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2025.01.16

多くの社会課題解決にパブリックリレーションズ(PR)の実践が不可欠に
〜失われた30年の検証研究提言書「日本再生へのチャレンジ~国家経営の抜本的改革を~」の実現へ皆さんも行動を

皆さん、井之上 喬です。年のはじめから1週間ほど、西日本各地を仕事で訪ねており、少し遅れましたが明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

「昭和100年」、「戦後80年」の節目の年である2025年が、皆さんにとって良い年になりますようにお祈りいたします。

さて、昨年のクリスマスにもこのブログで書きましたが、日本の少子高齢化や人口減少が大きな社会課題として注目を集めています。

少子高齢化など山積する日本の課題

世界全体をみると、人口は増加が続いています。国連の2024年版「世界人口推計」では、1950年に約25億人だった世界人口は2000年には約60億人に達し、50年間で約2.5倍に増加しました。その後も世界人口は伸び続け、2022年11月には80億人を突破。2024年7月現在は約81億6,200万人で、今年7月には、約82億3,200万人となる見込みです。

国・地域別に見てみましょう。国連推計による2024年の世界人口ランキングによると、1位がインドで14億5,093万5,791人、2位が中国(14億1,932万1,278人)、3位がアメリカ(3億4,542万6,571人)、4位がインドネシア(2億8,348万7,931人)、5位がパキスタン(2億5,126万9,164人)の順です。

人口が前年よりどれだけ増えたか、その勢いを示す人口増加率(年央推計での対前年増加率)ははどうでしょうか。増加率が最も高かったのは1964年の2.24%で、これを頂点に緩やかにはなっているものの、人口増そのものは続いています。世界の人口そのものがピークに達すると見込まれるのは、2084年ごろの約102億9,000万人で、それ以降は徐々に減少へと向かうと見られています。

では日本の状況はどうでしょうか。総務省によると、総人口は2004年をピークに、今後100年間で100年前(明治時代後半)の水準に戻るとしています。この変化は、千年単位でみても類を見ない、極めて急激な減少だそうです。

総人口は2050年には約9,500万人となり、1億人を下回ります。内訳をみると、高齢人口が約1,200万人増加するのに対し、生産年齢人口は約3,500万人も減り、若年人口も約 900万人減少。その結果、高齢化率は約20%から倍の約40%に上昇します。

これが将来の日本の活力に影響を与えないわけはありません。日本パブリックリレーションズ学会が行った「失われた30年の検証研究」でのヒアリングに協力していただいた有識者の間でも、日本が少子化問題に抜本的な対策を打ってこなかったことは、共通した認識でした。

次の世代に向けた行動の時が今

人口減少、少子高齢化問題だけでなく、日本は多くの社会課題を抱えています。それを象徴した言葉が「失われた30年」といえるでしょう。

この30年間、何が失われたのか。新しく活力のある社会を再び取り戻すには何が必要なのか。そんな視座を保ちながら、日本パブリックリレーションズ学会は2年半の間、政治、経済・金融政策、産業構造の変化、労働市場、教育・人材育成、科学技術・イノベーション、社会保障、地方創生、外交・安全保障、環境・エネルギー政策、ジェンダー平等など幅広い分野に及ぶ42名の有識者にヒアリングを行ってきました。昨年末、その結果を分析し、失われた30年の検証研究の集大成としての提言書「日本再生へのチャレンジ~国家経営の抜本的改革を~」をまとめました。

提言書には、多岐にわたる改革案が含まれています。これまで、失われた30年に関してさまざまな問題指摘が行われています。しかし、これだけ多くの課題に正面から向き合い、総合的な検証研究を行った上で練り上げた提言は無かったように思います。

もちろん、提言書としてまとめることがこのプロジェクトの最終ゴールではありません。これもよくありがちなのですが、提言をまとめて発表することが目的化し、それに満足してしまう事例は大変多くあります。本来、そうであってはならないのです。

わたしたちの次のステップは、提言を、次の新しい日本を創り出すために、実際に役立てることです。提言書でまとめたさまざまな社会課題の解決には、政府のみならず、企業、教育機関、自治体、市民社会が一丸となって取り組むこと、つまりそれぞれの立場での実践が求められています。これこそが次の世代に向けた私たち世代の責任だと思うのです。

言葉や理念は、人々の間で共有され、具体的な行動へとつながっていかなければなりません。この実践の段階で重要な役割を果たすのが「パブリック・リレーションズ(PR)」の考えです。多様な関係者(マルチステークホルダー)の意見を聞きながら(双方向コミュニケーション)、必要な部分はお互いに変わり(自己修正)、目標実現に向かって最短距離で進んでいくために良好な関係構築活動を進めていく。これがパブリック・リレーションズです。決して一方的な情報伝達・指揮命令ではありません。自分の立ち位置、相手の立場を考慮しながら、常に最良の形を目指し、双方向で柔軟に取り組むことが大切なのです。

「失われた30年」は、日本にとって大きな試練の時代でした。これを貴重な学びの機会としてとらえ直し、行動を起こすことが、これからの世代のために必要なのは明らかです。

今回の提言書「日本再生へのチャレンジ~国家経営の抜本的改革を~」を政策として課題解決に向けた動きを加速するために、私はパブリック・リレーションズのプロフェッショナルとして行動を起こし、実践していきたいと強く思っています。

2025年は昭和100年、戦後80年、そして私が経営する井之上パブリックリレーションズの創立55周年の節目の年でもあります。企業活動を通じ、弊社の企業理念である「パブリック・リレーションズを通し、平和で希望のある社会の実現」をめざしたいと思います。

本年も、皆さんとともに、パブリック・リレーションズ(PR)が社会にインプットされるよう元気に頑張ってまいります。引き続きよろしくお願いいたします。

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