パブリック・リレーションズ
2007.03.30
PRパーソンの心得8 偉大なる常識人であれ
こんにちは、井之上喬です。
オフィス近くの新宿御苑の桜が、ようやく満開になりました。
皆さん、いかがお過ごしですか。
パブリック・リレーションズは人と人との関わりの中で目的を達成していく手法です。PRパーソンにとって重要となるのは、人々が暮らす社会の成り立ちや世の中で起きている事象を知ること。今回は、PRパーソンの心得8として「偉大なる常識人であれ」をお届けします。
常識はパブリックの視点で
『広辞苑』をみると「常識」とは、「普通、一般人が持ち、また、持っているべき知識。専門知識でない一般的知識と共に理解力・判断力・思慮分別などを含む」と記されています。「偉大なる常識人」とは、常識をベースに優れた理解力や判断力を発揮して何かを成し遂げられる人であるといえます。
パブリック・リレーションズは、文字通りパブリック(一般社会)との良好な関係(リレーションズ)を構築・維持する活動の総体です。多様なパブリックとの関係を構築するため、カバーする学問領域は経済学、社会学、経営学、心理学や政治学など20を超えるといわれています。PRパーソンは日頃から、社会のさまざまな事柄をバランスよく知識として蓄積することが必須です。
「偉大なる常識人」であるために必要なこと。それは物事に対する好奇心を大切にすること。そして常にパブリックの視点に立って考えるよう心がけることです。
また、人間としての常識である「世の中の道理」を知ること。またその基準に照らし合わせて物事を理解し吸収することも重要です。民主主義社会における健全なパブリックとは「常識」を投影するもの。PRパーソンが「常識」を知ることはパブリックの視点を確保することになります。「常識」は双方向のコミュニケーションを通してパブリックと相互理解を醸成する上で礎となるものです。
素早い理解と適切な判断を可能にする
しかし単に知識として幅広く持つだけでは十分とはいえません。プロフェショナルとして自分の関わる分野において造詣を深め専門化させなければなりません。つまり、PRパーソンは、常識を持つスペシャリストとして、所属する組織のトップやクライアントに専門的なアドバイスを行うカウンセラーとしての能力を兼ね備えていなければなりません。
時として所属する組織のトップやクライアントは、適切でない考え方や態度を示すことがあります。その場合にもPRパーソンはカウンセラーとして、誤った方向性の軌道修正をして正しい方向に導くための説得を試みなければなりません。普遍的かつ常識的な裏づけのある提案は相手の共感を得やすく説得力を持ちます。相手をより効果的に納得させることができるのです。
良好な関係構築・維持に継続的にとり組む中で、組織を取り巻く状況は常に変化します。したがってPRパーソンには、潮目を読んでリアルタイムで状況変化に対応することが求められます。自らの常識に照らし合わせることにより、その時点で起きている事象を素早く理解し、適切な判断を瞬時に下すことができます。自分に専門性がない状態で不測の事態が発生した場合でも、より的確に先を予測することができ、速やかに問題解決へ取り組むことができるのです。
幅広い常識を身に付けるためには、物事に対して常に「なぜ」「どうして」という問いを投げかけることです。このような問いかけは、物事の背景や成り立ちを深く知り理解するきっかけを作ってくれます。バラバラに見えていたものが奥深い所で繋がっていたり、複雑に見える事が実はシンプルなものであったりと、一見では理解できない事を知ることになります。人は物事を知り理解する過程を通して、幅広さと奥行きのある知識を自分のものにして独創的な発想の糧として蓄積することができるのです。
「偉大なる常識人」であることは、PRパーソンのみならず、世間一般のビジネス・パーソンにとっても大切なことです。コミュニケーションを通して人との関わり中で大いに常識を身に付けて活用してください。そのことは皆さんの能力を高めるだけでなく、人生をより豊かなものにするでしょう。