桜に皆既月食。桜に雪。寒の戻りと椿事が続きましたが、皆さんお元気にお過ごしですか。
政府は2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、東京都と共同で、競技会場や街なかで使う自動運転のバスや水素エネルギーの活用など最新技術の開発に乗り出すとのこと(4/9日経夕刊)。
日本企業が得意な技術を下記9分野にわけ、開発に参加する企業の募集を始めるとしています。
新技術開発の9分野
- 車や信号機などが互いに通信し、自動制御する「次世代都市交通システム」
- 英語や中国語、アラビア語などの多言語に対応した音声翻訳システム
- 環境負荷の少ない「水素社会」のモデル
- 高度な分析技術を持つ監視カメラシステム
- 障害者の競技観戦を補助したり、パラリンピック競技者のトレーニングに使う支援ロボット
- ゲリラ豪雨などを予測する気象予測技術
- 映像技術
- エボラ出血熱などの感染者探知技術や情報収集・分析システム
- 夏でも花を長持ちさせるバイオ技術
競技会場内で使う製品は五輪のスポンサー企業の提供によるものの、それ以外では参加企業が実際に製品や技術を納入できる可能性が高いといいます。
募集企業数は1000社規模を想定しており、東京五輪を日本の最新技術の見本市とし、世界にアピールするとともに、ビジネスチャンスを拡大したいとしています。
1964年の東京オリンピックでは、会期に合わせて東海道新幹線や東京モノレール、首都高速などの交通・社会インフラの整備やカラーテレビの普及など、その後の日本経済発展の起爆剤にもなっています。
こうしたことが、今回の最新技術の開発プロジェクト取組みの背景になっているのではないかと思います。
社会インフラに幅広く関わるシステムが多いため、政府や東京都、様々な業界の企業がオールジャパンで開発にあたり、4月中にも民間企業の募集を始め、実用化を早める方針を打ち出しています。
加速する水素社会の到来
私が特に関心をもった開発項目は、「3. 環境負荷の少ない『水素社会』のモデル」です。
日本各地の太陽光や風力など再生可能エネルギーでつくった電気から水素をつくり、大型タンカーなどで首都圏へ運ぶ。都内の水素ステーションに蓄積し、競技会場や選手村、燃料電池車で使う電気にあてるとしています。このため安全で大規模な運搬技術や電池の開発が課題となるようです。
このブログでも何度か紹介しましたが、私の経営する会社井之上パブリックリレーションズでは、ちょうど6年前の2009年4月に、1日も早い水素社会の実現を願って「水素研究会」を立ち上げました。
自社のCSR活動の一環として立ち上げたこの研究会のメンバーには、同じ思いと考えを共有する水素開発専門家に加えジャーナリスト、企業で再生エネルギーや水素関連事業を担当するエグゼクティブなど、十数名の個人の資格で参加する人たちで構成され、2カ月に一度、会合をもち議論を重ねています。
究極のエネルギーとういうべき水素は、エネルギー小国の日本が初めて膨大でクリーンなエネルギーを得る可能性を持つ夢のエネルギーです。
東京五輪に向けた国を挙げての取り組みが、水素社会の到来を加速するものと期待できます。パブリック・リレーションズ(PR)の専門家として夢の実現を後押ししてまいりたいと思います。