こんにちは。井之上喬です。
今日は敬老の日。戦後の日本を今日の平和と繁栄に導いてくださった、お年寄りの方々への感謝の気持ちを込めて、一日のお休みを深く味わいたいと思います。
さて、広報担当者やパブリック・リレーションズを専門業務とする実務家は、(目的を達成するために)情報の発信を行なう、個人・組織体とターゲット(パブリック=一般社会)との間のインター・メディエーターとして機能し目的達成を成就させる責任と役割があります。そのためにはあらゆる場面でポジティブ思考が要求されます。
今日は、実務家の5つの基本要件である1.倫理観 2.ポジティブ思考 3.シナリオ作成能力 4.IT能力 5.英語力の中から2.の「ポジティブ思考」についてお話ししたいと思います。
ポジティブ思考は「あらゆる事に感謝する心」から生まれ、他者のみならず自己をも受け入れ、現状を肯定的に捉えることです。この思考は前向きでフレキシブルな行動を促し、自己修正のベースともなる考え方です。
激変する複雑な社会で、様々なターゲット(パブリック=一般社会)と良好な関係を継続的に築いていくには、深く幅広い知識や経験を必要とします。時として個々の知識や経験で対処しきれないこともあります。そのために日頃、協力を要請できる人間関係を構築しておくことが不可欠です。
ポジティブ思考を持つ人間の周りには自然に人が集まり、多様な知識や経験を持つ知的ネットワークが広がります。情報収集や意見交換をとおして専門性の高い協力を得ることは、目的達成への道のりを早めるだけでなく、より確実なものにしてくれます。また、個人や組織体の橋渡しをするインター・メディエーターとしても絶大な効果を発揮します。
一方ネガティブ思考の環境には、アミカブル(友好的)で相手を受け入れる発想がないため、柔軟性のある考え方が欠落しています。従って相手の視点を持たない一方向的な活動に偏りがちとなり、一つ間違えれば相手を不安定な状態に落としいれコントロールするプロパガンダ的行為に陥ってしまう危険性があるのです。
パブリック・リレーションズ活動では、文化、言語、思想、信条、法律、制度など大きな壁がいくつも立ちはだかり苦境に立たされることもしばしばあります。しかし、ここで簡単に設定された目標のスケールを小さくしたり、方針変更を行なっていては大きな成果を得ることはできません。困難で危機的状況にあっても目的達成への肯定的な態度を失わず、達成完遂のために向かっていくことがプロフェッショナルとしてのあるべき姿といえます。
また、立案されたプログラムが実施される中でも状況は刻一刻と変化しています。その過程で間違いを発見したときに、相手や置かれている状況を受け入れ、早い段階で自己修正を行なう必要があります。これにより結果として回り道をせず、最短距離での目的達成を可能にするのです。
このようにポジティブ思考がパブリック・リレーションズにもたらす効果には計り知れないものがあります。
従来の日本の組織体は最初に最悪な状況を想定し、その範囲内で物事に取り組む傾向があります。その場合、失敗を恐れるあまりガードが固くなり、新しいものを受け入れることが困難になるようです。また、ネガティブ思考の環境に長く身を置くと、自分自身の思考に気がつかず自らそれを認め受け入れることは容易でないことも事実です。
日常の業務を行う上で自分の姿勢を振り返り、自分自身の中にポジティブ思考を育むことは、パブリック・リレーションズだけでなく、それぞれの人生にも大きくプラスに働くものとなるでしょう。