パブリック・リレーションズ

2008.12.27

パブリック・リレーションズから見た2008年

こんにちは井之上喬です。
皆さんいかがお過ごしですか?
今年も残すところあとわずかになりました。

2008年の世界は、経済、政治、外交など様々な分野で多くのことがありました。今年をパブリック・リレーションズ(PR)の視点でみると:1つは、米国が大きく変化していることが挙げられます。ブッシュ政権が始めたイラク戦争の失敗が明らかにされ、自信喪失に陥る国民の前に彗星のごとく登場したオバマ氏。2つ目は、とどまるところを知らない地球温暖化(環境)問題。3つ目は、サブプライム問題に端を発し世界経済を大混乱に陥れ100年に一度といわれる深刻な問題。4つ目は、これらの問題に対処できるリーダーシップ不在の顕在化が挙げられます。

ことしは破壊の年

こうしてみると2008年は破壊の年といえます。新自由主義の名のもとにイラク戦争を始めた超大国アメリカの権威は失墜し、住宅バブル崩壊に始まったサブプライム問題は、アメリカの金融危機が実体経済(非金融)システムを破壊し世界恐慌に発展する様相を呈しています。

またブッシュ大統領が今月のイラク訪問の際の現地記者会見で、イラク人記者から靴を投げつけられたことで象徴されるように、自らの過ちを省みず自己修正を怠った米国に対する信用は大きく崩壊しました。アメリカが自国の利益に固執した結果、世界をリードできなくなった証左ともいえます。

一方、環境破壊による地球温暖化がもたらす世界規模の異常気象、四川大地震をはじめとする大地を切り裂く地殻変動、私たちがこれまで立っていた大地さえも信じることができない、大丈夫だと思われていたこれまでのシステムもいとも簡単に崩れ去り、世界がまさに液状化状態。

2009年は創造の年に

これまで人類は欲望のおもむくままに、世界の構築と破壊を繰り返してきました。地球規模で人類の持続的繁栄を考えた場合、とりわけパブリック・リレーションズの視点で捉えた場合、私は次の2つがこれからの重要なテーマとなりうると考えています。1つは、「拡散する核の脅威にどう対処するのか」。2つ目は「環境破壊への脅威に対応する新処方箋」。人類はこれら2つの問題に、今後どのように取り組み、その英知を使うかにかかわってくると考えています。

イラク戦争の失敗やサブプライム問題による健全な世界経済運営の失策で、自信喪失に陥ったアメリカは、次の大統領に人種の壁を越えてバラク・オバマ氏を選びました。来年1月20日の大統領就任を待たず、ばらばらになっている国民を1つの方向へ向かわせ、その立て直しに精力的に活動しています。

有史以来世界は、その時代を生きたリーダーの資質で人々を幸福にも不幸にもしてきました。米国の新しいリーダーの登場は、アメリカにとどまらず、世界にどのような秩序をもたらし、世界をどのように変革していくのか、その手腕に大きな期待が寄せられています。オバマ次期大統領がこれからの世界を、どのような目標のもとに創造するのか、また日本がどのような新しい機軸を提示できるのか期待されるところです。

政治が大迷走し、2年で3人の首相が交代する日本にいまこそしっかりした軸足を持つリーダーが求められています。いまや極限状態にある国民を安心させ、世界が2度と同じ失敗を繰り返さないためにも目標設定が明確に必要とされるパブリック・リレーションズが求められているのです。

本号で今年最後のブログとなりました。この1年間、井之上ブログをご愛読いただき誠にありがとうございました。皆さんには良い年をお迎えくださいますよう。

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