パブリック・リレーションズ

2010.09.06

ホットな夏の話題〜「クラウド」を巡るM&Aの勝者は?

こんにちは井之上 喬です。

今回は“ホット”な話題を取り上げてみました。
9月に入っても全国的気な猛暑記録が続く日本列島。気象庁の異常気象分析検討会は9月3日、日本列島はこの夏、30年に1度の異常気象だとの見解を発表しました。

産業界での最近のホットな話題はと言えば「クラウド」ではないでしょうか。
新聞の見出しにも頻繁に登場するクラウドの元来の意味は雲(cloud)ですが、インターネットをベースとしたこのコンピュータの利用形態は、クラウド・コンピューティングを指しています。
より具体的には、クラウドはデータを自分のパソコンや携帯端末ではなく、インターネット上に保存する使い方やサービス。

急成長するクラウド市場

日本経済新聞によるとクラウド・コンピューティングとは、「企業などがインターネット経由で業務に必要なソフトやサービスを利用できる仕組み。顧客管理や生産管理のIT(情報技術)投資抑制につながる。情報漏れなどの安全上のリスクを指摘する声もあるが、コスト削減を優先する企業間で利用が広がっている」と解説しています。

なぜそれほどホットになっているのかと言えば、市場が急成長の見通しがあるとされているからです。

米国の調査会社ガートナーによれば、2010年の世界のクラウド分野の市場規模は前年比17%増の683億ドルで、IT全体の伸び率見込み5%程度に比較すると群を抜く成長率。

さらに2014年には1,488億ドルと2009年に比べ約2.5倍の市場規模に拡大すると予測しています。ハイテク関連の企業がこぞって飛びつく理由もそのあたりにあるのは理解できるところですね。

このホットな市場での覇権争いも急で、米国のハイテク企業を中心にクラウド絡みのM&A(企業の買収・合併)が活発化しています。

最近の動きの中で注目したのが半導体世界トップ企業インテルによるインターネット・セキュリティ大手マカフィの買収と、高性能ストレージ開発企業3PAR(スリーパー)を巡る、ヒューレット・パッカード(HP)とデルの争奪戦です。
インテルはこれまでにも様々な分野での企業買収を行っていますが、今回のマカフィー買収は買収金額が約76億8000万ドル(約6,500億円)という大型案件。

業界筋は、パソコン向けCPU(中央演算処理装置)でトップのインテルが「なぜセキュリティソフト会社を手に入れたのか?」注目しています。

その背景にはインターネットへの接続端末が多様化しており、パソコンだけの時代から携帯電話や多機能の携帯端末などに移っているという現実があるからでしょうか。

パソコン集中から事業の多角化を図りたいインテルのビジネス戦略が、今回のマカフィー買収にはっきりと見て取れます。

もう一つの3PARを巡るHPとデルの買収合戦は、最終的にはデルの買収断念で決着しましたが、買収合戦騒動期間の3PARの株価は、買収発表前の10ドル足らずから買収提示額の引き上げ合戦の結果、買収価格のプレミアム(上乗せ分)は約240%まで跳ね上がりました。

ここでも日本は立ち遅れるのか?

この2つの案件だけでなくトムソン・ロイターの発表では、8月のM&Aの世界規模は2,672億ドルとなり8月としては99年以来の高水準を記録したそうです。クラウドの普及をにらんだM&Aは今後も活発化しそうです。

そんな中、9月3日に総務省は国の情報システムの運用費を2020年に半減させる目標を掲げ、そのための検討委員会を設置したとの報道がありました。

それによると中央官庁が持つシステムの数は2,059あり、大型汎用機(メーン・フレーム)の運用費などを含む年間の運用費は約3,900億円にのぼるとのこと。

この状況をクラウド技術などの活用でコスト半減しようというもので、米国などに比べ取り組みが大幅に遅れたものの、政府はようやくその重い腰を上げました。

クラウドを支えるデータセンター向け基幹装置のある外資系企業のCEOは、「2010年の売上は好調。皆さんは中国向けがけん引していると考えているが、最も好調なのは米国向けだ」。

「米国はクラウドへの積極投資を行っている。日本もやっと重い腰を上げたようだが、ハイテク業界の動きは想像以上に早く、今回、来日したのも日本が政府、企業を含め立ち遅れてほしくないからだ」と語っていました。
パブリック・リレーションズ(PR)業界でもこの動きは見過ごすことはできませんね。私もいま「クラウドPR」のソリューション開発の真っ最中です(笑い)。

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