パブリック・リレーションズ

2016.11.11

国際PR協会(IPRA)のGWA授賞式でカタールへ〜アルジャジーラ本社訪問の機会を得て思うメディアの存在

皆さんこんにちは井之上 喬です。

米大統領選挙は、共和党のドナルド・トランプ氏が民主党のヒラリー・クリントン氏を大接戦の末破り勝利しました。

経済、政治の面で多少の混乱があるかもしれませんが、今後の動向に注視したいと思います。

IPRAゴールデンワールドアワード(GWA)を受賞

11月5日(現地時間)に国際PR協会(IPRA)のGolden World Awards for Excellence 2016授賞式に参加するためカタールのドーハに出張しました。

7月に井之上パブリックリレーションズのホームページでも紹介いたしましたが、今回、ファイナンシャルサービス&インベスター・リレーションズ部門で日本で初めて最優秀賞を受賞したプロジェクトは、株式会社コンカー(本社:東京都千代田区、三村真宗代表取締役社長)と井之上PRによる「領収書電子化に関する規制緩和活動(Successful Deregulation Campaign Relaxes Japan’s Rules on Management of Expense Receipts)」です。

ホームページ http://www.inoue-pr.com/info/481/

授賞式には世界各国から受賞者が集まり、華やかな雰囲気の中で式典は進みました。

残念ながら1997年にアジアで初めて「自動車部品規制緩和プログラム」でのグランプリ受賞に続く、2度目のグランプリは逃しましたが、世界でパブリック・リレーションズに日々取り組んでいるPRパーソンとの情報交換は刺激的で非常に有意義なものでした。

次回はクライアントとともに良い仕事を持続させ、2度目のグランプリを目指したいものです。

急成長アルジャジーラ本社のスタジオに足を踏み入れて

授賞式の翌日、思わぬプレゼント?をいただきました。

地元要人の紹介で「公正で政治的圧力を受けない、中東で唯一の報道機関である」と謳っている衛星テレビ局アルジャジーラ(Al Jazeera)の本社を訪問することができました。

ドーハ中心部から車で30分ほどの郊外に建つアルジャジーラ本社に入ると、壁に囲まれた広大な敷地内に多くの建物と多数の自動車、そしてパラボラアンテナが目に入ってきました。

最新の放送機器を配置した英語放送のスタジオ、アラビア語放送のスタジオ、そして1996年に放送開始した当時のスタジオなどを見学。

Wikipediaによると、社名は定冠詞のアルとアラビア語で「島」を意味する「ジャジーラ」に由来し、アラブ地域ではアル・ジャジーラとはアラビア半島を意味するのが一般的だそうです。

アラビア書道における書体のひとつで、日本の書道における草書体にあたるディーワーニー体で雫状に「アルジャジーラ」と書かれているロゴデザインが印象的です。

1996年11月1日、カタール首長であるハマド・ビン・ハリーファ・アール=サーニーより5億カタール・リヤル(1億3700万USドルに相当)の支援を受けて設立されたとされ、収益の多くはNHKや海外メディアからの映像使用料が占めているとのこと。

訪問したときは、ちょうど数日前に開局20周年のお祝いをしたとのことで、ガバメント・リレーションズ担当の方が、20年を振り返って親切に約2時間局内を案内してくださいました。

アル・ジャジーラ本社ビルの中には、これまで戦場や紛争地で命を落とした10名ほどの報道カメラマンと記者の写真や犠牲となった現場に残された遺品が展示され、この地域の特殊性を強く感じさせてくれました。

現在職員数は約4000人(うち国内3000人)、記者の数は約500名で世界73の支局で報道活動を行っているようで、BBC、CNNと並ぶ世界3大ネットワークと説明しています。

職員数は世界一といわれる日本のNHKは放送法に縛られ、海外への発信には制約があるようですが、急成長するアルジャジーラは積極的にアラブの顔としてその存在感を増しています。

カタールは、欧米諸国に対しては、イラク戦争では基地を提供する程度で比較的穏健な姿勢を保ち、また、パレスチナ自治政府の汚職などの問題を追及したり、イスラエル人が出演してヘブライ語で話すなど、他のアラブのメディアがやらなかったようなことも積極的に取り上げ注目されています。

報道姿勢は国際的な評価も高く、英国の検閲に関する問題を扱う雑誌Index on Censorshipでは、2005年に「アラブ諸国における自由な情報交換を促進し、検閲を拒否する勇気」の一例として紹介され、アメリカでも1999年のニューヨーク・タイムズ紙に「アラブ諸国で、最も自由で最も広い観点を持つテレビネットワーク」と評されています。

中東地域は、私たち日本人にとって歴史的にみても馴染みの薄い地域ですが、同地域の実態を報道を通して世界に伝えるアルジャジーラの役割は今後ますます増大するものと強く感じました。

中東地域はカタールをはじめ、サウジアラビア、UAEなどのアラブ主要国が脱石油、脱CO2を掲げ積極的な新産業育成を行っていますが、日本にとって地域の発展に様々な形で貢献できるのではないか、パブリック・リレーションズ(PR)の専門家として力になれるのではないか、そんなことを考えながらアルジャジーラを後にしました。

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