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2017.03.03

歳時記〜雛人形の市場規模は514億円

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

今日(3月3日)は「ひな祭り」。広辞苑によるとひなまつり(雛祭り・雛祭)は、「3月3日の上巳(じょうし)の節句に、女児のある家で雛壇を設けて雛を飾り、調度品を具え、菱餅、白酒、桃の花などを供える祭り」と紹介されています。

上巳の節句とは中国から伝わった五節句の一つで、三月上旬の巳の日に、草や藁で作った人形(ひとがた)で自分の体を撫でて穢れを移し、それを川に流すことで厄払いや邪気祓いを行う風習がありました。

江戸時代になると人形作りの技術が向上したことで、川に流すのではなく家で飾るように変化し、これが現在のひな祭りの由来となったといわれています。

今回のブログでは、簡単に雛人形の変遷や種類、そして市場規模などを紹介します。

京雛と関東雛の違いは?

前述したように雛人形は紙や草、藁で作った人形(ひとがた)から始まり、江戸時代には、家で飾る現在のタイプのひな人形へと移っていきます。

江戸時代の初期のタイプは、「立ち雛」が主流だったとのこと。また、古くから飾る人形タイプは高価なため、公家や武家など富裕層だけのもので、庶民は流し雛やつるし雛というタイプだったようです。

京都で作られる雛人形を京雛といい、関東で作られる雛人形を関東雛といいます。主な違いは以下の点です。

京雛は、1)目はやや細め、2)京頭といわれる独特のおっとりした顔立ち、3)向かって右側にお殿様が座っている。一方、関東雛は、1)顔ははっきりした目鼻立ち、2)向かって左にお殿様が座っているといった違いが見られます。

京雛では向かって右がお殿様、関東雛では向かって左がお殿様です。京雛の位置は、御所における玉座の位置に基づいているといわれます。

関東雛は、向かって左にお殿さまがお座りになっていますが、これには大正天皇が関係しているようです。大正天皇が即位の礼で、洋装の天皇陛下が西洋スタイルで皇后陛下の右に立たれた事からこの風習が広まったとされています。

雛人形は、1月10日頃から飾り始めて3月3日が済んで、気候がよい日にしまうのが良いとされています。3月3日を過ぎても雛人形を片付けないと、嫁にいき遅れるなどは根拠のないいい伝えのようですね。

雛人形の平均価格は約14万円

伝統文化の啓蒙と振興のために活動している日本人形協会の調査(2016/3/3)では、2012年に誕生した女児は、約50.5万人。2013年は、2.6%減の約49.2万人で、そのうち長女の割合は70%程で家庭での雛人形購入意欲は90%あったと報告されています。

この「節句と節句人形に関する意識調査」では節句人形の購入経験があり、かつ0?5歳の子供を持つ20?40代の既婚女性500名を対象にしたものでした。

雛人形の平均価格は約14万円。雛人形に加えて、贈答ケースなど周辺を含めると市場規模は514億円程度と推計されているようです。

私たち日本人は、四季折々の節句を通じて、家族や祖父母、親戚の人たちが集う中で人と人との絆、つまりパブリック・リレーションズ(PR)の根幹ともいえる人との繋がりをハイコンテクスト型の環境の中で無意識のうちに築いてきました。

こうした日本の伝統文化を次代に伝えていくことの大切さをパブリック・リレーションズの視点からも改めて感じた一日でした。

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