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2011.09.26

中国メディアの最新事情〜中国市場では「見える活動」が重要

こんにちは井之上 喬です。

9月23日(金)は秋分でした。「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉がありますが、これで残暑も和らぎ凌ぎやすくなってくるのでしょうか。

さて今回のブログでは、「中国メディアの最新事情」をお届けします。私の会社(株式会社井之上パブリックリレーションズ:http://www.inoue-pr.com)では、昨年7月に設立40周年を迎え、これを記念して『井之上喬のエグゼクティブのためのPR講座』を本年 6月から毎月1回のペースで開講しています。

9月のPR講座にはゲスト講師として徐静波さんを迎え、特別セッションを組みました。今日の話はこのセッションからの情報です。

在日20年を超える徐静波さんはアジア通信社代表取締役社長。日本語の中国経済専門紙「中国経済新聞」編集・発行人で中国語版日本ニュースサイト「日本新聞網」( http://ribenxinwen.com/ )編集長(井之上PRとの協働事業)。
中国共産党全国代表大会および全国人民代表大会の取材を中国政府から認められた只一人の在日記者として、徐さんは日中で著名なジャーナリストです。

ネット人口は6億人、ツイッター3億人

いま中国のメディアで最も影響力の強いのがインターネット。インターネット人口はなんと6億人といわれています。中国ではネットメディア相互間の記事リンクは当たり前で(日本では著作権の問題で不可)、話題性のある記事はあっという間に中国全土に拡散します。

ツイッターも3億人が利用しているそうです。徐さんによれば、7月に浙江省温州市で乗客ら40人が死亡した高速鉄道事故の際は、生中継に近いかたちでツイッターによる現場報告がなされたようです。

政府のネット規制があったにもかかわらず、規制から逃れやすいツイッターを使った情報発信がメディアの役割を果たしたといいます。
中国ではテレビをよく観るのは在宅の老人。新聞などの紙媒体は、都会紙(日本での夕刊紙)は読まれているものの、中国共産党中央委員会の機関紙である人民日報は、ほとんど読まれていないのが実情。

だから日本企業がTV媒体を使うときなどは、日本と異なったTV事情を考慮しなければターゲットの補足を誤ると語っています。
徐さんの目から見ると、日本と中国は隣国で長い歴史的関係を有しているにもかかわらず、日本人の中国人の思考法や価値観に対する理解は遅れている、というよりも全くできていないようです。

そのことは昨年、中国市場でトヨタ車約69万台をリコールした際の事例を聞かされ、納得させられました。

徐さんによると、「中国車はリコールをしない」。中国ではリコールをする車は、欠陥車と見られるために、問題が発生した車をこっそり修理して戻す習慣が根強くあるようですが、トヨタのように日本車は顧客の安全を第一に考え欧米車と同様、すぐリコールをしているそうです。

けれど事前の説明が十分されないトヨタ車のリコールは、中国国民には品質の悪さが原因と受け取られたようです。「生命を大切にする、生命に対する責任感」というリコールの背景にある企業理念が伝わらず、安全技術に欠陥があるから回収するといった誤ったイメージを与えているとしています。

中国市場でパブリック・リレーションズ(PR)活動を行う場合は、こうしたメディア事情や中国人の価値観、商習慣などを理解したうえで戦略づくりすることが重要となります。

中国市場でのPRはどうすればよいのか?

これまでのところ、日本製品に対する中国人消費者のイメージは一般的に高く、例えば、ソニーブランドを持つことは中国人にとっても誇りであるようです。
その要因として、先ずは品質が優れていること、日本企業のサービスの良さやトラブル対応の良さ、といったことが挙げられます。但し問題は、中国製品の2倍以上ともいわれる価格です。2倍の価格でも価値があることをPRを通してしっかり伝えていかなければなりません。

また徐さんは、「中国において多くの日本企業はCSR分野で貢献しているものの、それをPRしている日本企業はほんどない。米国企業は積極的にPRしている」。
そして「良いことをして、それを口にしないというのは日本の美徳かもしれないが、中国では『見える活動』が大切」とPRへの取り組みが欧米企業と比べてきわめて希薄であると徐さんは語っています。

つまり、日本企業はCSRや自社製品の付加価値性を欧米企業のように積極的にPRを通してしっかり中国社会や市場に伝え、理解を求めていくことが不可欠となっているとしているのです。

ところが私が見る限り、日本企業は、欧米企業に比べ圧倒的に広報の人材が不足しているにもかかわらず、これまでのところPR会社に業務を委託するといった姿勢は一部を除いてあまり見られません。

徐さんによると、「日本企業の現地法人のトップは、本社の課長クラスであるため重要な経営やマーケティング・マターに対する決定権が無く、メディアからの取材に対応できず逃げ回っている」といった笑えないような現実があるとしています。

周知の通り中国は、従来の安く豊富な労働力と広大な土地を提供する加工生産基地から、生産したものを自国で販売する、さらには「メイド・イン・チャイナ」ブランドで欧米へ輸出する国に変貌し、世界第2位の経済大国へと成長を遂げています。

日本にとって古くて新しい中国。今年7月23日の高速鉄道事故のマスメディアの報道にはこれまでとは少し違ったオープンな姿勢が認められました。
こうした中国におけるメディア報道の新たなフェーズを迎え、当社の中国事業支援室では、中国進出企業の広報担当者を対象に今年11月、徐静波さんと中国での駐在経験のある日本人ジャーナリストを講師に迎え「中国メディアの最新事情セミナー」を計画しています。

セミナーの講演内容や日程などが決まりましたら、このブログを通して皆さまにお知らせしたいと思っています。

 

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