アカデミック活動

2014.09.18

グローバルビジネス学会新会長に丹羽宇一郎氏が就任〜経営と外交経験から得た優れた国際感覚

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

私が副会長を務める学術団体グローバルビジネス学会(事務局・東京都新宿区)の新会長に丹羽宇一郎氏が9月1日付で就任されました。今回は丹羽新会長のプロフィールや就任の抱負などを紹介します。

丹羽新会長は、1962年3月に名古屋大学法学部卒業し、同年4月に伊藤忠商事株式会社に入社。入社後は主に食料部門に携わっています。同社業務部長を経て、1992年に取締役就任。常務取締役、専務取締役を経て1998年4月に代表取締役社長、2004年に会長に就任しています。社長時代は経営危機あった同社を立て直し、中興の祖と言われる名経営者です。

2010年6月-2012年12月の間は中華人民共和国駐在特命全権大使。2013年4月には早稲田大学の特命教授に就任。2006年10月?2008年10月経済財政諮問会議民間議員、2007年4月?2010年3月地方分権改革推進委員会委員長を務めています。

主な著書に『人は仕事で磨かれる』(文集文庫刊、2008年)、『負けてたまるか!若者のための仕事論』(朝日新書刊、2010年)、『北京烈日』(文藝春秋刊 、2013年)、近著の『中国の大問題』(PHP新書、2014年6月)など多数。

ヒューマンで公正無私な行動派

近著の『中国の大問題』では「感情に流されて、14億人の巨大市場をみすみす捨てることこそ、彼らに資するだけだろう。」と国益を最優先する考え方をシンプルに説いています。

丹羽さんは、伊藤忠時代に北京市、江蘇省、吉林省などの経済顧問を歴任。大使時代には33ある1級行政区のうち27地区を視察し、チベット自治区を公式訪問した最初の日本大使としても知られています。

領土問題と靖国問題。2つの難題を抱える日中関係を好転させていくために中国の内情に精通している丹羽氏の卓見は傾聴するに値するものだと思います。

丹羽さんに私が初めてお目にかかったのは、昨年の11月。京都大学における学会全国大会での講演依頼が訪問の目的でした。柔和で端正、はっきりした口調で話をされる丹羽さんに強い印象を受けました。

たまたまお会いする数日前に、友人が事務局長を務める会「方正友好交流の会」発行の機関紙に丹羽さんの記事が掲載されていました。

方正(ほうまさ)県は東北中国の黒竜江省ハルビン郊外にあり、終戦直後の混乱期に約5000人の日本人開拓民とりわけ婦女子が力尽きて亡くなった地。

このことに心を痛めた当時の周恩来首相はその死を悼んで、中国政府唯一の日本人公墓として、日中国交回復の10年ほど前に慰霊碑を建立(1963年)したのでした。

機関誌によると、その方正公墓に当時の丹羽中国大使が公式訪問を願い出ましたが、折からの日本政府による尖閣国有化で日中関係が険悪な中、現地政府が安全上の問題で受け入れを拒絶。それでも現地訪問を強く望んだ丹羽大使は私人として身一つで、方正公墓訪問を果たしたのでした。

記事はさらに、丹羽さんが中国国内で日本人残留孤児の話を聞けば現地に飛び、彼らに面会したことなどを紹介。公人でありながらヒューマンな行動をとる丹羽さんに感銘を受けたのでした。

6月に出版された丹羽さんの著書『中国の大問題』(PHP新書)には、中国の抱える問題や今後の日中関係や日本の将来についてなど、深い洞察力で語っています。

ちなみにベストセラーとなっている『中国の大問題』の印税は全額、「(公社)日本中国友好協会」に寄付され、中国からの私費留学生への奨学金として使われているそうです。

社長時代から電車通勤を続ける、丹羽さんのその公正無私な考えと行動力に改めて尊敬の念を抱いたことを憶えています。

こうしたご縁もあってグローバルビジネス学会の第2回全国大会(2014年3月22日-23日、京都大学)では「日本の将来の核心は教育にある」をテーマに講演をお願いすることとなりました。そしてこの度は、新会長への就任をお願いし、快く引き受けていただきました。

発展性ある学会への成長を目指す

丹羽さんは会長就任にあたり、「グローバル経済において成功するためのより専門的な知識や能力を持つ有能な人材を育成していくことが、今まさに必要とされるなかで、グローバルビジネス学会会長としての任務を喜んでお引き受けしました」と述べています。

「私は将来に関して楽観的な見解を持っていますが、その前提として、次世代の専門家が多くの知見を習得するため新たな手法や技術を学習し、幅広くグローバルに活躍する基盤を築いていくことを希望しています」とより発展性のある学会への成長を目指し、意欲的な抱負を語っています。

また、グローバルビジネス学会の小林 潔司理事長(京都大学経営管理大学院教授)は、「丹羽氏を新会長としてお迎えすることは、当学会にとって大変な栄誉であるとともに、将来に向けた明るい兆しでもあります。丹羽氏は、多くのグローバルなビジネスや外交官としての経験に加え学術的な専門知識などさまざまな知見を学会にもたらすことになり、当学会のミッションが成功するように導かれると確信しております。」と述べています。

グローバルビジネス学会( http://s-gb.net )は、2012年4月に設立されました。

グローバルビジネスに関する研究発表、知見や知識の交換、会員相互および内外の関連学会と連携強化を図ることにより、国内経済の活性化はもとより、世界経済の発展に寄与する人材の育成を目的にしています。

経営者としての国際ビジネスでの豊富な経験と外交官としての優れた国際感覚を合わせ持つ丹羽さんはまた、パブリック・リレーションズの重要性について深く理解した方です。

そんな丹羽さんとこれから一緒に仕事ができることに喜びを感じると共に、グローバルビジネス学会の舵を今後どのように執られるのか大いに期待されるところです。丹羽会長どうぞよろしくお願いいたします。

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