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2019.12.18

年末恒例の「流行語大賞」「ヒット商品番付」に思う
〜ニュース報道以外にも真実が?情報感度を高める

皆さんこんにちは井之上 喬です。

おかげさまでこの「井之上ブログ」も今回で700号を迎えました。

2005年、知人であるPHP出版の中村由紀人編集長(現毎日新聞)のアドバイスがきっかけで始めた井之上ブログ。多くの皆さんのご支援をいただき、総文字数も150万字を超えパブリック・リレーションズの視点からさまざまなテーマを取り上げてきました。

その間、時代は大きく変貌し、いま世界は地球規模の大転換期を迎えています。

これからも、「倫理観」と「双方向性コミュニケーション」そして「自己修正機能」の3つの概念を基本にしたパブリック・リレーションズを通じ、世界的視野を持ってよりよい社会の実現に向け精進してまいりたいと思います。

引き続きのご支援をお願いいたします。

 

2019年の「流行語大賞と「ヒット番付」

年末恒例の」「流行語大賞」と「ヒット商品番付」が発表されました。

その年に話題になった言葉に贈られる「現代用語の基礎知識選:2019ユーキャン新語・流行語大賞」によると、年間大賞にはラグビーワールドカップで日本代表のヘッドコーチ、ジェイミー・ジョセフさんが掲げた「ONE TEAM(ワンチーム)」が選ばれました。

日本ラグビー史上初の決勝トーナメント進出に列島が熱狂したのは記憶に新しいところですが、海外出身選手を含む日本チームが、見事に一つにまとまっての快進撃には感動しました。

他にも全英女子オープンで優勝した渋野日向子選手の愛称「スマイリングシンデレラ/しぶこ」、新元号の「令和」、大きな台風の接近時に鉄道会社が運行中止を決めて公表する「計画運休」、高速道路での逆走や歩行者を巻き込んだ暴走事故などが多発した影響により増加した、高齢者が自主的に自動車運転免許を返納する「免許返納」、芸能界を騒がせた「闇営業」などは、すぐに思い出せるのではないでしょうか。

10月の消費税率引き上げに絡んでは、「軽減税率」とポイント還元制度を背景にしたキャッシュレス決済「○○ペイ」が記憶に新しいでしょう。若い人たちを中心にした消費の現場からは、タピオカ入りのドリンクを飲むことを意味する「タピる」、また男女平等の社会を目指す動きとして靴と苦痛をもじった「#KuToo」が登場しました。

一方、日本経済新聞社がまとめた2019年の日経MJヒット商品番付によると、東の横綱には「ラグビーワールドカップ(W杯)」、西の横綱には消費増税をきっかけに利用が一気に広がった「キャッシュレス」が選ばれました。

さらに東の大関には「令和」、西の大関は「タピオカ」、関脇には東に新海誠監督の最新作である「天気の子」、西には人気ゲームのドラゴンクエストシリーズ初のスマホ向け位置情報ゲーム「ドラゴンクエストウォーク(ドラクエウォーク)」が名を連ねます。

小結には、東は街でよく見かけるようになった米国ウーバーテクノロジーズの宅配代行サービス「ウーバーイーツ」、西にはサントリーの「こだわり酒場のレモンサワー」が顔を出しています。

このヒット商品番付は、年間の消費動向や売れ行きなどをもとに担当記者がランク付けしたもので、多くが流行語大賞とオーバーラップしているのも興味深いですね。

改元、消費税の増税など節目の多かった1年でしたが、皆さんはどのように感じられましたか。

 

注目の流行語は「下沈市場」?

皆さんは「下沈市場」をご存じですか?

下沈市場とはいわゆる中国における三級、四級の地方市場のことで、世界経済に大きな影響を及ぼしています。

個人的には、これからの流行語・キーワードとして「下沈市場」に注目しています。

JETROなどによると、北京や上海などの一級都市に比べ、これら地方都市の市場では消費が急成長しているようです。下沈市場に関連するデータを上げてみましょう。市場規模は6億7000万人、平均月収は5000元(1元16円換算で約8万円)以下、ネットの一日利用時間が5時間25分、18歳以下の未成年の高いスマホ利用率、スマホの主流は3000元(約4万8000円)以下のモデル(OPPO、VIVOなど)、ショートムービーの利用者5億人など。インターネットの役割や利用拡大が重要な成長要因になっているようです。

都市レベル別ネットユーザーシェアで、2018年と2019年の変化を見てみましょう。一級都市は13.6%から15.2%と、増加はしたものの全体の中での割合は大きくありません。、二級都市は37.7%から31.9%と大きなシェアながら減少したのに対し、三級都市は20.2%から21.6%、四級都市が18.4%から23.4%へと増加し、三、四級都市のシェアが拡大傾向にあるのは明らかです。

アリババグループの2019年アニュアルリポートにもこの傾向が反映されています。アリババ運営のECサイト「タオバオ」では、2018年4月から2019年3月までの1年間で1億人もの新規ユーザーを獲得しましたが、そのうち何と77%が下沈市場の住民だそうです。

下沈市場の特徴は、「顔なじみ社会」、「高い価格感度」、「娯楽・暇つぶし」、だそうです。日本には馴染みのない下沈市場ですが、注目すべきはその規模です。中国経済の実態を正しくつかむためには、その視野、尺度を、日本のそれではなく現地に合わせる必要がある、ということです。そしてその動向は、日本の企業活動にも大きな影響を及ぼすことは必至です。

私たちは世界規模で進展する情報社会に生きています。世界の情報を、今や誰でも一瞬にして入手できますが、忘れてはならないのは正しい情報は何なのか、そして現実や実態はどうなっているのか、という視点を常に持つことです。そのために、ニュースや報道に表れていない動きにも目を向け、深層を探る作業を続けることが欠かせません。

パブリック・リレーションズ(PR)に関わる私たちにとって、何が重要なのか、何が正しいのか。その判断を行うために、ますますグローバル尺度で情報感度を高める必要があると痛感しています。

皆さまにはこの一年間「井之上ブログ」をご愛読いただき誠にありがとうございました。

12月もあとわずか。年末に向けて、忘年会やクリスマス、大晦日など賑やかな日々が続くと思いますが、2020年が皆様にとって明るい年となりますよう、お祈り申し上げます。

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