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2016.10.28

「原子力の日」に思う〜地産地消型のエネルギー政策への転換を

皆さんこんにちは井之上 喬です。

秋も深まり紅葉本番のニュースが届く一方で、北海道は雪、関東以西は夏日など寒暖の差が激しい不順な天候が続いていますが、体調管理には十分注意しましょう。

核燃料サイクルの終焉

10月26日は「原子力の日」です。

1963年10月26日、茨城県東海村の日本原子力研究所で日本初の原子力発電に成功したことを記念し、1964年7月31日に閣議決定されたものです。

原子力は資源に乏しい日本のエネルギー源として開発がすすめられ、政府は最終的には高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)を中核に核燃料サイクルの確立をもくろんでいました。

しかし、東日本大震災とそれにともなう東京電力福島第1原発事故で核燃料サイクル構想は大きな転換期を迎えているのは周知のとおりです。

2016年10月現在、稼働しているのは九州電力川内原発2号機と四国電力伊方原発3号機となっています。日本の原発は北海道から九州まで計57基、現在稼働しているのは2基だけです。

その一方で政府が年内に廃炉を含む抜本的な見直しをするとした高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)について、報道によると水落敏栄文部科学副大臣が10月24日、福井県庁で報道陣に「極めて重要な問題。場合によっては延びるかも知れない」と述べ、廃炉の結論が年明けになる可能性を示した、とのことです。

それに対し原子力規制委員会の田中俊一委員長は10月26日の記者会見で、もんじゅの運転期間や出力にかかわらず例外的な再稼働は認めない考えを示し、文部科学省が検討している短期間の試験運転を否定した形となっています。

国民の税金1兆円超を費やしたもんじゅの廃炉も含め、核燃料サイクル、原子力政策を見直すべきではないでしょうか。トラブル続きのもんじゅに「これまで1兆円も使ったのだから」といって実験を続行させる考えはこの際捨てるべきだと思うのです。

ちなみに自然界に存在するウラン235の半減期は約7億年、ウラン238の半減期は約45億年だそうです。気の遠くなるような時間の流れです。

身近な自然エネルギーに目を向ける

大型の原発を地方に建設し都市に電力を供給する、といった一昔前のエネルギー政策はすでに破たんしています。

地方選挙の結果でも10月16日の新潟県知事選では、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に慎重な姿勢を示して米山隆一氏が初当選。初登庁の記者会見でも「原発再稼働問題については、まずは徹底的な検証を進め、県民の命と暮らしが守られない現状においては、再稼働は認められない」としています。

これまでこのブログでたびたびエネルギー問題を取り上げてきましたが、これからは太陽光、風力、地熱などの自然エネルギー、再生エネルギーのバイオマス、そして水素エネルギーを使った燃料電池などによる地産地消型の小型の発電が主流になりつつあるのではないでしょうか。

加えて世界の年間石油消費量の10万年分が海中に眠っているとされる、マグネシウムエネルギーにも注目が集まっています。

このように原発がなくても電力供給に不都合は生じていないのが現状ですが、CO2対策には人間の英知と実行力を期待し、日本は原発以外のクリーンな自然エネルギーに力点を置くべきだと考えています。

そして次世代につけを回さない脱石油、脱原発によるサステナブルな社会の実現のために、パブリック・リレーションズ(PR)を活用することが重要だと思うのです。

10月26日が、人の知恵ではコントロールできないエネルギー源からの脱却、そして改めて電気のありがたさを考える日になると良いですね。

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