新年あけましておめでとうございます。
新年は少しお休みを頂いていましたが、今年最初のブログになります。
2015年もよろしくお願い申し上げます。
地球規模での気象変動の影響でしょうか、日本は年明けに何十年ぶりの大雪に見舞われるなど寒波に襲われています。皆さん体調管理には十分にご留意ください。
私のブログでも年明けの恒例になりましたが、世界最大の家電関連見本市International CES(インターナショナルCES)が、今年も米国ネバダ州ラスベガスで6日から9日までの4日間開催されました。
今年のCESは、全体で220平方フィートの展示スペースに3600を超える出展、世界から17万人の業界関係者の来場を見込む過去最大規模となったようです。
日本でも連日、テレビや新聞、オンラインメディアなどで報道されていましたので現地情報をメディア経由で入手された方も多いのではないでしょうか。
年明け早々に現地入りしCESのPRサポートを行った弊社担当者の報告をもとに、2015年CESの印象、そして今年のコンシューマー・エレクトロニクスを中心とするトレンドを探ってみます。
キーワードはIoT
キーワードはやはり「IoT」(モノのインターネット:Internet of Things)でした。
昨年、日本で開催されたCEATEC JapanやSEMICON Japanでも注目されましたが、CESでは言葉だけでなく自動車、家電、Smart Home、ヘルスケアなどで具体的なさまざまな製品とサービスが紹介され、ビジネスとしてのIoT時代の到来を感じさせた展示会だったようです。
CESは開催前日と初日に各社によるPress Conference、グローバル企業のトップによる基調講演などが分刻みで行われました。
その中から注目度の高かったものを拾ってみますと、やはり自動車関係だったようです。トヨタ自動車は記者会見(写真)で、昨年12月に市販した「MIRAI」で水素社会の実現を加速すべく、何と燃料電池車関連特許約5680件を全面的に無償公開を発表し各国メディに大きく取り上げられていました。
また基調講演ではフォード社のMark Fieids CEOは、都市化、中流層の拡大など世界的な社会問題に対応し、自動運転車を量産する初のメーカーを目指すと宣言しましたし、ドイツDaimler社でChairman, Board of Management, Head of Mercedes-Benz CarsのDieter Zetshe氏は、究極の自動運転ラグジュアリー・コンセプトカーF015を発表し、多くの聴衆を驚かせました。
個人的に注目していたのは、80年代に日本市場向けのPRを私の会社で担当していたIntel社でした。
基調講演でBrian Krzanich CEOが、More’s Low(ムーアの法則)50周年にあたる2015年頭にウエアラブル端末向けのボタン大のプロセッサー「Curie」を発表し、「IoT時代を支えるのはやはり半導体の進化」だ、と印象付けたのは非常に喜ばしいことでした。
日本勢もSONYが高画質プロセッサー「X1」搭載の4K ハイレゾオーディオテレビやウエアラブル端末など、SHARPも8K相当のBEYOND 4Kテレビ、PanasonicもFirefox OSを搭載した4K Ultra HDテレビを発表するなど技術力の高さを示していました。
企業トップ自らが世界にメッセージを発信する場に
少し前のCESの基調講演は、ハリウッドのスターや各界の著名人、スポート界のスーパースターなどをゲストに招聘し、ショーアップされたプレゼンテーションが主流の時代がありました。
しかし最近の傾向は企業トップから、社会の一員としてその企業が本業を通じ環境問題、高齢化の問題、エネルギー問題、格差の問題など多くの社会問題解決のために何を実現していくかと言った強いメッセージを発信する機会にCESを位置付けている気がします。
この流れのきっかけは2011年にハーバード大学ビジネススクール教授のマイケル・E・ポーター氏が中心となり提唱したCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)という概念にあるのではないでしょうか。
CSVをわかりやすくまとめれば「企業が本業を通じ、社会問題解決と経済的利益という相反するともいえる目的を追求し、かつその活動によって相乗効果を生み出そうとすること」と説明できます。前述のトヨタのMIRAIの特許無料開放などは、究極のCSVということもできます。
企業の社会貢献の動きでは、従来のCSR(企業の社会的責任)は当たり前、今後はファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井 正氏が言うように「世界一の企業を目指すならCSVは当然の取り組みである」時代に入ったのかも知れませんね。
まだまだ日本社会の中で馴染みの薄いCSVへの認知を高めていくうえでも、トヨタの特許無料開放は、パブリック・リレーションズ(PR)の絶好な材料を提供してくれているのではないでしょうか。
今年のCESは、新たな企業価値の創出に向けた大きな潮目となるイベントとして位置付けられるかもしれません。
2009年の春、私の私的研究会として「水素研究会」を立ち上げました。こうした背景もあり、今年のCESの中では、水素時代を切り開く、という強いメッセージを感じたトヨタの今後の動きに注目していきたいと思います。