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2006.12.23

私の心に残る本 その3 『マザー・テレサ 日々のことば』〜クリスマスにちなんで

こんにちは、井之上喬です。

明日はクリスマス・イヴ。25日にはクリスマスと今年も恵みの時がやってきます。
皆さん、いかがお過ごしですか。

クリスマスは、およそ2000年前にベツレヘムで生まれたイエス・キリストの誕生を祝う日です。クリスマスのスピリットは「愛」。「愛は、この世で最も偉大な贈り物なのです」と神との深い一致を通して、その愛を実践した一人の女性がいました。

彼女の名は、マザー・テレサ。
今日は、マザー・テレサが折りにふれて語った言葉を、365日にわたって、日々のことばとして一冊の本にまとめた、『マザー・テレサ 日々のことば』(2000年、女子パウロ会刊)をご紹介します。

マザー・テレサ(Mother Teresa、本名アグネス・ゴンジャ・ボヤジュ:Agnesë Gonxhe Bojaxhiu)は、1910年8月27日、スコピア(現マケドニア)のアルバニア商人の裕福な家庭に生まれました。両親は熱心なカトリック教徒で、母親は貧しい人を食事に招き入れるほど奉仕の精神に溢れる人でした。
28年、18歳のテレサは、アイルランドのロレッタ修道会に入会しました。その後、カトリックの修道女としてインド・ダージリンへ派遣されました。そして31年、初誓願を立て、その修道名をシスター・テレサとしました。

たった10数円を手に一人で貧民街へ

46年、36歳の夏、シスター・テレサは黙想のためダージリンへ向かう汽車の中で神の声を聞きます。テレサは48年、「神の召命」となる貧困救済活動を行うためインド、カルカッタのスラム街に「青空教室」を開設。粗末なサリーをまとったテレサがひとり貧民街に立った時、その所持金は僅か5ルピー(現在1ルピーは約2.5円)だったといいます。

50年、テレサは「主よ、どうか私をあなたの平和の道具としてください」を信条に、 12人のシスターと共に“貧しい中の最も貧しい人に仕える修道会”「神の愛の宣教者会」を設立。総長就任と共に指導的な修道女への敬称であるマザーを用いて「マザー・テレサ」と呼ばれるようになります。

死を迎える最期の一瞬だけでも、人間らしく扱われることの重要性を知っていたマザー・テレサは52年、路上で死に瀕した人を招き入れ、愛のなかで最期を看取るための施設である、「死を待つ人々の家」(Home for Sick and Dying Destitutes)をカルカッタに開設しました。

宗教を超えて人間の尊厳を守る

『マザー・テレサ 日々のことば』のなかの「11月17日」には、愛は、宗教、民族、社会的地位を超えて差し伸べられなければならないという、彼女の人間の命への尊厳と人間に対する敬愛の念を示す、次のことばが記されています。

「『死を待つ人々の家』では、…..誰にも必要とされず、愛されずに亡くなった人は一人もいません。….. 私たちはヒンズー教、イスラム教、仏教、カトリック、プロテスタント、その他どんな宗教でも、それぞれに記された規範に従って彼らが望むものは何でもしたり与えたりしています」

また「2月5日」には、「私たちが排水溝から引き上げた男性は体の半分を虫に食べられている状態でした。カリガートにある『死を待つ人々の家』に連れて来ると彼はこう言いました。『私はこれまで道端で獣のように生きてきました。それなのに今、愛され、手当てを受け、まるで天使のように死んで行きます』」

マザー・テレサの活動は世界でも高く評価され、79年にはノーベル平和賞を受賞しました。審査員の満場一致による受賞であったといわれています。その賞金は全額寄付されました。受賞のスピーチでマザーは、アッシジの聖フランシスコの「平和の祈り」を朗読しました。

その一部分が日々のことばの「2月24日」に記されています。
「主よ、私を平和の道具としてください。憎しみのあるところに、愛を、不当な扱いのあるところに、ゆるしを、分裂のあるところに和解を、誤りのあるところに真実を、疑いのあるところに信頼を、絶望のあるところに希望を、闇のあるところに光を、悲しみのあるところに喜びをもたらしますように」
受賞後も彼女は、愛の担い手として以前と変わりなく朝4時に起床しシスター達と一緒に、最貧の人々を救済する活動に専念したといいます。

97年9月5日、マザー・テレサは「もう息ができない」の言葉を最後に帰天しました。87歳でした。その8日後、インドで国葬が行われました。国家の要職についたわけでもない人のために国葬が行われるのは異例のことでした。如何にインドの人々が彼女を深く敬愛していたかを物語っています。

彼女の死から約6年後の2003年10月、マザー・テレサは教皇ヨハネ・パウロ2世によって異例のスピードで列福されました。
マザー・テレサが一人で始めた活動は、現在では世界120カ国へと広がり、6000人ものシスターやブラザーによって支えられています。そして、彼女が毎日座っていたカリガートのある祈りの部屋には、彼女の棺とともにあの小さく華奢な身体をした、座って祈りを捧げる模像が置かれています。私のマザー・テレサとの出会いは、何年か前にカルカッタの本部を訪問した際のことでした。精緻にできたその模像から、彼女の息づかいが聞こえてくるようでした。

『マザー・テレサ 日々のことば』は彼女の深い愛に満ちたことばを通して、喜び、平和、愛、希望という私たちの中にある大切なものをもう一度気づかせてくれる、そんな本です。一度手にとってみてはいかがでしょうか。その日の日付のページを読むのもいいですし、ふと気になったページを開いてみても、きっと皆さんの求める言葉に出会えると思います。

この本が、皆さんに素晴らしい一日をもたらしますように。
最後にクリスマスの日に選ばれたマザー・テレサのことばを紹介します。

「12月25日」
クリスマスの日、
私たちは、
か弱く、貧しく、
幼い乳飲み子としてのイエス様を見ます。
彼は、愛し、愛されるために来られました。
私たちは今日の世界で、どのようにして
イエス様を愛することができるのでしょうか?
私の夫に、私の妻に、
私の子供たちに、
私の兄弟や姉妹に、
私の周りの人たちに、
そして貧しい人たちの中におられるイエス様を、
愛することによってできているのです。
さあ、ベツレヘムの
貧しい飼い葉おけの周りに集いましょう。
そして、私たちが日々出会う
全ての人の中におられるイエス様を
愛することを固く決心しましょう。
メリー・クリスマス!

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