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2017.12.01

2年に1回のロボット展の熱気を産業育成に生かせ〜AI、IoTなど高度なニーズに新たな発想で対応し新“ロボット大国ニッポン”を

皆さんこんにちは井之上喬です。

いよいよ師走、2017年の締めくくりと新年に向けた準備をしっかりしたいですね。

井之上パブリックリレーションズは、CES、CEATEC、Japan IT Week、SEMICON Japanなど国内外のさまざまな展示会のパブリック・リレーションズ(PR)活動を支援していますが、11月29日(水)から12月2日(土)まで東京ビッグサイトで開催されている「2017国際ロボット展(iREX 2017)」(主催:一般社団法人日本ロボット工業会、日刊工業新聞社)はクライアント企業も何社か出展しており注目している展示会です。

進化し続けるロボット産業

iREXは2年に1回開催されている世界最大規模のロボット関連の総合展示会で、今回で22回目。

今回のテーマは「ロボット革命がはじまった?そして人にやさしい社会へ」で、製造業などでの利用拡大はもとより、災害対応や介護、福祉、農業、教育など新たなロボットの応用分野の拡大をアピールしています。

皆さんもご存知の通りロボットの進化は著しく、それを反映し開催規模も前回の446社、ブース(小間)の数も1882から大幅に拡大し、出展社数は前回比166社増の612社、出展小間数は893小間増の2775小間と、いずれも過去最高を更新している、と発表しています。

来場者数も前回実績の12万1000人強から、13万人を目標にしているようです。

海外からの出展も増加しており、出展社数は80社、252小間で前回比23社、93小間増となっており、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スイス、ハンガリー、デンマーク、オーストリア、カナダ、スロバキア、中国、台湾、韓国の13カ国(地域)から出展、世界規模のロボット関連トレードショーとして認知されていると言えるでしょう。

その理由には、日本のロボット産業が工作機械に象徴される製造業分野を中心に世界をリードしているからにほかなりません。

多様化するロボットニーズに柔軟な対応が不可欠

日本政府もロボットを成長戦略の柱にするべく、9月に未来投資会議を開き、2018年の成長戦略の改定に向けた議論を始めましたが、成長戦略の改定に向けての重点項目として、1)IoT、ロボット投資、2)自動走行、3)健康・医療データの活用、4)物流・建設・農業などの現場効率化、5)企業の新陳代謝の促進、6)人材の移動、7)規制を実験的に一時停止するサンドボックス制度の早期具体化、を挙げ重点的に議論する方針を示しています。

成長戦略の大きな柱になっているロボット産業は、今、大きな転換期を迎えています。

今回のiREXを見ても、従来の製造業向けの産業用ロボットでも人との協働型ロボットの展示や今回初の人とロボットが共同作業をするデモ、パワースーツなど多様な介護、福祉ロボット、自動田植え機などの農業用ロボットなど前回に比べ応用分野が飛躍的に拡大し、それらが体験できます。

この背景にはIoT(モノのインターネット)の実装、AI(人工知能)の急速な普及、データセンター、高度通信インフラに支えられたクラウド環境の進化、高性能半導体によるコンピューティング能力の飛躍的な向上、など同時並行的にさまざまな技術の進歩があってのことだと考えます。

このような状況は産業の進歩とともにメインプレイヤーに変化をもたらす可能性を示しています。事実、iREXの会場には多くの日本人のほかに中国や韓国などからの業界関係者も多く、熱心に説明員に質問する姿が多かったようです。

ロボット大国ニッポン。

今後も日本のロボット産業が世界をリードしていくためには、基礎技術の研究開発にこれまで以上の投資を行うことはもちろん、AIなど最先端技術を積極的に取り込むこと、IoTの普及にともなうセキュリティ対策、多様化するロボットニーズに応えるためのベンチャーと大手企業などとの新しいパートナーシップ、そしてさまざまな規制緩和など、多くの課題を短期間で解決する必要に迫られていると思います。

ハードルは高いですが、iREX会場の熱気はさまざまな課題を解決し、新たな“ロボット大国ニッポン”を創造するための大いなる可能性を示しているともいえるのではないでしょうか。

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