アカデミック活動

2015.03.26

次世代のリーダーのために〜早稲田大学「パブリック・リレーションズ」最終講義

皆さんこんにちは、井之上 喬です。
気象庁は23日、東京の標準本となっている靖国神社の桜が開花したと発表しました。平年より3日、昨年より2日早い開花だったとのこと。いよいよ本格的な春の訪れですね。

開花を前にした3月14日は、早稲田大学における私の最終講義日でした。

最終講義には、受講生のOB/OGや現役大学生、関係者が聴講し、90分の講義を行いました(写真1)。講義後は懇親会(写真2)や二次会を催していただき、私にとって想い出深い一日となりました。

写真1

写真2

これまで延べ2000人の受講生

「本コースは学際的視点に立った、従来型の広報とは異なる、幅広い、奥行きの深い、日本で初めての本格的なパブリック・リレーションズ(PR)の授業で、理論、知識、実践(技術)力に加えそのスピリットを修得します。」

これは、開講に当たり「早稲田2004年前期シラバス」に記された講義要綱です。また、その学習目標として次のようなことを掲げました。

「パブリック・リレーションズの学習を通して次世代を担う、自立した、戦略性を保有する、知的かつ行動的な、日本人の社会性を強化するコミュニケーション手法を学ぶ。言い換えれば、国際社会で活躍できる、21世紀のリーダーとしての資質を高め、『双方向性コミュニケーション』と『自己修正能力』を体得させることを目標とします。」

こうした目標を掲げ、2004年4月-2015年3月まで1年間を前期・後期に分け、「次世代のリーダーのために」をテーマに「パブリック・リレーションズ概論」と「パブリック・リレーションズ特論」2つの科目の教鞭を執ってきました。

「特論」の総仕上げの7月は、早稲田キャンパスを離れ、鴨川や伊豆川奈のセミナーハウスで講義と3時間に及ぶプラニング・テストを行いました。参加者全員でバーベキューや海水浴を楽しんだことも懐かしい想い出となっています。

早稲田では、商学研究科や公共経営研究科など大学院でも教鞭を執りましたが、12年間に及ぶ授業を通して、これまで延べ2000人の教え子が社会に巣立っていきました。

多彩なゲスト講師

授業には、内外で活躍する経営者やジャーナリスト、アカデミアンなどの分野から著名人を招き、パブリック・リレーションズが組織体にとって如何に重要となるかについてケーススタディを通して実践的なお話をいただきました。

こうしたゲスト講師を迎えた授業も本講座の特長であり、受講生からも大変喜ばれました。

毎年200名に及ぶ受講生が登録する「概論」では、大星公二さん(NTTドコモ相談役、前会長CEO)、大竹美喜さん(アメリカンファミリー生命保険会社創業者・最高顧問)、古川貞二郎さん(元内閣官房副長官)、丹羽宇一郎さん(前伊藤忠商事取締役会長・前中国駐在特命全権大使)、北山 禎介さん(三井住友銀行取締役会長)、ウイム・ロレンツさん(Wim Roelandts, CEO, Xilinx Inc.)アレン・マイナーさん(Allen Miner, Chairman & CEO, SunBridge Corp.)。

北川正恭さん(早稲田大学院公共経営研究科教授・前三重県知事)、橋本 大二郎さん(慶應義塾大学特別招聘教授 ・前高知県知事)、下村 健一さん( 内閣官房内閣審議官・内閣広報室)、今は亡き池田守男さん(資生堂会長)ら多数のゲスト講師が、私の授業に彩りを添えてくださいました。(※肩書は当時のものです。)

またゼミ形式の「特論」では、ジャーナリストでは山田厚史さん(朝日新聞編集委員)、高木徹さん(NHKディレクター)などにもお世話になりました。

一人ひとりのゲスト講師のお顔や講義内容に想いを馳せ、改めて心より感謝の念を深めています。

この紙面を借りて謝意を表させていただきます。本当にありがとうございました。

加速するグローバル化のなか、民族問題、環境問題、領土問題、貧困格差問題などさまざまな問題や課題を抱える世界にとってそれらの解決のためには複合的な視点をもつパブリック・リレーションズの活用が強く求められています。

インターネットの普及は劇的に世界の枠組みを変えようとしています。2極分化から急速に変容した多極化の流れは、国家間の調整を困難なものにし、個人がこれまで以上に政治や経済活動に影響を与え、組織体にとっての統治がより困難なものとなってきています。

こうした国際環境にあって、複合的視点を持つ、インターメディエーター(仲介者)としてのパブリック・リレーションズ(PR)実務家へ課せられた責務はますます重大なものとなってきています。そして私の教え子達が新しい日本の担い手になってくれることを心より期待しています。

これからは、幼児教育への「絆(きずな)教育」の普及にも力を入れていきたいと思います。

最後に、最終講義に当たり、彼らに贈った辞をご紹介します。


次世代のリーダーたちへ
あなた方、ひとり一人が
パブリック・リレーションズを実践することで
日本を、そして世界を変えることができます。

不透明さが拡がるこの日本や世界を
平和で希望のある
社会に変えるのは、
あなた自身であり
パブリック・リレーションズの力だと
私は信じています。

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