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2011.08.22

節約志向を強める「レジャー白書2011」 〜「ポジティブ・オフ」運動が余暇市場を変えるか

こんにちは井之上喬です。
皆さんいかがお過ごしですか?

先日、愛媛県弓削島から夏季休暇を終え東京に戻りました。毎年8月私は亡き母のふるさと弓削島に行きます。今年96歳になった叔母やいとこたちと弓削で出会うと少年時代にタイムスリップしたようです。

愛媛県の東北部、広島県境に位置し瀬戸内海のほぼ中央に浮かぶ上島町は2004年に弓削町・生名村・岩城村・魚島村の4町村が合併誕生。
その中で弓削島と、佐島、生名島(やり投げの村上幸史選手のふるさと)は橋で結ばれていて、サイクリングやウオーキングが楽しめます。町役場がある弓削島には昨年まで国民宿舎の「弓削ロッジ」がありましたが、今年5月にはそのロッジが町営となり新たにインランド・シー・リゾート「FESPA」(http://fespa.jp)として新築オープンしました。

さて昨年8月23日のブログでは、「有給休暇を使い切る国別ランキング」を採り上げましたが、そのとき紹介した調査は、ロイターと調査会社イプソスが24カ国の約1万2500人を対象に実施したものでした。

1位はフランスで何と89%、次いでアルゼンチンが80%でハンガリー78%、英国とスペインが77%でここまでがベスト5。70%以上の国はサウジアラビア、ドイツ、ベルギー、トルコ、インドネシアと続いています。そして肝心な日本は33%で最下位となっていました。

今回は今月3日に日本生産性本部が発表した「レジャー白書2011」から日本の余暇市場についてお話します。さて、日本人はどんな余暇の過ごし方をしているのでしょうか。
調査は今年1月、全国15?79歳の男女を対象にインターネットで実施し、3,728人から回答を得たものです。したがって、ここには東日本大震災の影響は反映されていません。

余暇市場は前年比2.1%減

「レジャー白書2011」によると、2010年の余暇市場は消費者の節約志向を反映し前年比2.1%減の67兆9,750億円と2年連続で70兆円割れという結果になりました。
消費者の支出金額を部門別に見ると、全体が低迷する中で伸長したのは映画などの趣味・創作部門(6.3%増)と観光・行楽部門(1.0%増)だけでした。
一方、スポーツ部門はゴルフ練習場やスキー場の不振が目立って1.4%減。娯楽部門はパチンコやテレビゲーム市場の縮小が響いて4.7%減という結果でした。
余暇活動への参加人口では、トップ4までは前年とまったく同じ。1位は「ドライブ」の6,290万人で、高速道路の料金値下げ効果が現れています。2位は「国内観光旅行」の6,150万人、3位は「外食」の6,040万人、4位は「映画」となっています。

前年より順位を上げたのは5位(前年6位)の「動物園、植物園、水族館、博物館」です。昨今の動物ブームや動物園などが魅力的な施設作りをした結果なのでしょうか。
もうひとつは13位(同16位)の「学習・調べもの」で、小惑星探査機「はやぶさ」が帰還した後の科学ブームが後押ししたようです。

「ポジティブ・オフ」運動とは

フランス人のほとんどが、夏季に連続1ヵ月ほどの休暇を取るといいます。
フランスの法律(マティニョン法)により、毎年連続して2週間までの有給休暇が付与されています。有給休暇の消化率が24カ国中で最下位の私たち日本人にとってなんとも羨ましい話ですね。

日本でもこうした海外の事情を反映してか、先月に観光庁が内閣府、厚生労働省、経済産業省と共同して「ポジティブ・オフ」運動を提唱しています。
この運動は、休暇を取得して外出や旅行を楽しむことを積極的に促進し、休暇(オフ)を前向き(ポジティブ)にとらえて楽しもうという趣旨のものです。
また、「ポジティブ・オフ」運動は、その趣旨に賛同する企業・団体により実施されるもので、観光庁は賛同企業が既に70社を超えたことを8月8日の段階で明らかにしています。

この運動は東日本大震災で被災を受けた地域へのボランティア旅行などの社会貢献活動や地域経済の活性化、そして今夏の家庭や企業の電力需給対策にも繋がっています。
以前、日本人は諸外国から「エコノミックアニマル」と呼ばれたことがありました。「経済上の実利ばかり考える動物」といった意味合いで、この言葉は1969年の流行語にもなりました。

男性も含めた「育児休暇」や「子の看護休暇」、「介護休暇」なども制度化され、「エコノミックアニマル」と呼ばれた当時よりは随分休暇は取りやすくなってはいますが、欧米と比べるとまだまだ遜色があります。

観光庁が長期的に休暇を楽しむライフスタイルやワーク・ライフ・バランスの実現を目指すこの休暇改革への取組みは、国民のニーズや時流にミートし、評価できる施策だと思います。

もうひとつ夏休みにちなんだ話題に触れたいと思います。8月14日の朝日新聞(朝刊5面)の「夏休み『帰省』4割 過去最高」という記事に目が留まりました。
今年の夏休みをどう過ごすかについて明治安田生命保険がインターネット調査(20-59歳の男女1,102人)したところ、1位は「自宅でゆっくり」(59.2%)で、2位が「帰省」(40.2%)。2006年の調査開始以来、「帰省」は最高のポイントを示したとのことです。

帰省の目的は「親・兄弟に会いたい」(83.5%)が最も多く、次いで「墓参り」(52.6%)、「実家でくつろぐ」(33.2%)という順でした。
この調査には日本人の家族の絆を大切にする姿勢が認められます。こうしたところにも東日本大震災の影響が表れているようです。
さて、皆さんはどんな夏休みを過ごしましたか?

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*8月20日付の読売新聞「論点」(11面)に、私が執筆した「安心与える戦略広報を〜原発事故の情報提供」が掲載されました。
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