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2015.11.27

装着型ロボットが医療機器に初承認〜国際ロボット展2015でも”人協調型ロボット”に注目

皆さんこんにちは井之上 喬です。
暦の上で小雪を過ぎた今週、一気に寒さが増してきました。関東の山間部からは雪の便りも届き、本格的な冬も間近ですね。

HALへの保険適用も検討、大きなうねりが日本でも

11月25日、厚生省は筑波大学発ベンチャーのサイバーダインが開発した装着型ロボットを医療機器として初認証し国内販売を承認しました。

ロボットの医療応用は内視鏡手術支援用ロボット「ダヴィンチ」が承認済みだが、患者さんが身に付けるタイプの製品では初めてだそうです。
厚労省は保険適用も検討しているとのことで、政府が成長戦略で重点を置くロボットの医療現場での役割が一気に拡大しそうですね。

承認された「HAL医療用下肢タイプ」は、筑波大教授でサイバーダイン社長の山海嘉之氏が開発したもので、全身の筋肉が次第に動かなくなるALS(筋萎縮性側索硬化症)、筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症など8つの難病のいずれかと診断され、体重や身長などの条件を満たした患者さんが対象。

テレビ報道などで実際に装着した映像をご覧になって方も多いのではないでしょうか。難病に苦しみ歩行困難な患者さんにとっては大きな朗報ですね。

このロボットを病気で歩く機能が低下した患者さんが下半身に装着。太ももなどに電極を取り付け、患者さんが動こうとしたときに脳神経系から発する微弱な信号を検知し、モーターでロボットが動き、患者さんの関節が動きやすいように補助。患者さんの体が歩き方を思い出し、機能改善に結び付けようというもの。

臨床試験(治験)では、患者さん24人が約3カ月間で9回の歩行運動に取り組み、何もしない患者さんに比べて歩ける距離を延ばした、といいます。

報道によると開発者の山海社長は「まず新潟病院など8つの病院に導入したい」のこと、1日も早い保険適用が望まれるところです。

HALが注目されたのはまず海外で、ドイツなど欧州ではすでに医療機器の承認を受けているようです。サイバーダインは3月に厚生労働省に医療機器としての承認を申請、優先審査の対象となる「希少疾病用医療機器」として当初は申請から9カ月での承認取得を目指してきたようですが、8カ月で審査が終わったそうです。

山海社長は異例の審査スピードに「新しい医療産業をつくる上で大きな改革が進んでいると実感する」とコメントしており、今後医療介護分野でのスピードが加速される感じがします。

国際ロボット展も過去最大規模で来週開催

ロボットと言えば、「国際ロボット展 2015」が12月2日から東京ビッグサイトで開催されます。

少子高齢化、労働力不足といった社会課題解決のほか、モノのインターネット(IoT)などのテーマで開発された最新ロボット技術が展示されますが、2年に1度の業界のビッグイベントであるとともに、主催する日刊工業新聞社は、2015年11月に創刊100周年という節目を迎えたこともあり、今回の国際ロボット展は出展者数、出展規模とも過去最大のスケール大いに盛り上がりを見せているようです。

展示会はこれまで、工場などで活躍する産業用ロボット、工作機械の展示が多かったイメージがありますが、今回の大きなうねりと言えるのは”人と協調するロボット”だそうです。

この分野ではドイツのKUKAロボティクス社( http://www.kuka-robotics.com/ja/products/mobility/kmr_iiwa )、デンマークのユニバーサルロボット社( http://www.universal-robots.com/ja/ )などが先行しており、それを日本メーカーが追う形になっているようです。

人と協調するロボット? ちょっとイメージがしにくいでしょうが、これまでにない斬新なデザインで、製造ラインの中で人とロボットが安全柵無しで同じ仕事をしたり、人が急病などで休みのときにそれをカバーするロボットが自動で休んだ人の持ち場に移動して仕事を遂行する、言わば職場のアシスタント的なイメージのようです。今後どのように発展するのかちょっと楽しみでもありますね。

その他にも最新の介護・福祉ロボット、災害時の活躍を目指して開発されたロボットなどが一堂に展示されるようです。

子供のころに夢だったロボットとの生活が一歩一歩、実現に近づいているように思えます。

日本はこれまで人類が経験したことのない高齢化者社会に向かって突き進んでいます。

今後人工知能を活用した様々なロボットが市場に登場しますが、こうしたロボットの開発には単なる利便性・経済性の追求にとどまらず、倫理的な側面もカバーされなければなりません。

パブリック・リレーション(PR)の専門家には、インターメディエータ―として、これらの技術が社会と健全にかかわっていくことができるよう役割を果たしていくことが求められています。

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