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2017.02.22

五七五の川柳に見る世相〜SNS時代のクールな日本文化として定着

皆さんこんにちは井之上 喬です。

気温30度のキューバに訪問中の先週、東京では春一番を記録したようですが、カレンダー上でも来週から3月、春はもう目の前ですね。

第30回の「サラリーマン川柳」

この時期恒例のイベントとして第一生命保険が主催する「第一生命のサラリーマン川柳コンクール」の発表があります。
第30回の節目の年になる今年は、2月13日に全国のサラリーマン・OL・主婦など幅広い層から、2016年9月?11月に応募のあった作品の中から選ばれた全国優秀100作品が発表になりました。

今年で30回目を迎えるこのサラリーマン川柳コンクールは、社内広報誌がきっかけだそうです。赤裸々な本音で詠まれた川柳が多く寄せられたことから、1987年から広く作品の募集を開始、これまでに実に延べ110万句以上の作品が寄せられたとのこと。

今回は第10回(1996年)以来20年ぶりに応募数が5万句を突破する5万5,067句(前年39,551句)が寄せられたそうですが、世相を反映してか今年は、「職場」や「上司・部下」にまつわる句が多く、その中でも「働き方改革」に象徴される働き方の変化を描いた句が目立っているようです。

「ノー残業」「効率化」といったキーワードを切り口に、サラリーマンの悲哀を表現したもの、また、働く女性が増えるなか、女性応募者による働き方にまつわる句の入選も目立ったようです。

入選作品100句は同社ホームページ上で発表されていますので是非ご覧ください。
http://event.dai-ichi-life.co.jp/company/senryu/

また2月13日?3月17日、全国傑作100選の中から今年のサラリーマン川柳ベスト10を決める投票も受け付けており、投票結果は5月下旬に発表予定とのことですが楽しみにしたいですね。

こちらも20回目の「ものづくり川柳大賞」

一般化した川柳はさまざまなコンテストも行われていますが、1月に発表された日本能率協会コンサルティング(JMAC)の「2017ものづくり川柳大賞」を紹介します。こちらのコンテストも今回が20回の記念の年だったとのことです。
http://www.jmac.co.jp/news/news/info20170116.html

今回の応募総数は786句で大賞は国立印刷局王子工場山下泰央さんの「不具合を 見つけたその眼 神ってる!」だそうです。ほかにも優秀賞には、サントリービール京都ビール工場浜田寛さんの「金めざし ボルトばかりを 磨いてる」と、デンソー幸田製作所鶴賀敏昌さんの「設備保安 このひと手間が I LOVE 油」の2句が。このほか北海道石油共同備蓄北海道事務所福井敏雄さんの「肉厚を 測る対象 今や腹」が特別賞に、旭化成川崎製造所平賀縁さんの「古い機器 かすれた表示に 君の名は…?」が審査員賞に選ばれています。

そもそも江戸時代に始まった川柳とは、俳句と同じ五七五の音数律を持ちますが、俳句にみられる季語や切れの約束がなく、字余りや自由律や駄洒落も見られるなど、規律に囚われない、そして短文ながら急所をはずさない言葉遊びの要素も少なくないのが特徴となっています。

Wikipediaによれば、「サラリーマン川柳」からブームとなった一般公募による川柳は、投稿者も若年世代から老人まで幅広く、一流の川柳家を選者とした公募川柳作品では、単なる「語呂合わせ川柳」と呼ばれる域を越えて、新しい表現分野になりつつあるとし、またこれらは作者の個人名とは離れたペンネームを始めとする無名性の高い作風であり、この背景にあるのは、「大衆」の〈共感〉が作品評価のベースになっていることである、としています。

短い文章の中に言いたいことを的確に盛り込み、情報発信する。まさにSNS時代のクールな新しい日本文化として俳句や自由度がより高い川柳は今後ますます盛んになることが考えられますが、こうした動向がパブリック・リレーションズ(PR)を行う上でのストーリーテリングにどのような影響があるのか興味深いところです。

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