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2020.03.10

東日本大震災、東電福島第一原発事故から9年
~改めて思う自然との共生

皆さんこんにちは井之上喬です。

新型コロナウイルスの終息時期については、不透明な状態が続いています。

感染者の拡大が続き、企業の時差通勤やテレワーク、そして小中学校での休校など、これまで経験したことのない対応が、私たちに求められています。

そして、デマ情報も含め様々な情報があふれています。情報の真偽を、一人一人が見極めることが、これまで以上に大切な時です。

この難局を皆さんと知恵を出し合って、乗り切っていきたいと思います。

本当の復興はこれから

2011年3月11日の午後2時46分、突然強い地震が東京のオフィスにいた私たちを襲いました。
その時、海外からの来客と会議室にいた私は咄嗟に、”Hide under the desk!” と叫んだのを今でも鮮明に覚えています。

3月11日、東日本大震災、東京電力福島第一原発事故からまる9年を迎えます。警察庁の調べによると3月1日現在、死者は12都道府県で1万5899人、行方不明者は6県で2529人。死者はこの1年で2人増え、行方不明者は4人減ったとのことです。
いわゆる「震災関連死」を含めると、死者や行方不明者は2万人を超えると言われます。改めて被害の甚大さを思い知るとともに、亡くなられた方々のご冥福と、今も故郷を離れた生活を余儀なくされている方など被災された方々に、心よりお見舞いを申し上げます。

今年は、新型コロナウイルスの感染が拡大し、政府も予定していた東日本大震災の追悼式を取りやめることを決定しました。3月11日の当日は、安倍総理大臣が関係閣僚らとともに犠牲者に黙とうを行い、追悼のことばを述べる、としています。

その安倍総理大臣は3月7日、昨年4月以来となる福島県視察を実施しました。一部地域で避難指示が解除された福島県双葉町では、新設された常磐自動車道の常磐双葉インターチェンジの開通式典に出席。その後、浪江町で整備が進められていた、世界最大規模の水素製造拠点である「福島水素エネルギー研究フィールド」の開所式にも参加するなど、拡大する新型コロナウイルスの対応の中、震災復興に取り組む姿勢をアピールしていました。

常磐双葉ICは、東電福島第一原発の北西、わずか約7kmに位置しています。14日には、JR常磐線も全線が運転を再開する予定です。交通インフラの整備により、廃炉作業の進展や中間貯蔵施設への汚染物質搬入の円滑化が期待されるところです。

9年が経ったとはいえ、震災復興や東電福島第一原発事故の処理は、まだまだこれからが本番かもしれません。政府は、オリンピックの開催で東北の復興を世界に示したい意向のようですが、現地の方々の思いは複雑のようです。あの日の衝撃を風化させてはなりません。

「Fukushima 50」が世界に問うものは

新型コロナウイルスの影響で、スポーツなど多くの人々が集まる様々なイベントが中止、延期されています。映画では、「映画ドラえもん のび太の新恐竜」、「ムーラン」、「劇場版ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス」など春休みのファミリー向け映画や、4月公開予定だった「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」の、公開延期が発表されています。

そんな中、東電福島第一原発の事故直後の現場で対応に当たった作業員らを描いた映画「Fukushima 50(フクシマフィフティ)」が、3月6日に全国で公開されました。

原作は、作家門田隆将さんの「死の淵を見た男 吉田昌郎(まさお)と福島第一原発」(角川文庫)です。東電福島第一原発での事故発生から5日間、最悪の事態を避けようと奮闘する約50人の作業員らの姿を中心に描いた作品で、映画のタイトルは、海外メディアが、作業員らを称えた呼び名から採ったといいます。

映画の製作委員会にも加わる福島民友新聞社は、公開初日に合わせ、東京、大阪、名古屋、仙台の上映館で号外を配布しました。見出しは「最後に何とかしなきゃいけないのは 現場にいる俺たちだ」、そして「福島が日本を救った」。
最悪の場合、首都東京を含む東日本、さらに日本の壊滅までもが危惧される状況の中で、それを回避しようとする人々の激烈な戦いの真実が描かれている映画である、と紹介しています。

号外紙面では加えて、大震災と原発事故から9年を迎える福島県の現状と、出演者の佐藤浩市さん、渡辺謙さん、若松節朗監督がこの映画にかける思いを伝えています。若松監督はその中で、「原発事故を風化させてはいけない。そのためにも、この映画を世界に向けて発信することが大切」だと述べています。

Fukushima 50と同じく東日本大震災・福島第一原発事故をテーマにした映画としては、2016年夏に、「太陽の蓋」が製作されています。これまでフランス、カナダ、インド、ドイツ、イギリス、ポーランド、韓国、ブラジル、イタリアなど10か国で上映され、好評を得ています。

折しも先日、製作者の橘民義さんに、日比谷での上映会とトークショーに招かれました。日本の危機管理の甘さを突いたこの映画は、現在進行中の新型コロナウイルス問題の稚拙な対応とも重なります。日本の危機管理の脆弱性を考えずにはおられません。それはつまり、パブリック・リレーションズ(PR)の不在に他なりません。

原発事故前のこの地には、清らかな川の水や美しい緑の山々、田園、そして魚介類豊富な海など、素晴らしい自然がありました。

自然は毎年、同じ美しい姿を映し出しますが、時として人間の想定を超える猛威を振るうこともあります。自然に比べ私たち人間は小さな存在です。技術の進歩に慢心してはならないのです。
一人一人が改めて地球、自然の大切さを認識し、次の世代にこの素晴らしい地球を遺すためにも、エネルギー問題や海洋汚染、温暖化対策などに、それぞれが出来ることから取り組む必要性を強く感じています。

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