パブリック・リレーションズ

2009.09.07

「第16回北京国際ブックフェア」開催〜拙著の中国語版の出版が実現

こんにちは。井之上喬です。
もう9月、皆さんお元気でお過ごしですか?

先日北京で開催中の「第16回北京国際ブックフェア」(写真:9月3日-9月7日)へ行ってきました。訪問の目的は、フェア会場で拙著『パブリック・リレーションズ』(日本評論社)の中国語版の出版調印式に出席するためです。
5日間にわたる同フェアは中国全土からはもちろん、多くの出版業界関係者が世界中から集まって催される中国最大の書籍出版のイベントです。主催は政府機関の国家新聞出版総署。9月3日には中国作品を日本へ紹介する学習研究社が、9月4日には拙著を中国へ紹介する二つの調印式典が行なわれました。

出版事業で初の日中文化の相互交流

このフェアはすべてにおいてスケールアウトしています。主催者発表では、予想来場者20万人以上、展示面積43000?、国内展示参加企業約520社、海外参加展示数800、展示総ブース2146、展示図書16万点。

フェア二日目に開催された拙著の調印式典には、中国政府からは国家版権局の司長でもある中国版権保護センターの段桂鋻(だん けいかん)主任(写真左端)、そして東方出版社の黄書元社長(写真左から2番目:人民出版社社長でもある)またゴールデンブリッジ(GB)からは森田栄光社長(筆者の右)が出席しました。GB社は昨年設立された中国政府と日本企業の合弁企業。そのGB社と中国国家版権局の直属事業機構の中国版権保護センターが出版事業で日中の相互交流を実現させたのです。

写真:調印式典

人民出版社は3つの国営出版社(他は民族出版社、盲文出版社)のなかのフラッグシップ会社で、毛沢東、周恩来、鄧小平、江沢民など、歴代中国の指導者の思想書をはじめ、政府の法律関係書などを発行する出版社として知られています。一方東方出版社は、人民出版グループの中で主として外国作品を扱う事業部門。

これまで中国では、米国のパブリック・リレーションズ関係の書籍は出版されていますが、この分野での日本の出版物が中国語で紹介されるのは初めてのことのようで、日本コンテンツの中国への輸出ということになります。

これに対し、中国コンテンツの日本への輸入については、日本の学研が中国オリジナル漫画「三国演義」(安徽美術出版)を来年度の小中学校の図書館用書籍として翻訳出版します。ちなみに、中国のオリジナル漫画が日本の学校用図書として採用されるのは初めてのこと。

真の民主化を願って

今回中国で出版される本では、私の40年にわたるPRの実践的体験を通して、新たなパブリック・リレーションズにおける「モデル」を提唱しています。それが、「倫理」「双方向」「自己修正」の3原則を有する「自己修正モデル(Self-correction Model)」。

日本をはじめとする世界の国々は、さまざまなグローバルな問題に取り囲まれています。この本で紹介されている自己修正モデルは、いままで追い求めた物質的豊かさをベースにした経済至上主義が破綻をきたし、新しい概念に基づいたパブリック・リレーションズが模索される中で提示される21世紀のパブリック・リレーションズの新しいモデルとして、筆者が位置付づけているものです。

中国は建国以来さまざまな困難に直面し、それらを乗り越えてきました。いまや世界の経済成長のエンジンの一つになろうとしている中国ですが、成長を遂げながら56の異なった民族を抱合することは至難の業。パブリック・リレーションズは健全な民主主義社会の中でこそ生きていける手法です。そうした意味で、中国へのパブリック・リレーションズの移入の成否は同国の将来を占う上で重要なバロメーターになると考えています。

今年11月の上梓が予定されているこの中国語版は、PRの分野で40年の経験を重ねてきた私の、非英語圏の日本を含むアジア地域の文化的背景を踏まえた、従来の「広報」や「宣伝」の枠を超えた「パブリック・リレーションズ(PR)」の重要性を説いた入門書となっています。中国での書籍名は「戦略公関」。年内の上梓で、初回発行部数は5,000部を予定し、中国の人たちにも理解しやすいように構成されています。

私の本の中国での出版は、長年の夢でもありました。旧満州国・大連市で生まれた私は、いつの日にか中国と日本の相互交流を通してその架け橋になりたいと考えていました。今回の出版が、中国と日本の新しい「絆(Kizuna)づくり」の出発点となるよう、心から願っています。

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