アカデミック活動

2014.10.16

「絆(きずな)教育」〜日本の明るい未来を拓くヨコミネ式

こんにちは、井之上喬です。
日本社会にパブリック・リレーションズ(PR)を根付かせたいとの一念で、2005年4月に始めたこのブログもお陰さまで今回、500号を迎えることになりました。

週一度のペースで発行してきた井之上ブログ。読者の皆さんには、いつもご愛読いただき誠にありがとうございます。これからも平和で希望ある社会づくりを目指すパブリック・リレーションズの一環として、引き続きブログの発行に注力して参ります。ご支援くださいますようお願いいたします。

このブログの100回記念(2007年2月17日)ではパブリック・リレーションズ(PR)の先進国、米国で1952年に発刊され、半世紀以上を経た今日も世界中で愛読されて第10版を重ねる『Effective Public Relations』を紹介しました。

200回記念(2009年1月17日)では日本文化とパブリック・リレーションズの接点として「絆(きずな)」をテーマにし、教育について話しました。

300号記念(2011年1月24日)では、政府や国民、政治家と有権者とのリレーションシップ構築の象徴ともいうべき「マニフェスト」についてお話しました。

400号記念(2012年10月1日)では、このブログがスタートしてからの7年半の間に起きたさまざまなことに触れました。内外の経済、政治の移り変わり、また私事になりますが自著の出版や早稲田大学に次いで京都大学でも教鞭を執ることになったこと、そして東日本大震災福島原発事故などでした。

500号を記念して今回は、私が日本の将来にとって最も重要と考える教育、それも「幼児教育」をテーマに採り上げました。

横峯吉文さんとの出会い

横峯さんを初めて知ったのは2010年、偶然にフジテレビの番組「エチカの鏡」を観ていたとき。

画面には、自分の背丈より高い跳び箱を跳んだり、逆立ち走行したり、小学校で習う、読み書き、ソロバンができたり、また生来持っている子は極めて少ないとされる「絶対音階」をほぼ全員が持っていたり、毎朝かけっこや本を読ませたり(卒園まで1000冊以上読む)、私はその映像に強烈なショックを受けました。

私が2004年から早稲田大学で、これからのグローバル社会で必要となる、日本に馴染みのないパブリック・リレーションズ(PR)の普及のために、「パブリック・リレーションズ論:次世代のリーダーのために」をスタートさせたのも、「個」のしっかりした、「人間力」ある人材育成が重要と考えたからでした。

一方授業を始めて10年が経過した現在、グローバリゼーションは私たちの予想を超え猛スピードで進行しています。パブリック・リレーションズはグローバル社会の基盤と考える私にとって、その一刻も早い導入を考えた場合それは幼児期からの導入が喫緊と考えるようになりました。つまり大学や大学院だけでの教育では遅すぎるということでした。

パブリック・リレーションズは目的(目標)達成のための「リレーションズ活動」、すなわち「関係構築活動」です。「絆づくり」を、他の言葉に置き換えると、「関係構築活動」とすることができます。

「関係構築」という言葉は、子どもの世界には似合いません。したがって、幼稚園(保育園)、小学校、中学校において、パブリック・リレーションズの概念を伝える際は、「きずな教育」という言葉に置き換えるとしっくりきます。「絆づくり」はその真髄においてはパブリック・リレーションズそのものだからです。

そんなこともあって、父の郷里を訪ねた昨年12月の暮れも押し迫った頃、鹿児島志布志市に本拠を構える横峯さんに電話を掛けたのでした。幼児教育の話で1時間があっという間に過ぎ、ご本人とお会いしたのは新年早々の1月。

志布志のヨコミネ式保育園を初めて訪問したのは、今月台風18号が直撃する最中。社会福祉法人純真福祉会理事長をつとめる横峯さんが運営する、市内3つのヨコミネ式直轄保育園を訪れました。

そこにはエチカで紹介された世界がありました。先生が一方向で教えるのではなく、自学自習という、自らがそれぞれのスピードで学習する方法でのびのびと勉強する姿に引きこまれます。

音楽好きな私が驚いたのは、年長組の楽器演奏の時間で「Sing Sing」というスイング・ジャスの曲を約20名の園児がそれぞれ、キーボード、パーカション(ドラムス、タンバリン)、マリンバなどの楽器を使い見事に演奏していたことでした。

「ヨコミネ式はスパルタ教育」、「詰め込みすぎ」といった批判もあるようですが、実際現地で見る限り、子どもは明るく、自由に楽しみながら学んでいます。

他の園で断られた、ダウン症や小頭症、未熟児で生まれ難病を抱える幼児を預かり根気強く見事に改善させているその教育姿勢には感動すら覚えるのでした。

市から経営を引き継いだときには10名足らずの園が、7-8年で100名を超える園児を抱える園になったというのも頷けます。

横峯吉文さんは、プロゴルファーの横峯さくらさんの叔父さん。横峯さんとは、同じ鹿児島の血を継ぐ私にとって特別な「縁」を感じます。昨年暮れに初めて横峯さんと電話で会話をし、今月、鹿児島県志布志市の「伊崎田保育園」で別れたのが10月7日。そして翌々日の9日、偶然私も関係する、「ふるさとテレビ」主催の「ヨコミネ式教育法」(会場:衆議院第一議員会館)講演会でお目にかかることともなったのです。

すべての子どもは天才

ヨコミネ式教育は、「すべての子どもが天才である。ダメな子なんて一人もいない。」「すべての子どもが天命をうけてこの世に生まれて来た。その天命を最大限に発揮させたい。」という理念に基づくものです。

ヨコミネ式教育法の究極の目的は「自立」。自立とは、「自ら考え、自ら判断し、自ら行動・実践すること」としています。

子どものやる気を起こし、子どもの持つすばらしい才能を開花さるため、「読み・書き・計算・体操・音楽」を通して、「学ぶ力」・「体の力」・「心の力」をつけさせ、生まれ持っている「可能性」を最大限に引き出すといいます。

この「ヨコミネ式」は、現在では国内で350を超える保育園、幼稚園や学習軸塾で「ヨコミネ式」が導入され、海外へも拡がっているとのこと。

「過保護でしかも無関心な社会になっている。おじいちゃん、おばぁちゃんや両親が子どもを甘やかし、保育園や幼稚園がチヤホヤし、よってたかってわがままな子どもをつくっている。」。こうした過保護が不登校・ひきこもり・家庭内暴力・思春期を乗り越えられない要因となっていると説いています。

また、「先生は教えているつもりでも、子どもは押し付けられていると感じている。もっと子どもの自立性を尊重すべきだ。」など、子どもの目線から教育を考える姿勢は一貫していて、とても説得力があります。

特に講演会で話す横峯さんの口調は、同郷で同世代でもある綾小路きみまろ調のアクティブでウィットに富んだお話しぶりは、笑いあり、ため息ありで最後まで飽きることなく聴衆を魅了し引きこまれます。

先に紹介した、「エチカの鏡」で「ヨコミネ式」が紹介された時は、当時のエチカ史上最高の視聴率を記録したようですが、頷けるはなしです。

35年間幼児教育に力を注いできた横峯さんとの出会いは、私に幼児教育への重要性を確信させてくれました。

この夏から、「きずな教育」を如何に「ヨコミネ式」に組み込むか、まず横浜にある北寺尾むつみ保育園(ヨコミネ式)で鹿児島で小学校校長をやっていた長深田悟園長とのコラボレーションが始まりました。これまでのヨコミネ式幼児教育に「コミュニケーション能力」と「自己修正能力」を有する、「きずな教育」がどのようにバランスされるかいまから期待に胸を膨らませています。

このように、「絆」とパブリック・リレーションズが結合・合体することで、日本社会でパブリック・リレーションズがより広く科学的に理解されるのではないかと考えています。

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