みなければなりません。そのような際も、倫理観はもちろんのこととして、普遍的かつ常識的な裏づけのある提案には説得力があり、よりスムースに相手を納得させることができます。

相手を理解するだけでなく理解させる力も必要

また実務家には相手を理解する力だけではなく、相手に理解してもらう力も極めて重要となります。大切なことは双方向のコミュニケーションをとおして互いを理解することです。双方向の関係性の中で深く相手を知りあう行為は信頼関係を深め、実務家と経営トップ、あるいはクライアントが同じ意識レベルを保ちながら密接に連携し問題に取り組むことを可能にするのです。

今まさに起きている日中や日韓関係における諸問題は、双方による相互理解への取り組みが極めて希薄であることに起因しているといえます。両国と日本との間で起きた歴史的事実の究明やそれぞれの国の歴史的背景や社会の成り立ちなど、当事者として互いについての幅広く正確な知識が、相互の理解を深め信頼を醸成してゆく道なのではないでしょうか。

成り立ちの違うもの同士が、深く理解し合い信頼関係を築くには相当な努力が必要です。だからこそ、双方が意識して「相手を理解し、相手に理解してもらう努力」に対して真摯に取り組んでいかなければなりません。

パブリック・リレーションズの取り組むべきテーマはここにもあります。

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