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2015.12.11

ノーベルウィークに思う〜日本人が持つ伝統技術と最先端技術の融合

皆さんこんにちは井之上 喬です。

12月7日は大雪(たいせつ)、山間部だけでなく平野にも降雪のある時節ということで、冬本番といったところですね。

私が経営する井之上パブリックリレーションズでは、定期健康診断を実施しており私も今週受診してきました。体のメンテナンスをしっかりして、新年に備えたいものです。

■2015年も2人の日本人がノーベル賞受賞

今週はノーベル賞の授賞式を中心とする各種の式典が催されるノーベルウィーク。スウェーデンの首都ストックホルムにノーベル賞受賞者が集まり、ノーベル賞の創設者であるアルフレッド・ノーベルの命日にあたる12月10日に授賞式が行われるほか、晩餐会、ノーベル賞受賞者による記念講演などが行われます。

2015年も北里大特別栄誉教授の大村智(おおむら さとし)氏が、寄生虫によって起こる、感染症の治療法の発見でノーベル医学生理学賞を、東京大宇宙線研究所長の梶田隆章(かじた たかあき)氏が素粒子のひとつニュートリノに質量があることを観測によって証明したことでノーベル物理学賞を受賞。

昨年、青色発光ダイオードでノーベル物理学賞を受賞した赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏に続く日本人の連続受賞は、同じ日本人として誇らしい限りです。本当におめでとうございます。

「天然物化学」ご存知でしたか?

今年の受賞者の中で気になった言葉は大村氏の専門分野である「天然物化学」です。天然の微生物や動植物から薬になる有効成分を見つけたり、分子の構造を調べて人工的に合成したりする有機化学の一分野だそうです。

大村さんが開発した、寄生虫病の特効薬イベルメクチンでも、もとになる物質を静岡県伊東市のゴルフ場近くの土にいた放線菌から見つけた、との逸話が新聞などでも紹介されていましたが、天然物から有用物質を見つけるのは、砂山から砂金を探すような気の遠くなるような地道な作業ですが、日本人研究者が世界で活躍してきた研究分野でもあるそうです。

なぜこの分野で日本人が活躍してきたのか?
その背景としては、日本の自然環境が生んだ味噌や酒、醤油、納豆など微生物を使った伝統的な食品開発が、日本の天然物化学の発展を支えてきたというのです。

生き物が持つ物質を上手に見つけて善玉菌だけを増殖する、天然物化学と共通する日本の伝統の技と日本人が持つ特性の一つである粘り強さが天然物化学で日本人が数々の成果を生み出している要因になっているようです。

2012年には京都大学iPS細胞研究所所長・教授の山中伸弥氏がiPS細胞でノーベル医学生理学賞を受賞しましたが、日本で開発されたiPS細胞のような最先端技術と日本の伝統技術に根付いた天然物化学技術の組み合わせは医学分野での新たな可能性を秘めているような気がします。

安倍政権の成長戦略のなかにも、iPS細胞に代表される再生医療研究が盛り込まれていますが、日本人が手掛けた最先端技術、伝統に基づいた革新的な技術が、少子高齢化など世界が抱える社会的課題解決の糸口になれば素晴らしいですね。

私もパブリック・リレーションズ(PR)の視点から、様々な分野で世界規模での社会的課題を解決できるような、最先端技術と伝統技術の融合による革新的動きを見逃さないように感覚を研ぎ澄ませていきたいと思います。

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