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2015.06.25

成長戦略の柱の1つロボットに注目〜介護などへの多様化進展でロボット大国日本は大きなチャンスを掴めるか?

皆さんこんにちは井之上 喬です。

梅雨空が続いていますが体調管理は怠りないでしょうか。じめじめした天候の後にはスカッとした夏空が待っていることを期待し頑張りましょう。

ITバブル超で株価は約18年半ぶりの高値を記録し、梅雨空とは正反対に日本経済は好調を持続しています。6月24日の東京株式市場の終値は前日比で58円61銭高の2万868円03銭と、ITバブル時の2000年4月につけた高値(2万833円21銭)を上回り、終値としては1996年12月以来、約18年半ぶりの高値となりました。

ギリシャの債務問題を巡る金融支援の交渉が合意間近との見方が広がったことや米欧株の上昇を受け4営業日連続で上昇、甘利明経済再生担当相は同日の会見で「(今回は)バブルではない。実体経済の回復に裏打ちされた株価だ」、菅義偉官房長官も「アベノミクスでデフレ脱却に全力で取り組んできた。そうした成果が反映されている」とコメントしています。

いま日本には、バブルとは無縁の健全な経済成長に向けた、具体的な政策の実行が期待されますが、政府は6月22日に構造改革を進め日本の生産性向上を狙う成長戦略「日本再興戦略」の素案をまとめた、との報道がありました。

ポイントとしては、ロボット開発やビッグデータへの投資を企業に促すほか、地方経済や中小企業にも改革を求め、生産性を高めることで人口減による労働力不足に対応し、安倍政権が重視する持続的な経済成長を実現させるというもの。

成長戦略の素案が示す解決策の中身にはロボットのほか、あらゆるモノをインターネットにつなぐIoT(インターネット・オブ・シングス)、ビッグデータの活用強化などが盛り込まれています。

ロボットと言えばこれまで日本はロボット大国と称され、工作機械分野を中心に世界のロボット産業をリードしてきました。しかし、世界規模で少子高齢化が進むなかでロボットの応用分野もこれまでの工作機械などのイメージから、手術ロボットなど医療、介護、農業、インフラ管理などへ多様化しています。

ペッパー、1分で売り切れ!

それを象徴する現象がソフトバンクの人型ロボット「ペッパー」です。6月20日に予約受け付けを専用サイトで開始したところ、何と1分間で初回の1000台が売り切れたと発表しています。次回の販売時期は、7月中だそうですが早期に、月1000台の生産体制の確立を急ぐそうです。

ペッパーの生産はiPhoneなどApple製品を多く手掛けるフォックスコン・グループ(本社:台湾、鴻海科技集団)で生産地は主に中国ですね。ロボットが多様化するとさまざまな複合技術が必要になってきます。

AI(人工知能)をベースに、デザイン、新素材、半導体、センサー、駆動系技術、組み立て技術などが不可欠で、これからのロボットは、このような様々な最先端テクノロジーの集合体だからです。

これまで世界のロボット技術をリードしてきた日本にとっては絶好のビジネスチャンスともいえましょう。高い技術で付加価値の高い製品を世界に先駆けて製品化することで、新しい産業として育成することも可能になり、少子高齢化による労働力不足など社会問題解決の一助にもなると考えます。

しかしそこで不可欠になるのが日本にはびこる、様々な規制緩和ではないでしょうか。最近、ドイツのKUKAロボティクスやデンマークのユニバーサルロボットの協調ロボットに触れる機会がありました。

これまでの工作機械的なイメージを払しょくする斬新なデザインと柔軟性を兼ね備えた小型ロボットは、工場で人間の隣で人間と同じ仕事を正確かつ継続的に実行し続けます。Industry 4.0、IoT時代の生産現場での大きな可能性を感じました。

急がれる政府の規制緩和

日本はロボットのモーター定格出力80W規制緩和が2013年に実施され、2014年から安全柵がない生産現場でヒトとロボットの協調が現実味を帯びてきました。欧州に比べると何年も遅れてのスタートになりますが、日本の大手ロボットメーカーを中核に優れたロボット関連技術を持った企業間の連携は不可欠です。

すでに世界規模でのロボットメーカーをめぐるM&Aの動きも活発化しており、ロボット大国日本が家電王国日本の二の舞にならないとも限りません。

そんな中で気になるニュースがありました。6月14日の日本経済新聞電子版では「災害ロボット、日本惨敗の衝撃 迫るグーグルの影」とする見出しで、米国ロサンゼルス近郊で開催された災害対応ロボットコンテストで日本勢が惨敗したとの報道でした。

敗因について専門知識を持ち合わせない私ですが、ロボット大国と呼ばれ、工作機械、ヒト型ロボットで世界をリードきた日本のロボット産業が新しい世界的な波に乗り遅れないように、国を挙げて取り組む必要があると思います。

そう言えばロボットスーツ「HAL」で世界的に高い評価を得ている筑波大学大学院教授の山海嘉之氏が設立したサイバーダインも、初めは海外での評価がきっかけで現在の普及につながっています。

IoT、Industry 4.0時代で忘れてならないのは最先端のテクノロジーだけではなく、知能を持ったロボット、自動運転の車、インテリジェント化したFabを結ぶシームレスなインフラ環境ではないでしょうか。政府には思い切った規制緩和を望みたいところです。

新時代のロボット大国日本を目指して、リレーションシップ・マネジメントの手法を駆使した、ダイナミックなパブリックリレーションズ(PR)が求められています。

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