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2024.08.09
終戦から79年の夏に思う
〜パブリック・リレーションズ(PR)にとって絶対的要件となる平和と民主主義
皆さんこんにちは井之上 喬です。
今年の夏は「記録的な」猛暑、そして「記録的な」株価や為替相場の乱高下など、これまで経験したことないレベルで私たちを取り巻く外部環境が激変しているのを感じます。
その変化が正しい方向に向っていれば良いのですが、なかなかそうとは言えません。予測の大変難しい、多くのさまざまな社会課題に、私たちは直面しています。
平和の大切さを考える8月に
今年も8月(葉月)を迎えました。
私は5年ほど前から、毎年8月、母の郷里の愛媛県弓削島での休暇を過ごした後、大学(九州大学)での講義に向かうのですが、その途中、小学生時代に2年ほど過ごした広島へと立ち寄ります。そこで子ども時代の思い出に浸り、そして原爆犠牲者の鎮魂を祈るようにしています。
1945年8月6日に広島、そして9日に長崎で人類史上初の原爆が投下され、8月15日には第二次世界大戦は終戦を迎えました。あれから今年で79年。
80年近い長い時間が過ぎ去り、戦争を体験した方々の高齢化はさらに進んでいます。悲惨な戦争の実体験を伝える語り部の皆さんは、年々少なくなってきています。戦争体験者の減少は、毎年この時期に報道で何度も取り上げられますが、同時に、戦争の記憶、意識の風化への懸念も高まっていますね。
人類の過ちを再び繰り返さない。そのためには、過去に起きた戦争とその惨禍を知り、心に留めることが欠かせないと思います。戦争を知らない私たちに今出来ることは、体験者の話を聞いたり、資料や映像記録を見たりすることでしょう。
8月にはテレビや新聞、雑誌、オンラインなどさまざまなメディアが戦争特集を展開し、全国各地では戦争に関する展示や行事が行われます。戦禍の悲惨さや残酷さを見聞きするのはつらいことでもありますが、過去に学び、平和のありがたさや大切さを実感できる良い機会だと思います。夏休み期間でもあり、お子さん、学生の皆さん、そして大人の方々も含め、多くの人々が足を運ぶことを期待しています。
パブリック・リレーションズは平和の武器
世界をみると、ウクライナ戦争は長期化し、中東やアフリカなどでは地域紛争が頻発しています。人々の命が奪われるのみならず、経済や政治などさまざま分野で変化と痛みが生じています。
国の進路を決め、実行するのは政治の大きな役割ですが、今年は特に、世界の多くの国で元首の選出が行われ「史上最大の選挙イヤー」とも言われています。中でも11月には、アメリカ合衆国で大統領選挙が予定され、結果によっては世界が混迷の度合いを深める懸念も否定できません。
今、平和と民主主義を守り、さらに広げ維持していくことは、私たちの世代の大きな責務である、と強く感じています。この2つがあってこそ、人々の豊かな生活が実現出来るからです。
2030年を目標に、世界各国で取り組みが進む国連のSDGs(持続可能な開発目標)の精神「誰一人として取り残さない」を実現するためにも、平和は不可欠です。
私の仕事であり、ライフワークでもあるパブリック・リレーションズ(PR)にとっても平和と民主主義は必須です。同時に、パブリック・リレーションズ(PR)は「平和を実現し、守るための武器」でもあります。
人を殺さず、傷つけない。これは何よりも人類共通の「倫理観」です。しかし、疑心暗鬼にとらわれ、不信と敵対心を募らせた結果その倫理観さえ失われてしまう状況は、残念ながら今の世界でも頻繁に発生しています。そうならないため、あるいはそうなってしまった場合でもよい方向に向けるためには、当事者や関係する人たち(ステークホルダー)が「双方向コミュニケーション」を行い、率直な議論や討論を重ねることが大切です。そして、意見や利害の対立を乗り越えるよう互いに「自己修正」を進め、良好な「関係構築活動」(リレーションシップ・マネジメント)を続けることです。
平和や民主主義は、到達したら終了するものではありません。油断をすると頭をもたげる憎しみや疑い、不信を超えていく不断の作業を続けていく「過程」そのものです。言葉を換えれば、パブリック・リレーションズ(PR)があらゆる場所で十分に機能している状況だといえます。ステークホルダーは私たちすべてなのです。
井之上パブリックリレーションズのミッションは、『パブリック・リレーションズ(PR)を通し、平和で希望のある社会づくりをめざす』ことです。
連日の猛暑ですが、この8月に改めて、ご家族で平和の尊さについて考えていただきたいと思っています。