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2017.01.21

中国「10大経済ホットワード」(2016年)〜2016年の第1位は「供給側」(サプライサイド)

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

日本時間の20日明けた深夜、トランプ新大統領の就任式をテレビで観ました。式典会場の外では、人権・女性団体など100もの反トランプの異例ともいえる抗議デモが行われる中で新大統領の就任式は催行され、不安な船出を感じさせてくれました。

彼の就任演説は、「アメリカ第一」を掲げる内向きで、ラストベルトの白人労働者へのメッセージ性が強く感じられ、超大国の指導者が持つべき世界観で多様な視点を持つパブリック・リレーションズ(PR)的なアプローチが認められませんでした。

米メディアは、トランプ氏の大統領就任直前の好感度が歴代大統領の中で最低だったとする世論調査結果をそれぞれ発表しています。

CNNテレビは「好ましい」が40%、「好ましくない」が52%。トランプ氏はツイッターで「数字は以前と同様に不正操作されている」と投稿し、選挙前の支持率調査と同様にフェイクニュースだと訴えています。

1月20日は奇しくもジョン・F・ケネディ氏(1917年5月29日 – 1963年11月22日))が76%超の支持を得て第35代米大統領に就任した日とも重なりました(1961年)。

トランプ新大統領の低迷する支持率が、今後どのように推移していくか注目していきたいと思っています。

さて今回のブログでは、一方の大国となる中国の「10大経済ホットワード」を紹介します。

私たちの知らない中国が垣間見られる

昨年1月、私のブログで知人の徐静波さんが発行兼編集人を務める『中国経済新聞』(アジア通信社)の新年号(1/15発行)に中国「10大経済ホットワード」(2015年)が掲載され、皆さんに紹介しました。
私たちは、年末恒例の「日本の10大ニュース」や「世界の10大ニュース」に触れる機会は多いのですが、中国に限定されたこの種の情報は少なく、このブログを通して私たちの隣国である中国を少しでも知って欲しいとの想いから、今回も昨年に続き中国「10大経済ホットワード」(2016年)をお届けします。

第1位は「供給側」(サプライサイド)でした。このホットワードの背景を辿ると、2015年11月に開催された中央財経指導グループ第11会議において「供給側の構造改革」を強化する方針が打ち出されたことによるようです。

供給側の構造改革の推進は、経済発展の「新常態(ニューノーマル)」に適応し、それをリードする重大な革新であり、中国が経済発展を遂げていく上で必然的な条件ともなると伝えています。

第2位は、工匠(職人)精神。これは、工芸職人がその「ものづくり」に対し、精緻さや細やかさを究極まで追求する理念を指し、製造の全プロセスと製品の細部に至るまでこだわり、完壁を自指す精神を指す製造業界におけるホットワードとなりました。

第3位は、小目標(小さな目標)。万達集団の王健林董事長がテレビ番組の取材を受けた際に「大金持ちになりたいという考えを持つことは正しい。だが、まずは一つの達成可能な『小さな目標』を持つことが必要だ」と語ったのが始まりとのこと。

この発言に深く感銘をうけたネットユーザたちはこの動画をネット上に転載。しかし、本来の意味とは真逆な「一般人では到底達成不可能な『大きな目標』といった意昧を持つようになっていったといいます。

第4位は、洪荒之力(究極のパワー)。リオ五輪において、競泳女子100メートル背泳ぎ決勝に進出した女子選手の言葉。第5位は、吃瓜群衆(野次馬)。自身では情報発信せずに、もっぱら野次馬見物するネットユーザを指すようです。

第6位以降には、友誼的小船・説翻就翻、葛優癱(葛優座り)、套路(人を陥れる計略。)などが続きました。

これらのホットワードの多くはネットを通して拡がり、そのプロセスで本来の意味とは異なった解釈が生まれているようです。

「君の名は。」が中国で最高の興収を記録

新海誠さんの作品『君の名は。』が、興行収入232.3億円を突破(1月15日現在)。歴代興収第3位の「アナと雪の女王」(ディズニー配給)の254億8000万円に早くも迫る勢いを見せています。

中国の映画市場においても「君の名は。」は、「STANDBYMEドラえもん」を上回り、日本映画の興行収入の最高記録を樹立したようです。また、こうした実績の波紋は、中国の映画業界において日本映画が「韓流」に取って代わり、薪たなブームを巻き起こす可能性を高めているとのことです。

大ヒットの要因について「中国の若者にとってこの作品が、美しい春の日のようだった子供のころを思い出させるからかも知れない。また、中国で日々人気を高めているサブカルチャーともうまく融合した結果ではないか」と映画評論家がコメントしているとのこと。

だからといって、日本のアニメーション映画なら、何でも中国で大ヒットするというわけではないようです。中国で昨年公開された日本映画11本のうち、9本がアニメーション映画だったものの、興行収入が2000万ドル(約23億4000万円)を超えたのはわずか3本だったといわれています。

「君の名は。」の両国における大ヒットの背景には、日・中の若者に共通する価値観や感性を感じます。

パブリック・リレーションズ(PR)のコアとなるリレーションシップ・マネジメントの実現にはこうしたジャパン・ポップカルチャーが大きな役割を果たすであろうことを改めて感じさせてくれました。

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