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2006.10.13
私の心に残る本 その2『原因と結果の法則』〜成功への確かな礎とは…James Allenの世界
こんにちは、井之上喬です。
皆さん、いかがお過ごしですか。
心の力が全てを生み出す
「この宇宙を動かしているのは、混乱ではなく秩序です。」
表紙をめくり、私の目にいきなり飛び込んできた言葉が、私の心を突き刺しました。
手に取っていたのは、 As a Man Thinketh という原題の日本語版。『原因と結果の法則』(サンマーク出版)と題し2003年に出版された本でした。1902年にイギリスで出版されて以来、この本はバイブルに次ぐベストセラーといわれるほど多くの人の心を捉え、勇気づけてきたといわれます。
今回は、現代成功哲学で著名なナポレオン・ヒルやデール・カーネギーにも大きな影響を与え、成功哲学の祖として知られるジェームズ・アレンの代表作『原因と結果の法則』をご紹介したいと思います
1864年、ジェームズ・アレンは英国に生まれました。父親の事業の破綻と死により15歳で学校を退学に追い込まれたアレン。その後、さまざまな仕事を経験しながら独学で執筆方法を学び、38歳で執筆活動を本格的にスタート。それから9年あまり、47才でこの世を去るまで19冊ほどの本を著したといわれています。
彼の本が100年という時を超えて愛される理由は、成功のためのエッセンスが、この世の原理と心の力を軸にシンプルに書かれているからでしょうか。彼のメッセージはただひとつ。この世には絶対的な法則が存在し、その法則と心の状態を合わせることで必ず成功できる。それを実現するのは、あなたの心の力であり、その力がすべてを生み出す、というもの。
夢を抱き続けることの大切さ
想像をはるかに超えたパワーを持つ私たちの心。この力を正しく使うにはどうしたらよいでしょうか。この本からいくつか文章をご紹介しながら考えていきます。
まず、この世を支配する普遍的な法則を理解すること。アレンの言うように、善は善を生み、悪は悪を生むという法則がこの世を支配しているならば、人間の行為における善・悪の観念を知ることは倫理観を認識することにほかなりません。世界で露呈している様々な問題に焦点を当てると、世の中は混乱そのものに見えます。しかし、そこにはゆるぎない秩序が働いています。原因と結果の因果関係を見つめながら確固たる倫理観を自分の内に築いていく。これが、成功への出発点だといえます。
また、「私たちは、自分が考えたとおりの人間になる(As a Man Thinketh)」とあるように、結果を生み出す原因は私たちの心の状態にあります。「善の思考は、少なくとも最終的には必ず良い結果を生み、悪い思考もまた、最終的には必ず悪い結果を生む」と強く心に刻み、ポジティブ思考で物事に取り組むことが極めて重要といえます。
良い結果を期待しながら積極的に活動する姿勢は、多様な要素を含む複雑なプロジェクトを扱うPRの実務家にとって必須となる資質です。私はパブリック・リレーションズ専門家に求められる5つの基本条件として、倫理観と並んでポジティブ思考を採り上げています。
そして高い志を掲げること。「気高い理想を掲げ、そのビジョンを見続けている人間は、いつの日にか、それを現実のものにします」。私たちの人生は成功や挫折・苦難などいろいろな場面に遭遇します。このようなとき、夢は実現できると信じ努力し続けることができれば、その夢は必ず叶うと思うのです。大切なことは、常に心を夢に集中させることです。
戦略家として社会に貢献できる人生を送りたい。私が20代半ばから意識していた志です。パブリック・リレーションズは、顧客(クライアント)の目標達成のために、戦略を考え実行し、結果を生み出す職業であると共に、仕事を通して社会に貢献できる仕事。23歳でこの業界に入って以来、様々な困難を乗り越えながら仕事を続けてこられたのも、私の志とPRの持つ本質的な役割と機能が一致していたからだと思うのです。つまり、私がパブリック・リレーションズに夢を見出すことができたからだと思うのです。
この本は、あとがきを含めて95ページ。とても読みやすいので、一度、手にとって見てはいかがでしょう。本を開くたびに、あなたに新たな活力と勇気を与えてくれるでしょう。
いま世界は深刻な混乱状態にあります。そんな世界を見据えたとき、秩序がすべてを動かしていることを私たちに気づかせてくれた、この本の持つ不朽性を感じないではいられません。